story 2
【登場人物】
⚫︎たつき
story 2の主人公
20歳
ミステリー好き少年
⚫︎りお
traveria approach!!! キャスト
21歳
和装好きな関西人
⚫︎たくま
23歳
難しい文章を読むのが苦手
『今を生きる僕たちの世界は、当たり前のようにあり、不思議に満ち溢れている』
僕はたつき。
ごく普通の20歳です。
皆さんは、知っていますか?
あの世界のことを……
約1ヶ月前のこと、僕ははじめてその世界と出会いました。
現実ではありえないようなことが起き、チャット上で出会った人と協力しながらクリアしました。
ここまでなら、ゲームの世界だと思うけれども、1つだけ違うことがありました。
それは、覚えていることと、忘れていることが混同するようになったこと
若者に人気のアプリ『いまメモ』を使って何かをしたことまでは覚えているけれども、それ以外の情報は曖昧になっています。
「ふぁぁ〜!なんかまだ眠いわ〜!」
布団から起き上がれなくて、なんだか夢の中にいるみたいです。
「はよ起きな、仕事に間に合わへんねん!」
重たい体を持ち上げ、早速出かける準備をしました。
すると……通知音がなり、慌ててスマートフォンを確認すると、
「『いまめも』に通知来とる。はよ行かなあかんわ〜!」
急いで支度を続けました。
カバンに参考書を詰め込んで自宅を出た僕は、
遊歩道を颯爽と駆け抜けていました。
「早くしないと1番乗り出来ないよ!」
焦りながら、歩道を駆け抜けていきました。
その時、『いつメモ』から通知が届きました。
「今、それどころじゃないから後でみよう」
全速力で目的地に向かいました。
僕は、どうしても読みたい小説を探して図書館を訪れていました。
「これも近い内容なんだけど、ちょっと違うんだよな……?」
何冊もページを開いては探し、なければ隣の本に目を向けるたびに、あっという間に本棚の端っこに辿り着いてしまい、古書室という看板の先に扉があったので開けて入りました。
「ホンマにはよ行かなあかんねん!」
寝室を飛び出し、一階へと駆け降りた時、
いつもは賑やかな自宅内が静まり返っていました。
急いで靴を履き、扉を開けて外へ出ました。
目的地の建物に辿り着き、息が上がるのを抑えながら、取っ手を引きました。
「今日こそは……」
それぞれの扉の先で見たのは、
普段の日常と同じ景色でした。
「この図書館の特に、こんな部屋があったんだ……」
いつも来ている場所なのに、まだまだ僕の知らないことがあるんだなと思った瞬間、
持ち歩いていたちいさなバックの中を確認すると……
「これって、電子機器が全て無くなってる!」
自宅を出る時に、パソコン、スマートフォン、と時計を入れていたはずなのに……どこに行ったんだろう?
「確か前回は……スマートフォンがガラゲーに変わったんだった!その時は電子機器がなくなるって感じじゃなかったけど……」
「とりあえず、この山積みの本の中からヒントになりそうなものを探そう」
僕は、閉じ込められる可能性と、この状況を変えるヒントを探して片っ端から本を確認しました。
建物の中に入り、目の前には廊下と部屋がいくつか並んでいるけれども、いつもの景色と違うことに気がつきました。
「これって……僕の知ってる場所じゃない!」
あせって振り返ると扉はなく、ただ真っ直ぐに続く廊下が見えました。
気持ちが焦り、走っても走っても同じ景色ばかりが続きます。
「これって、どこか別の世界に閉じ込められているのかな?」
とりあえず走り続けて、様子を見ることにしました。
「そうや、なんかあれ、忘れた気がするわ!」
後ろを振り向くと目の前にあるのは扉……ではなく、道がまっすぐ続いていました。
「これってもしかして、れ…なさ……」
と呟いていると、
「ポッポ〜!!!」
と何かが飛んできました。
「えっ、なんや!なんか来たんやけど?
