フィリアとヴァル殿下
読んでくださってありがとうございます(*´ω`*)
すみません(-_-;)遅くなってしまいました。
なかなか納得できる文章にならず…戦闘シーンがいつものごとく上手に描写出来ませんでした。
それでもお楽しみ頂けたら嬉しいです
「よし、一旦休憩!」
少し遠くのところで他の魔物と対戦していた騎士たちが戻って来た。
カルダンの発した命令に各々好きに動き出す。
ある者は木陰で水分補給、またある者は素振り、他にも組手をしていたり談笑していたりと様々だ。
「ほらよ」
「ありがとうございます」
私が投擲した剣をカルダンが回収してくれたらしい。
手渡された剣は見ると血の一滴もついていない。
わざわざ拭いてくれたようだ。
「それにしても綺麗な踵落としだったな!フィリアはどこで鍛錬したんだ?」
「ガレディアス領の出身でして」
「ガレディアスか」
納得がいったとカルダンが頷く。
「今度、ダンジョン攻略でもどうだ?」
どことなく嬉しそうに声を弾ませながらカルダンが言った。
「機会があったらぜひ」
一人で攻略するのもいいが、誰かとするのもまた違った楽しみがある。
「ランヴァルト殿下も一緒にどうだ?」
今回の討伐の事前報告書に目を通していたヴァル殿下にカルダンがそう声をかけた。
「…それもいいかもな」
「お!珍しいな。殿下が乗り気だ」
「暇があったらな」
気安さが見て取れる二人の掛け合い。
この三年間で二人の間に築かれたものが確かにあるようで嬉しく思う。
「あっ!思い出した」
ぽんっと手を打ち、急に声を出したカルダン。
「どこかで見たことがあると思ったら、この前のお嬢ちゃんか!」
「ひったくりの件ですか?」
「そうそう」
どうやらこの前帝都で会ったことを思い出したようだ。
「頭を撫でたときに、こう…なんか引っかかってな」
形容し難いのか身振り手振りを交えてカルダンが言う。
「二人は知り合いだったのか?」
「帝都で少し機会がありまして」
意外そうな顔をしているヴァル殿下にそう答えた。
「ひったくり犯を踵落としで沈めてた嬢ちゃんが居て、面白い嬢ちゃんだから今度会ったとき騎士団に誘おうと思ってったんだよ」
「ひったくり犯に踵落とし…」
未知のものを見るような視線を向けてきたヴァル殿下。
その視線から逃れるようにすっと目をそらす。
「殴るよりはいいでしょう?」
「まあ、そう…か?」
往来で殴り飛ばされるより、踵落としで地面にめり込む方がマシだろう…多分。
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「そろそろ休憩も終いにするか」
「そうだな」
ヴァル殿下が頷き、カルダンがパンパンと手を鳴らす。
「総員集合!!」
「「「おう!!!」」」
気合十分な返事とともに素早く騎士たちは整列した。
「討伐を再開する。残り一体だが十分気を引き締めろ」
「「「おう!!」」」
解散の合図とともに騎士たちが小隊ごとに動き出す。
「フィリア。魔力の位置は分かるか?」
「…11時の方向に、大きな個体一つと、その近くに小さな個体の群れがありますね」
「分かった」
辺りを十分に警戒しつつ、騎士たちとともに森の奥深くへと入っていく。
(近づいてきてる?)
森に入って十数分後。
迫る気配に上空を見た。
「殿下」
「ああ。総員構え!!」
ざっと騎士たちが剣を構えた、その頭上に影が通り過ぎる。
風圧に目を細めた。
今までの個体の二倍はありそうな体躯のワイバーンは大口を開けた。
「咆哮|ブレス|か…!」
放たれた火属性の咆哮に対し、ヴァル殿下が同じく火属性の魔法をぶつけた。
相殺されるや否やワイバーンが突撃し、またもや口を開ける。
また咆哮かと身構える。しかし私達を襲ったのは別のものだった。
『ーーーーーーー!!!!』
(威圧…!?)
手足の痺れるような感覚に咄嗟に剣を握り直す。
上位個体のみ扱うことの出来る威圧は滅多に食らったことがない。
咆哮を出せるワイバーンよりもさらに希少な個体というわけだ。
「拘束」
ヴァル殿下の魔法に抗うようにワイバーンが大きく羽ばたく。
「拘束」
二重にかけられた魔法。しかしワイバーンはまだ抵抗を見せた。
ヴァル殿下が私に目配せをする。
頷いた私は、さっきと同じ様に跳躍して踵を落とした。
少し麻痺しているのか威力は格段に落ちた。
まあ、騎士たちも動けないので威力を強くしすぎても問題ではあるが。
「「「おおおおおっ!!!」」」
気合を入れるように叫んだ騎士たちが、地に落とされたワイバーンを仰向けにし、一人がその逆鱗目掛けて剣を振り下ろした。
「ギィヤアアアアアアアアアッ」
断末魔の叫びをあげながら暴れるワイバーンを周りの騎士たちが抑える。
数度逆鱗を貫かれたワイバーンは、とうとう動かなくなった。
「「「よっしゃー!!!」」
互いの健闘を称え合うようにハイタッチをし合う騎士たち。
緩んだ空気が流れたのも束の間。
「シューーーーーッ」
独特な呼吸音とともに大勢の魔物が現れた。
(リザードマン!?)
