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レベル1の最弱勇者 ー僕だけレベル1のまま、四人で魔王城の最奥へ挑む物語ー  作者: 直助
第四章 魔王城・決戦

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ミドの剣

 剣が、抜かれた。


 

 静かな音。


 それだけで、場の空気が変わる。


 


 ミドが、前に出る。


 


「……ミド」


 ヒナタの喉が、かすれる。


 だが。


 体が、動かない。


 立てない。


 手も、伸ばせない。


 


 ステラも。


 セレネも。


 膝をついたまま、動けずにいる。


 


 声を出そうとしても、力が入らない。


 やめろ。


 無理だ。


 そう言いたいのに。


 ただ、見ていることしかできなかった。


 


 ミドは、歩を進める。


 

 魔王との距離を、詰めていく。


 


 ――同じだ。


 ヒナタは、気づく。


 踏み込みの間合い。


 足運び。


 自分と。


 同じ。



 ミドが、踏み込む。


 速い。


 斬撃。

 連続。


 最後に。

 一閃。


 ――通った。


 

 魔王が、動く。


 横一文字。


 一閃。



 ――防いだ。


 ミドが、剣で受ける。


「……っ」


 

 ヒナタの思考が、止まる。


 おかしい。


 あの一撃は、

 防げるはずが、ない。



 続く。


 斬撃。


 受ける。


 踏み込む。


 届いている。



 明らかに、

 自分より。



 剣が、

 魔王に。



 ――届いている。


 


 どうして。


 答えは、出ない。



 

 だが。


 攻防は、続いている。


 削れているかどうかも、分からない。


 


 それでも。


 ――いける。



 理屈ではない。


 だが、確かに。


 ヒナタの胸に、確信が生まれる。


 

 勝てる。


 

 魔王に。


 

 ヒナタは、這う。


 床を、引きずる。



 大きな柱。


 そこまで、辿り着く。


 背を預けて、座り込む。


 

 視線の先。


 ミドが、戦っている。


 

 剣を振る。


 退かない。


 諦めない。


 ――ああ。


 ヒナタは、理解する。


 

 自分が。


 目指していたもの。


 それが。


 今。


 目の前にいる。


 


 ミドの意識は、静かだった。


 どれだけ削れているかは、分からない。


 痛みも。


 疲労も。


 今は、関係ない。



 ただ。


 最後まで、立つ。


 諦めない。


 ――それが、勇者だ。



 その思いだけが、体を動かしていた。


 




「……ミド」


 声が、出た。


 ヒナタの声だ。


「……いけるぞ」


 掠れている。


 だが、はっきりと。


「セレネ!!」


 声を、張る。


「ミドを、支えろ!!」




 セレネが、歯を食いしばる。


 最後の力。


 治癒。


 そして。


 強化。


 

 淡い光が、ミドを包む。


 


 攻防が、続く。




 ほんの、わずか。


 魔王の動きが、鈍る。

 


「……あと、少しだ」


 ヒナタが、息を吐く。


「ステラ!!」

「なんでもいい!!」

「止めろ!!」



 一瞬の、沈黙。


 ステラが、目を閉じる。


 ――無属性。


 ずっと、考えていた。


 意味を持たない力。


 属性を、持たない衝突。


 干渉だけを、起こす魔法。



 術式。


 簡素。


 だが。


 全てを、込める。



 放たれる。



 無色の衝撃。


 魔王に、当たる。


 

 ダメージは。

 分からない。


 

 だが。


 

 魔王の動きが。


 止まった。


 

「ミド!!」


 ヒナタが、叫ぶ。


「今だ!!」


 

 ミドが、踏み込む。


 最後の。


 一閃。

 ――直撃。




 魔王の影が。


 揺れる。


 崩れる。


 

 霧になる。


 

 消えていく。



 

「……やった、のか」


 ヒナタが、呟く。



 誰も、すぐには答えない。


 静寂。


 


 そして。


 


 城が、揺れる。


 黒い壁が。


 霧のように、ほどけていく。



 魔王城が。



 消えていく。




 ただ。


 


 そこに。



 魔王は、いなかった。


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