……よう見たら、白い鳩かいな〜!」
と呑気に様子を伺っていると、どう見てもこちらに一直線に向かってきます。
「ポッポッポ〜!」
そのままの勢いで、激突しました。
「ポッポ」
「いきなりなんやねん!どうにかなったけど、ホンマ、どうしてくれるとこやったねん!!」
目の前の鳩が何度もお辞儀?をし続けていました。
「まぁ、分かっとるみたいやから、もうええけど、そんなに急いでどうしたん?」
この後、白い鳩が何かを必死に説明していることに気がつきました。
「えっと……『とある人から手紙預かっとるから呼んでくれ』ってことやね!ちょっとごめんな〜!」
と鳩にくくりつけられている紙を解いて内容を見ました。
「『以下の連絡先にお電話ください』……
ってスマートフォン……ってないやん!これ、公衆電話探せば解決することやね!」
とまっすぐ続く道を進みました。
そして、ついに公衆電話を見つけました。
「はぁ、はぁ。走っても走っても同じ景色でダメみたいだ」
一度立ち止まり、深呼吸をすると、1つだけ教室の扉が開いていました。
「……このまま走り続けるよりも、こっちに進もう」
扉を進むと、外に出ることが出来ました。
「あの無限に続くあの建物はなんだったんだろう?」
その時、目の前にある公衆電話からじりりりと音を立てていました。
「使い方分からないけど、とりあえず受話器をあげれば良いのかな……」
端から端まで探しても、何も手がかりがなく、
諦めかけたその時、本棚の奥に電話が置いてありました。
「……これって、しもしもで有名なあの電話だよね……?」
奥から引っ張り出そうと持ち上げると、
想像以上に重く、力の全てを使って
なんとか手前に出しました。
「図書館って、こんなに昔のものが、あるんだっけ?」
電話を見つめていると、上からひらりと紙が落ちてきました。
「えっと……『1番奥の5番目の棚の2段目に大切なものを閉まった。探してほしい』って、一体何の本なんだろう?」
と言っているうちに、突然、電話が鳴り始めました。
勢いよく、受話器を取りました。
「…あの?……」
「なんか繋がっとるみたいやね!」
「……電話ってこう使うんだ!」
誰か分からない状況なのでとりあえず話を聞いてみることにしました。
「突然の質問ですみませんが、いくつかお聞きしても良いですか?」
「構いませんが……」
「私もええで!」
僕は、話を続けました。
「まず、お名前と、このような経験があるかを教えてください」
「じゃあ、私から行くで!私、りおって言うねん!この世界の経験はないねんけど、知り合いがこの前言っとったんが今のことなんかな〜?って思っとる。あと、関西弁がきつかったら、ほんまにごめんな〜!」
「……次は、僕ですね。はじめまして、たくまです。僕は1度だけ、この世界に迷い込んだことがあります」
「皆さん、話してくれてありがとうございます。ぼくは、たつき。何度かこの世界に関わってて、色んな人から話を聞いているから、もしかしたら力になれるかもしれません……」
「とりあえず、状況整理から始めた方が良さそうやね!なんかいつもと違う点、言い合った方がええんちゃうか?」
「そうですよね。……ぼくは、建物に入ったら、廊下が続いてて、ずっと進んでも変わらなくて……ふと思いつきで、横の扉を出たら外に出ることが出来て、電話が鳴ってました」
「私は、えっとな……自宅出たら後ろに扉がなくて、ずっとまっすぐな道が続いとる感じやったで!」
「僕は、図書館に迷い込んでます。……ここから考えるに、共通点は、共用の電話ってことですよね?」
「確かに……なぜだか分かりませんが、今回もスマートフォンや電子機器系が見当たらないのですが……」
「なんかそれ、聞いたことあるわ〜!電子機器が無くなるんだかどっか隠されとんかよう分からんけど、昔のものが突然現れるとか言っとったで〜!」
話はどんどん盛り上がり、気がつけば1時間くらい話していました。
すると、突然どこかから叫び声が聞こえてきました。
その数秒後、電話口から、
「うぁぁぁぁぁ!
