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魔法少女ごっこをしてるだけなのに、勝手に周りの人が曇っていくのはなぜ?  作者: さたけやま


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第52話 「徹夜一日目」

作者より、

更新が遅れてすみません。だいぶ長いこと展開に悩んでました。またゆっくり更新していきますので、これからもよろしくお願いします。

「おやすみなさいお姉ちゃん……」

「おやすみ。美桜」


 私たちはまた同じ部屋で寝るようになった。


 いや、私は寝ることは出来ないが……


 それでも、美桜を見ている方が、この気持ちも抑えられるようなそんな気がした。

 だから美桜には悪いが、このまま美桜が起きるまでずっと寝顔を見させてもらう。


 しかし……


 視界の端から


 ……少女がスキップしながら近づいてきた。


 ツンツン


 少女は美桜の唇をつついている。


 私の中に怒りが湧く。

 ……お前が美桜の口に触るな。


 少女は私の思いが分かったのか、楽しそうに笑っている。


 そして、少女は唇を指さして、

 口を開いて、声には出さないが何かを喋る。


『こ……こ……あ……い……て……る……よ』


 ……黙れ

 勝手にそんなことをしたらいよいよ人間ではなくなる。


 少女はまた楽しそうに笑った。


 少女はゆっくりと美桜の周りを歩いている。

 そして、美桜を指さして……

 口パクで……


『わ……た……し……な……ら……す……き……な……こ……と……さ……せ……て……あ……げ……る……よ』


 ……確かにそう言った……


 少女は私に伝わったことが分かったのか、楽しそうに笑った。


 ……ふざけるな。

 お前が美桜の代わりになんかなるわけない。

 美桜は……

 美桜はお前みたいにイカれてなんかない。


 少女はわざとらしくぷくっと頬をふくらませた。

 そして、急に目線を斜め上にあげて、何か思いついたようで……


 ユサユサ


 美桜を揺らし始めた。

「……ん……う……」


 っ!?美桜が目を覚まして……!?

 どうして美桜にも触れるの!?

 どうして……

 

 体を起こして私に声をかけようとする美桜に、少女は何かを囁いた。

 美桜は様子が変わって、

 ゆっくりと私に四つん這いで近づいてくる。


「美桜……?」


 美桜は私の肩をドンッと押した。


「っ!」


 私は床に転ぶ。

 そんな私の両肩を美桜が両手で抑えてきて立ち上がれなくなってしまう。

「美桜っ!?どうしたの?……美桜までおかしくなっちゃったの……?」


 美桜は何も答えない。

 そして爛々と輝く目を私に向けて、舌なめずりした。


 ……やけに色っぽいその仕草に私はドキッとする。


 ……このまま何かされたら……


 そしたら……


 夢を捨てられるかもしれない……


 そんなことも考えてしまうが……

 でも理性が美桜にそんなことをさせてはダメだという。


 私は腕を動かそうとする。


 ……動かない。

 美桜に押さえつけられた肩は一切動かない。


 ……信じられない力だった。

 私には押し返せない……


 ……美桜はそのまま自分の唇を私の唇に近づけてきて……


 いや……

 ダメだ!

 こんな形でなんて!

 私はその瞬間に必死に顔をそらす。


 ……美桜の唇は外れ、私の頬に暖かい優しい感触を残す。


 そして、急に事切れたように私の上に倒れた。


「美桜っ!?美桜!?しっかりして!!美桜!?」


 私は美桜を揺さぶった。


「……んん……お姉ちゃん……?ど、どうかしましたか!?なにか……何かありましたか!?」


 美桜は一転心配そうに私を見つめ返す……


 それを見て……

 瞬時に理解してしまった……


「ううん……美桜……なんでもないよ……ごめん起こして……」

「そんなっ!なんでもないわけないじゃないですか!!お姉ちゃんの顔を見れば分かります!何かあったんですよね!?」

「……ごめん。言えない……何も無かったんだ。何も……」


 私は無理やり美桜をベッドに戻す。


 美桜は目を閉じようとしない。


 私を逃がさないように必死に見つめる。


 しかし……


 少女が歩いてきて……

 口元に指を立てて、シーっと合図をすると……


 美桜に何かを囁いた。


 瞬間、たしかに何かを言おうと口を開いていた美桜が……


 急に眠りについた……


 少女は私に手を振って、私の視界から居なくなる。


 これが一日目の夜。


 この日はこれ以降少女が出てくることはなかった。

 だが、確かに現実と夢が曖昧になっている恐怖は、私をどんどん蝕むのだった……

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