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文香は自分が味方である事を示した。
-62 警察官も人間-
美麗と香奈子を宥めた文香は2人に自分の携帯番号を渡した。
文香「いつでもいいから、何でも言ってね。どんな事でも聞くから。」
2人を安心させると1人で病室を出ようとしたので美恵が後ろから止めた。
美恵「私も一緒に行って良い?ケーキ、あんたの分もあるんだけど。」
文香「ううん、1人で行く。先輩は好美ちゃんと2人を見てあげてて。まだ何があってもおかしくないから、ケーキは後で貰うね。」
美恵「そっか、分かったわ。」
好美「文香さん、本当にありがとう。お陰で2人共安心してるみたい。」
文香「良いの、私も2人の気持ち、分からなくもないから。」
好美は首を傾げながら病室を後にする文香を見送り、3人の女子大生達とケーキの箱を開けた。
好美「これ、最近オープンした人気店じゃないの?」
美恵「30分並んだんだから、3人共有難いと思いなさい。」
箱の中では数種類ある色とりどりのケーキが並んでいた、女子大生達は目を輝かせながら見入っていた。
その頃文香は病院から覆面パトカーで爆破の被害を受けた警察署へと向かった、現場では未だに捜査と被害者たちの救護が行われていた。傍らでその光景を見た文香は再び覆面パトカーに乗り込み、隣町の署へと向かった。
隣町の警察署では被害を受けた署に所属する署員達が一時的に所属するという形で避難して来ていた、刑事課のオフィスに入って来た文香を呼び出した上司である三木谷警部補は誰もいない給湯室で珈琲を淹れて手渡した。
三木谷「お帰りなさい、お疲れ様です。どうぞ、飲んで下さい。」
文香「只今戻りました、頂きます。倉下さんももうすぐ戻る予定です。」
三木谷「分かりました、本当に大変そうですね。」
物腰の柔らかさで地域住民にも人気の上司は美恵や文香から事件の被害を受けた学生達の事情を聞いていたので、優しく文香を出迎えた。
三木谷「差し支えなければ、状況をお話しして頂けませんか?」
文香「松戸さんと山板さんの2人は事件の記憶による衝撃が未だに強く、まだ立ち直れそうにない様です。」
三木谷「もしかして・・・、山板さんの記憶が戻ったんですか?!」
文香「はい、テレビのニュースに映った犯人の顔を見た時に戻った様です。恋人の貢君に会いたいとずっと言ってました。」
その頃、同じ警察署に戻って来た美恵は鼻歌交じりで給湯室へと向かった。
美恵「どうせ文香の事だから給湯室でサボってるんだろうな、文香ぁ、あんたの分のケーキ・・・、えっ?」
美恵は給湯室での光景を見て驚愕した、三木谷と文香が唇を重ねていたのだ。
文香「私、我慢出来ない・・・。」
三木谷「吉馬・・・!!」
美恵の知らない所で数か月ほど前から2人は付き合っていたらしく、三木谷に会いたくなったので先に署に戻っていたのだ。美恵に未だ気付いていない2人は再びキスをした。
文香「ねぇ健、いつになったら名前で呼んでくれるの?」
健「文・・・、文香・・・。」
文香「やっと呼んでくれたね、嬉しい。ねぇ・・・、もっと頂戴!!」
2人は改めて抱き合い、濃厚なキスをし始めた(※お気付きの様だと思われますが、ここからは三木谷の事は「健」と表記します)。
美恵「そう言う事だったのね、文香。」
文香「美恵さん・・・、いつから見てたの?!」
美恵「最初のキスの時からいたわよ、それより・・・。」
文香「ど・・・、どうしたの?」
美恵「健!!これはどういう事?!」
そう、健は美恵と文香とで二股をかけていたのだ。
健はモテる男らしい(正直羨ましい)。