カラスが、カラスが肩をつついてきて……
ビックリさせてしまいすみません」
たくまさんが話している後ろで、鳩の声がうっすらと聞こえてきました。
「あ!ごめんごめん。なんかハトさんがな、伝言伝えに来てくれるねん!何回か来とるし、なんかいろいろ話しとったねん!」
えっ?そんなことあるんですか?とはてなを浮かべていると、りおさんが続けて
「今回もなんか手紙持ってきとるみたいやで!中確認してみるわ〜」
「すみません、僕のカラス?も何か手紙がくくりつけられています」
とそれぞれが語り、しばらく封筒の開ける音が重なって聞こえました。
「この手紙、気のせいだったみたいです!また連絡します」
と共に、電話が切れました。
2人揃って同じ言葉でタイミングがピッタリに言えるのだろうか?
そんな疑問を抱き、開いたままの本を手に取りました。
ぼくのところには、ヒントの欠片もないというのに……
突然、天井から紙がパラパラとおちてきました。
天井を見上げると、ここは地下のはずなのにこんなにも広いんだなと見つめていると、紙には何かの文字が書かれているのが見えました。
床に落ちる前に手に取り、急いで中を確認しました。
……こういうことなのか……
謎が謎を深めるこの図書館で、今、ぼくの……ぼくにしかできないことを頭の中だけではじめました。
肩にはカラスらしき鳥に突かれて
一時はどうなることやらと思っていましたが、
足にくくりつけられていた手紙を取った後は、
公衆電話の上に止まり、こちらをじっと見つめていました。
「君、本当にカラスなの?……」
足が3つあるような…
すると突然、羽をバタバタさせてカラス?はどこかに飛んでいきました。
僕は、とにかく手紙に書かれていた場所と思える場所に向かうことにしました。
電話の上に鳩が止まり、何度もこちらに向けて何かを話しています。
「……ふむふむ、そんなことがあるんやね!
……そういや、あんたのこと『ぽっぽ』って呼んでもええか?」
「ポッポー!」
「じゃあ、ぽっぽ?この紙に書いとることなんやけど……」
ここには誰もいないけれども、あたしは1人じゃない。隣にはぽっぽがいる。……もしかしたらぽっぽは見方によっては味方じゃないかもしれないけれども、放っておけないよ!
考えてもあまり分からないけれども、行動を起こさなければ、何も変わらないので、手紙に書かれている場所へと向かうことにしました。
あれから1時間経っただろうか?
僕は、手紙の中に入っていた地図を取り出し、
異世界?の地に戸惑いながらも辿り着いたのは、とある駅でした。
「ここが駅の入り口で、ICカード……そもそも持ってないか、改札口……閉まってるか、中に入っても良いのかな?」
と戸惑っていると、カラスだけど一見カラスではないあの時の鳥がバサバサとやって来ました。
「カァ」
と一言だけ語り、足元に目を向けると、3本の足と先ほどとは違う手紙がくくりつけられていました。
「これって中を確認した方が良いよね?」
先ほどは、手紙と地図で、そもそも僕は地図も読めないのになと思いながらもどうにかなったから、今回も……
僕は、人生で1番の衝撃が、全身を駆け巡りました。
「さぁ、これで最後の1冊のはずだ!」
とペラペラとページをめくると、真ん中あたりにかなりコンパクトに折りたたまれていた地図が出てきました。
「これって……もしかして……」
本から取り出し広げると床一面を覆うサイズのかなり……いや、想像以上に大きい地図でした。
「この地図って、世界地図でも日本地図でもない……この世界って……」
天井から紙が1つ……ではなく、とにかく数えられないほど一気にヒラリヒラリと落ちてきました。
1つ1つ確認は出来ないけれども、ほとんどのものは何も書かれていませんでした。
「……もしかして……」
思いつきで地図に重ねると少し何かが浮かび上がりました。
……この枚数、ジグソーパズルよりも難しいかもしれないけど、何がなんでも解き明かしてみせます。
「ぽっぽ?ここ曲がったらええんかな?」
「ポッポ〜!」
あれから2時間ほど歩いてクタクタになりながらも、手紙の中に入っていた地図を片手にぽっぽと共にここまで来ることができました。
「ポッポポ〜!」
「ぽっぽ?どこ行くねん〜!」
あっという間に、空高くへ飛んでいきました。
「あたし、地図読めへんのに、これからどうすればええねん」
と、まっすぐ進み、曲がり角を曲がると……
目の前には、漁港と思える港町が広がっていました。
その奥の片隅にフェリーのりばと看板が出ていました。
「……確か、なんか引換券入っとった気がするわ〜!」
まっすぐのりばへと向かうと、どこかから黒い鳥がこちらに向かってきました。
「とりあえず、フェリーに乗ればええんかな?」
と考えているうちに、乗降口付近の手すりに
先ほどこちらに向かってきていた鳥が止まっていました。
「よう見たらカラスやん!なんでこんなとこにおるんやろう???」
たち止まり、足元をよく見ると、足が……1.2.3本?