現れたのは全身を鱗で覆われた人型の魔物リザードマン。
鋭利な鉤爪とトゲの生えた長い尾を持ち、高い知能が特徴とされる魔物だ。
ワイバーンの威圧を受けたとはいえ、気配に気づけなかったのは不甲斐ない。
すぐさま応戦した騎士たちに習い、私もリザードマンに切りかかった。
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「ふう…」
流石に骨が折れる。
これだけの群れがいったいどこに潜んでいたというのか。
(ヴァル殿下は無事だろうか)
剣の覚えもある殿下のことだ。
乱戦の中魔法が使えないとなれば、迷いなく剣を手に取るだろう。
最初少し離れていたこともあって、戦っているうちに気づけばヴァル殿下とかなり距離がある。
早る気持ちに急かされるように私は走り出した。
少し走るとここにもリザードマンの群れが居た。
倒されたワイバーンを囲むように、騎士たちを包囲している。
その少し先で戦っているヴァル殿下を見つけた。
やはり剣を使っている。
次の瞬間、一人の騎士が足を取られ転んだ。
咄嗟のことに受け身が取れなかったのかなかなか立ち上がることが出来ないようだ。
ヴァル殿下が駆け寄り迫っていたリザードマンに一閃を浴びせる。
とても綺麗な一太刀だが、私は殿下の後ろに潜むもう一体に目を奪われた。
「ヴァル殿下!!」
いち早く気配に気づき後ろを振り返った殿下。振り下ろされた腕を切り落とす。しかし先程切りつけた一体の方に向き直した。
周りの騎士は皆応戦中。
考えるよりも先に身体が動いた。
木々を飛び移り騎士団の間をすり抜ける。
そのまま止まらずに殿下の後ろのリザードマンを横薙ぎに一刀両断した。
「ヴァル殿下!」
ただ名前を呼ぶ。
ヴァル殿下はもう一体を斬り伏せた後だった。
「ああ、ありがとうフィリア」
「…はい」
ヴァル殿下は騎士を起こし号令をかけた。
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帰りの馬車。
交わされない会話の代わりに沈黙が支配する空間。
重苦しいわけではない。
けれど何かがまた胸の裡でモヤモヤしている。
(いったい、なんだって言うんだろう)
ふと視線がヴァル殿下の右手にいった。
巻かれた包帯はさして重くはなさそうに見える。
「ヴァル殿下」
気づけばそう呼びかけていた。
「どうした?」
不思議そうに首を傾げた殿下はいつもと変わらない。
昔…三年前は私が喝を入れることが多かったように思う。
今は、私が喝を入れて欲しい気分だ。
(あ…)
他人のために全力になれて、自ら率先して危険なところに赴く…人として優しすぎる、そんな所が好ましいのだとそう言ったことがある。
あの時から変わっていない部分。
それがきっと私がモヤモヤしている原因なんだ。
「フィリア?」
黙ってしまった私を伺うように殿下が声をかける。
「ヴァル殿下」
もう一度呼びかけた私は、まっすぐヴァル殿下の目を見て、口を開く。
「私、この前、事務確認をガゼボでしたとき、どこか納得できないと言いますか、モヤっとして…それが何かずっと考えていて」
ヴァル殿下はじっと、私の言葉に耳を傾けている。
私も考えをまとめるようにゆっくりと言葉を紡ぐ。
「さっき、ヴァル殿下が騎士を助けた時、あの時、もし私が間に合わなかったら…きっとその腕の傷だけじゃなかったはずです。殿下があの間合いでも大怪我をしないことは分かっていました。だけど…嫌なんです。貴方が傷つくのが」
言葉にしてやっと気づいた。
そうだ、私はヴァル殿下が傷つくのが怖いのだ。
騎士であれば怪我は当然だ。
寧ろ誇るべきだとも言って良い。
訓練であったって全力で挑めば怪我の一つや二つはするものだ。
怪我だらけになりながらも懸命に努力をする姉弟を見るのは誇らしかった。
「…ヴァル殿下は優しすぎるといいますか…自分が傷つくことを厭わないように見えて、それがとても怖いんです」
ーいつか壊れてしまいそうで。
その言葉は飲み込み、一息つく。
「その、ですから…もう少し頼ってほしいんです。私は貴方を守りたい」
変わらない思いが私の中にもある。
それはきちんとヴァル殿下に届いただろうか。
唐突にこんなことを言われて殿下はどう思っただろうか。
見つめたヴァル殿下の表情は驚いているようだった。
「あの…」
「…俺は、弱い。そう自分自身思っている」
何かを手繰るように、少し遠い目をしたヴァル殿下がそういった。
「守る力なんてない俺には、全て高望みなんじゃないかって」
そう言って微笑んだ殿下に、今度は私が驚き瞠目した。
「だが、そうだな。俺の護衛騎士はとんでもなく強い。俺が守ってやる隙もないくらい」
しっかり私の目を捉えた殿下は、にっと嬉しそうに笑った。
「だから、ぜひ守ってくれるか?フィリア」
「っ!もちろんです!全身全霊をかけてお守りします」
「はは、頼もしいな」
ヴァル殿下の晴れやかな笑みに、私の心まで晴れていくようだった。
次回更新はある程度話数が溜まったですね。
それまでは構成を練りつつ、投稿済みの話の推敲をしていきます。
大まかな流れは変わることはないですが、台詞だったり、キャラの出番が増えたりすると思われます。
それではまた(*´ω`*)




