第51話 「限界」
……今日で私が大学に行かなくなってから、約2週間。
今期の大学の単位は全て落としてしまった……
それもこれも全て……
「あなたが悪い」
「えぇぇ!?私何もしてないじゃーん!していいよって言ってるだけだし!」
ここは夢……なのか、現実なのか……
殺さなければこの少女と何時までも過ごせてしまう……
それに気づいてからは……
現実で過ごす時間よりも夢で過ごす時間のが長くなった。
いつの間にか夢の中で私は自由に動けるようになってしまった。
だから、夢の私が勝手に……なんで言い訳はもうできない。
全て私の意思だ……
……少女は私の膝の上に座って、上目遣いで私を見る。
それは美桜にやられたら愛おしく感じるだろうけど……
……私はその伸ばされた喉を指で思いっきり押した。
「……ぐえっ!」
少女は少し苦しそうな顔をする。
殺さなければ、こうやって多少の快楽を得続けられてしまう。
……だから私は夢から抜け出せなくなりつつあった。
「……今日で何日目?」
私は今回の夢の中で何日を過ごしたのか聞いた。
「さぁ?何日なんだろうねぇ〜?」
私が何を聞いているかわかっているくせに、何も答えず、
少女はまた妖艶な笑みを浮かべた。
この少女の態度が悪い。
全てそのはずだ。
少女が悪い
少女が悪い
私は悪くない
少女に唆されただけ
私は美桜を裏切ってなんかない
「そうだね〜美香ちゃんは美桜ちゃんを裏切ってなんかないよー?ただ、気持ちいいことがしたいだけだもんねー!」
……私はまたスイッチが入ってしまい……
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ドンドンドン!
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!開けてください!お姉ちゃん!」
ドンドンドン!
……美桜と一緒に寝るのはやめた。
それは美桜に申し訳なかったからもあるし……
……美桜のことを襲ってしまいそうだったからだ。
それは……
……どちらの意味でかは分からない。
ただ、夢で感じるよりも強い快楽を、美桜と感じられたら、戻ってこられるような、そんな気がした……
それに……
私はドアの横で笑顔で、腕を後ろに組んで立っている少女を見る。
それは夢で見た少女で……
私はいよいよ幻覚を見始めていた……
視界のどこを見ても、少女がいる。
それはどう動いても……だ。
ドアとは真逆の方を見ても、少女が視界にいる。
……おかしい……
これが幻覚でないならありえない。
……視界の端に美桜よりも気になる人がいる中、美桜とまともに喋ることなんて不可能だ……
ドンドンドン!
「お姉ちゃん……!お姉ちゃん……!」
ズルズルズル
ドン
……音が気になって、私はドアを開ける。
ガチャ
「っ!お姉ちゃん!」
美桜が床に座り込んでいた。
……夢の少女が私に見えるようにわざとらしく美桜を後ろから抱きしめていた。
美桜は何も言わない。
やっぱり少女は幻覚なんだ……
私……本当におかしくなっちゃったんだ……
美桜が座ったまま、震える手を私に向かって伸ばす。
「お、お姉ちゃん……わた、私じゃ……ダメなんですか……?」
その顔は悔しそうでありながら、どこか諦めのようなものが見えた。
「……美桜。違うの。私は美桜のことが好き……それは間違いないと思うの。それでも……なぜか……なぜかずっと……」
……私の頭は口にすることに拒否反応を示したのか、グラグラと揺れ始める。
ふらっと倒れかけた私を
「お姉ちゃん……!」
美桜が抱き留める。
……こうやって近くで美桜の顔を見たのは久々な気がする……
現実で過ごす時間の30倍以上を夢で過ごしている……
……私にとっては少女の方が親しみがあるんだ……
美桜は必死に私に口付けをした……
淡い快感……
本当に……
淡い……
少女がくれる快感の……
いや……
比べるのはよそう……
美桜は私を抱き留めながら言う。
「私はっ……!私はなんだってしてあげられます……っ!この体だって……!好きにしてくれていいんです……っ!!だから……!だからお姉ちゃん!!どこにも行かないでよぉ……」
そう言って大粒の涙を流す。
それを見る私の目からも涙が出ていた。
だって、美桜の気持ちを感じたから。
そして、
私自身自分がどこかに向かっている自覚があって、美桜と離れていっている気がしたから。
私は美桜が好き。
それは間違いない。
でも、最近は美桜から離れていっている。
そんな気はする。
「美桜……お姉ちゃん今日は寝ないことにする!いつまで耐えられるかは分からないけど……頑張って耐えてみるよ……!」
美桜には夢のことを話していない。
それでも伝わったのか……
美桜は
「ありがとう……ございます……!お願いします!お願いします!」
……そう言って感謝を述べる。
美桜は間違ってる。
私が悪いんだ。
私が悪いのに、美桜が感謝するなんてズレてる。
おかしい。
おかしいのは私。
……夢の少女が美桜に抱かれている私に近づいてくる。
ゆっくり、ゆっくり
焦りなどないみたいに。
そして、私の目の前まで来て、
屈んで私の顔に近づいてきて……
チュ
……唇にキスをされた……
……どうして感触があるの?
おかしいよ……
もしかして……
それじゃあ……
私はもう夢を耐えればいいだけじゃないの……?
じゃあ無理だよ……
じゃあ無理だ……
少女は遠ざかりながら、振り返って妖艶に笑った。
……その日の夜から、私の睡眠を断つ生活が始まった。
***
お知らせ
作者が試験期間に入って、忙しくなったので、しばらく投稿をお休みさせて頂きます。