「確か、たくまくんやっけ?カラスがカラスじゃないって言っとったような???まぁ、気のせいやね!」
とりあえずフェリーの船内へと入りました。
改札のない駅舎を入ると、
目の前には、路線図が貼られており、
文字が見えないので、どこまで続いているかも分かりませんが、レトロなベンチに腰掛けてからすぐにホームに列車がやってくるのが見えました。
「……確か、手紙の中に切符が入っていたからこれで乗れば良いのかな?」
急いでホームに向かうと、扉近くの車内の台の上に鳩が止まっているのが見えました。
車内に入ろうとすると、こちらに飛んできて
「ポッポ?」
と語ったように思いました。
「確か……りおさんと言う方が、おしゃべりな鳩がいるって言ってたな……これは……はと違いですよね?」
と、鳩の前を通り抜け車内へと入りました。
あれから2時間ほどが過ぎ、地図の上に紙を重ね続け、ようやく100枚ほどまで進んだけれどもまだまだ先は長そうだ。
「少しづつ何かが見えてきた気がするけれども
まだピンと来てないんだろうな〜」
すると、また天井から1枚の紙……よく見てみると手紙が落ちてきました。
「何が書かれているのだろう?」
手紙を開けるとそこには信じられない文字が並んでいるのが目に入りました。
……いや、見なかったことにしよう……
静かに手紙を近くの机に置き、紙を手に持ち再び重ねはじめました。
車内に入ると、いくつかの個室が並んでおり、
カラス?から受け取った手紙の中に入っていた切符の指定の部屋を見つけ、入りました。
「そういえば……初めに見たときには、部屋番号までは書かれてなかったはずなんだけど……」
扉を開けると、右側にベット、左側が座席、真ん中にはテーブルとテーブルの上には、分厚い本と薄い本が重ねて置いてありました。
本を手に取りペラペラとページをめくり、一周すると、分厚い本は、マニュアルで、薄い本は鳥図鑑だと分かりました。
「とりあえず、他にすることもないから、
本を読んでみるか」
座席に腰掛けて数秒後、列車は動き出しました。
船の中には、個室と共用のエリアがあり、
ひとつの階に全てがまとまっているようです。
「そういや、船のチケットなんて持ってなかったんやけど、どーしたらええんかな?」
カバンの中にしまっていた引換チケットを思い出し、取り出すと……
「ちょい待てや!なんか、船のチケットになっとる!!!」
その中に部屋番号があったので、指定されている?部屋に向かうことにしました。
「なんか、この船不思議な感じがするんやけど、どうしてやろ?そもそも鳥以外誰とも会ってへんし、他の乗客がおらんのはまだ分かるけど、従業員がおらんのが、ホンマに分からんわ〜」
通路をまっすぐと進み、指定されたのはいちばん前の部屋でした。
扉を開けると、いちばん前のはずなのに、窓がない内部屋で、ベットと机と椅子が並んでおり、机の上には、分厚い本が置いてありました。
「他にすることもないし、この本でも読もか〜!」
読み始める頃には、船は出航しました。
マニュアルのように分厚い本を読みはじめたけれども、内容が難しすぎて机の上に置き、鳥の本の目次を見ていました。
「この世界には、僕の知らない鳥がたくさんいるんだな。……クジャク、鳩、八咫烏、カラス……?えっとえっと……」
急いで目次に書かれたページを開くと、
一見するとカラスに見える鳥のイラストが描かれていました。
「足が3本……これって……あの手紙の鳥……」
急に部屋の扉がバタンと開き、通路から
黒い鳥が中に入ってきました。
「カァ」
と一言だけ声を出し、机の上に止まりました。
足の本数は、3本あり、間違えなく肩をつつき、手紙を届けるあの鳥だと確信しました。
「君、カラス……じゃなくて、八咫烏って言うんだね。ずっと間違えててごめんなさい」
僕はこの鳥を、やたがらさんと呼ぶことにしました。
やたがらさんは、僕の肩に乗り、鋭い……いや暖かな視線で僕に何かを訴えてきました。
「今回も届けてくれたのですね」
