表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フリーダム  作者: 清香
38/38

38 終わりよければ…それが良いのです。

 『魔術学校・第3支部』と書かれた看板の立つ町には、ヒヨジョウゴと名前が付きました。ミッシェル先生の持ち込んだ紅い綺麗な実の生る毒草の名だそうです。見た目は綺麗ですが、毒を持つって如何なのでしょうか?と思いましたが何故か通ってしまいました。先生方のお陰で成り立っている町なのでクライド様はとっくに諦めているそうです。ホントに申し訳有りません。


 当然、学校関係者以外にも生活している人がいる訳で、ヴェルムのギルドの支部もあります。看板の逆側に出来た街並みがそうです。ザキュやヴェルムから移住してくれた技術者の他に、チャンパギからもかなりの移住者が入ったそうです。隣接しているから来易いのも判りますが、チャンパギは廃村状態らしいです。男爵になった元伯爵は気付いて無いのか、まだ何も言って来ません。言われても、身から出た錆と返すまでです。


 ヒヨジョウゴの冒険者には魔石採取の常時依頼が出されていて、魔獣肉の料理が名物になりました。薬草園があるので薬草は基本的に依頼が無いのですが、一応、買取はしています。乾燥した物を粉末にして調味料に開発しています。携帯食の材料に混ぜて野菜の代わりを目論んだ結果の副産物です。余った農地を確保して野菜農家を育てていますが、追い付かないのが悩みで、移住して来たチャンパギの農民に率先して任せています。


 ヴェルムのポーション施設でも、専用のマジックバッグ入りポーションが数量限定販売される事になり、ザキュの母さんの工房に話しが行きました。私の付与魔石が渡して置ける為、容量などの品質は問題有りません。それと、材料持ち込みとか、材料指定とかのオプションを受け付けたので人気が出ました。輸出用は国毎でデザインが決まってます。コレは国内対応のみです。



 カルディロは上級学校を卒業後、教会に入る事になりました。『大学で聖魔法を研究するより教会で勤めた方が女神様の御心に添うと思う。』と決意を告げられたクライド様は、『学ぶ事は場所を選ばないから、カルディロの決めた未来に向かって進むのが一番だ。困った時には相談して欲しいけどね。』と背中を押してました。


 セシリアは当然の様に婚約式を取り行い、ギルバート様に囲い込まれたまま(笑)大学に進みました。セシリアと一緒に暮らせるのも後3年でしょうか。きっと、あっという間に時が過ぎるのでしょうね。ギルバート様との婚約が決まった段階で、セシリアは薬草園に魔力散布するのを止めました。その代わりにカルディロが教えた付与魔法で、聖域結界魔石を作っています。


 この国には、ダンジョンにしか居ないらしいのですが、グールとか、ゴースト、レイスと呼ばれる悪霊には物理攻撃が効かず、魔法でしか対処出来ないのだそうです。中でもホーリーと呼ばれる聖魔法の攻撃はとても有効だそうです。同じ空間に居るだけで呪いに掛かる事も有ると言う悪霊退治に効果適面なのが聖域結界で、当然ながら、レアな魔法です。


 セシリアですら、1日で1個がやっと出来る。と言う物なので、超貴重品です。初めて作れた時は、カルディロに教会まで連れて行かれて、女神様に相談。となり、当然の如く、秘匿扱いとなりました。セシリアの魔力飽和対策に作るのは奨励されましたが、出来た魔石はカルディロ経由で女神様預かりになりました。


 後でこっそりと女神様に聞いたのですが、セシリアが聖女なので、この国に悪霊が発生して居ないだけで、周囲の国ではダンジョン以外にも悪霊に囚われた地が有るそうです。『数が揃ったら、各国の司祭様を通して神託を出して、魔石を高く買ってもらうからね。』と笑顔の女神様。セシリアとカルディロの負担にならない為に、バレ無い様にお願いしました。


 マチルダの卒業で、ヒヨジョウゴに入ったオルフェウスの元に、タチアナに連れられたサムソン様が、ポーションの相談に来ました。商業ギルドの支所長にマチルダが入ったので、そちらで商談になります。この4人の仲の良さは変わらないですね。たまたま私も、マチルダの体調伺いに寄っていたので、久し振りに会いました。タチアナにワトソンを抱かせてもらい、話しを聞くと、離乳食を良く食べて、ハイハイも早く、いつ歩き出してもおかしくない程で目が離せないとか。マディソン様達もそうですが、マーコック様がね…と、サムソン様と見合って苦笑いをする二人。


 話しを聞いていたクライド様が、『マチルダの子が生まれたらワイマール父様とメリッサ母様がそうなると思うよ。』と一言。瞬間で諦めを悟る?『過ぎた時には逃げていらっしゃい。』と慰めて終わりました。孫は可愛いです。更に曽孫の可愛さとなったら天井が外れたのでしょう。


 無事に、マチルダも出産して、嫡男にはポアロ。長女にはシャーロットと名付けました。二代続けての双子に驚きましたが、流石に、女神様の干渉は無かったそうです。


 セシリアもギルバート様に嫁ぎ、幸せだと報告が来ました。


 チャンパギは廃村となり、ヒヨジョウゴに統合され、男爵は職務怠慢とされて爵位を取り上げられて平民に落とされました。かつての伯爵領だった領地が全部クライド様に拝領されて、名実共に伯爵になってしまった。と、遠い目をしたのは私だけですか?


 セシリアとカルディロのお陰で、伯爵領の全体を覆う聖域結界が施され、同時にギルバート様の公爵領、サムソン様の侯爵領、王都、と、悪霊の締め出しに成功しました。悪意を持つ人にも効果が出た様で、悪い噂の有る商会や工房が撤退して行きました。アリエス義姉様の嫁ぎ先の親戚もその中に含まれていたようです。


 ミランダ様に悪影響を与えた子爵夫人もいつの間にか離縁されていて、消息不明だと聞いたのは、シュナイダー様の結婚報告の時でした。10年近く掛かって洗脳を解かれたミランダ様ですが、それでも私に思う処があるらしく、直接お会いする事は無さそうです。チャールズ様に感化されて変わったシュナイダー様は、キチンとした考えを持つ公爵子息に変身されていて、お相手の侯爵令嬢と良い関係を築けているそうです。


 

 セシリアにもらった薬草から作った、女神様用のポーションを手土産に、女神様の元にお話しに来ています。オルフェウス達が領主になり、タチアナやセシリアの手を時々借りて、薬草園を取り回してます。孫も更に増えて、カルディロに到っては、他国に落ちて来た聖女と結婚してしまいました。


 …あの時は女神様が、『カルディロの為に呼び寄せました。』なんて神託を出したものだから、思い出したくも無い程大変な目に遭いました。せめて、私の様に密やかに転生させてくれていたら!と心底思いましたね。


 私は第一線からも第二線からも退き、念願のスローライフに入ります。蓄えは子供達と配分しましたから、残りは自由に使いましょう!クライド様も巻き込んで、国内を旅するのも良いかもしれません。私も商業ギルドはSランクのままですから、行商も出来ます!(笑)

スローライフにならなかったなぁ。と思いつつ、着地点を探した結果です。

深夜の妄想から漏れたIF設定があって、毛色が変わってしまうので悩んだのですが。

気持ち良い話しでは無いので、のんびり終わりたい方にはスルー推奨致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