くくりつけられている手紙を外し、中を確認すると、驚きのあまり声が出なくなってしまいました。
「お2人がとても心配です……」
出航してから約3時間、
部屋で本を読み込んでしまい、外の景色を見ることもありませんでしたが、やっと読み終わり、気分転換にデッキに向かいました。
「なんか、部屋に置いとった本、本じゃなくて誰かの日記みたいになっとったな〜!これってなんで言うんやろ?小説とは言わんし、エッセイみたいなもんなんかな?」
船内の通路は、人1人も歩いておらず
どうしてこんなに静かなのかは分からないままです。
「やっとデッキや!外はどんな感じやろ?」
分厚い扉を開くと、そこには少し海風が強いけれども、一面に広がる穏やかな海が広がっていました。
遠くを眺めていると、どこかから鳥が飛んでくるのが見えました。
「ここにも、カモメとか海鳥とかおるんやね!」
どんどん鳥の姿が大きくなり、こちらに向かってきているようです。
「やっぱ、海といえばカモメとのふれあい、
ずっとやってみたいと思っとったねん!……って、なんかはとに見えるんやけどな〜?あたしの勘違いか?」
近づいて来る鳥の姿はまさに鳩、
しかも、どこかで見覚えのあるような気がするのは気のせいでしょうか?
「ポッポ〜!」
「えっ、これってぽっぽ……あんた、ほんまもんのぽっぽなん?」
「ポッポッポ〜!」
まさか、大海原でぽっぽと再開するとは思っておらず、驚きを隠せません。
「ぽっぽ?もしかして何かお届けもの?」
目を輝かせながらこちらを見つめています。
「ホンマに、いつもありがとね!あんたがおらんかったら、ほんまに寂しくてあかんかったわ」
力強い風に逆らいながら手紙を開くと、
そこには、信じたくもない内容が書かれていました。
「これ、ホンマのことなんか……」
あれから何時間が経っただろうか?
半分くらい地図の上に紙を重ねました。
やっと少しずつ形が見えはじめたような気がします。
「なんとしても、完成させるんだ!」
と語っているうちに、また天井から追加の紙か降ってきました。
「これで全てじゃなかったんだ……」
船はあっという間にどこかの岸に到着しました。
「ホンマにあっという間やったわ〜!にしても誰もおらん船って何やったんやろう?」
不思議に思いながら、下船すると目の前に公衆電話がありました。
「確か、ぽっぽからの手紙の中に、電話番号が書かれてた気がするんやけど……どこやったったっけ?」
カバンの中を探しはじめました。
気がつけば、列車は駅に到着し、ホームへと降りました。
「何だかはじめてのはずなのに……とても懐かしい感じがするのはどうしてだろうか?」
ここは……田園風景の中にポツリと駅があり、
10両以上ある車両の1編成しかホームにかぶっていませんでした。
駅舎の中には、黒電話が片隅にに設置されていました。
「どうして、こんなところに電話があるのだろうか?」
とりあえず、駅舎で休憩しようとベンチに座りました。
「あったわ!この番号にかけたらええんやな!」
目の前の公衆電話に番号を打ち込みました。
黒電話が突然、音を上げ、訳もわからぬまま
受話器を持ち上げました。
地図に浮かび上がる風景があと少し。
もしかしたら、この地図を完成させること自体が罠なのかもしれない。
電話口の先にいる2人が何か良くないことに巻き込まれていないか、とても心配ですが、ぼくにはぼくにしか出来ないことをする。
たとえ、この先何があっても受け入れる。
そんな気持ちで続けていると、あのしもしも電話から音が聞こえてきました。
重い電話を奥から出してきて受話器を上げました。
「やっと繋がったわ〜!」
「皆さん、大丈夫ですか?」
2人同時に聞こえてきたので、一瞬何が何だかよく分からなくなりました。
「お2人こそ大丈夫ですか?」
「あたしは、何とかなっとるで……
フェリーで島に流されたこと以外」
「僕も、列車で田舎にたどり着いたこと以外は特に問題ないです」
「本当に良かったです。これまでに大変なことに巻き込まれたって話も聞いていたので」
受話器の先から『ポッポ』という声が聞こえてきました。
「りおさん、ですよね?また鳩が近くにいるのですか?」
「何回も来てくれて、ホンマに島流しされとる中で、今も数メートルしかない島におるんやけど、心強いわ〜!」
「僕も、カラス……じゃなくて八咫烏が、近くから鋭い目でこちらを見つめてて……」
皆さんもとても大変なんだなと思います。
「たくまさんもありがとうございます。
ぼくの過去の推測上の話なんですけど、
3人で指定されたキーワードを言わないと戻れない仕組みみたいで、今回も探しているのですが、どうしてもどこか欠けているように感じるので、それぞれご存じであれば、教えて頂けますか?」
それぞれ「ええで〜!」「もちろんです」
と返答が返ってきました。
「教えてもらうその前に、少しだけこちらからも共有したいことがあります」
ぼくは、これまであったこと、これから起きるかもしれないこと、まだ確定とは言い切れない情報を、小声で伝えました。
「そうなんやね!図書館の地下に閉じ込められて、天井から謎の紙たちをめっちゃデカい地図に重ねたらある程度のキーワード的なものが出たってことなんや!」
「僕が、その枚数を地図の上に重ねるのは、途中で挫折してたと思います。本当にスゴイです」
「それで、今見えてるのが、本らしきシルエットですが、そこからがあまりよく分からなくてですね……」
「もしかして、鳥な気がするの私だねなんかな?ぽっ……鳩とか、カラス?……何やったっけ?」
「やたがらさ……八咫烏だと思います」
「もしかしてなんですけど、何かお届けものとかありましたか?」
「僕は確か……1回目が手紙だけで、2回目が手紙とチケット、3回目が手紙だけだった気がします」
「あたしも、手紙だけ、手紙とチケット引き換え券、手紙だけやったで!」
「……これで謎が解けました。キーワードはチケットとあの言葉ですね」
「それをみんなで言ったら戻れるんやね!」
「でも、せっかく出会えたのに直接会えずに終わるなんて少し寂しいです」
「今度はちゃんとみんなで直接会おな〜!」
「せーの
『過去と今へのチケット』」
電話は切れて目の前が光に包まれていきます。
「やたがらさん……近くで見守ってくれてありがとう……」
光る公衆電話の上から鋭い眼差しでじっと見ています。
「ぽっぽ……ほんまに何から何までありがとな……」
「ポッポ〜!ポッポ〜!」
羽をバサバサさせて見送ってくれました。
光に包まれた瞬間、どこかから視線を一瞬感じた後、目の前には真っ白な世界が広がりました。
『早く通らないかな?……いつもこの時間のはずなんだけど……あっ、すみません、人違いでした。……丹精込めて作ったのに、今日渡せずに終わっちゃうのかな?』
真っ白な世界が消えて、気がつけば図書館のいつもの場所に座っていました。
「ぼくは、一体何を見ていたんだ?」
するとすぐにスマートフォンの通知が届きました。
『いまめも』が更新されてる
……これってもしかして……
不思議な世界から戻ってきた後にいまめもに出会った人たちのグループが出来たのだと気づきました。
「これが噂のチャットグループなんや!あの2人とも連絡取れるし、悪いことは何もないよな?」
リビングの椅子に座り、メッセージを送りました。
とある建物の片隅で、僕は通知が届いているのに気がつきました。
「本当にあの時はありがとうございました」
やっぱり2人とやたがらさんは、僕にとって
心強い人と鳥達でした。
暗闇の部屋の中、
パソコンの明かりが部屋の片隅を灯していました。
「……今日もあれから増えてる……またか……そういうことか……これをこうっと……はぁ、また増えちゃうよ……」
いつの間にか画面が真っ暗になりました。
とある裏路地にて、
「くそっ、なんでまた上手くいかないんだよ!……次こそは、絶対にやってやるからな!」
世界の片隅で響き渡りました。




