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レベル1の最弱勇者 ー僕だけレベル1のまま、四人で魔王城の最奥へ挑む物語ー  作者: 直助
第四章 魔王城・決戦

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第45話 壊滅

 その奥に。



 ――立っている。



 剣を持つ影。


 構えず。


 ただ、こちらを見ている。




 魔王。


 


 ヒナタは、一歩踏み出した。


 ――気配が、ない。


 

 敵意も。


 殺気も。


 圧も。


 


 そこに立っているのに、何も感じない。




(……強いのか?)


 判断が、つかない。



 だから。


 距離を詰める。


 

 一歩。


 また一歩。


 

 魔王は、動かない。



 間合い。


 

 ヒナタが、踏み込んだ。



 速い。


 斬撃。


 連続。


 最後に――


 一閃。


 ――通った。


 


 確かに。


 


 だが。


 

 硬い、わけではない。


 防がれた感触もない。



 それなのに。


 削れていない。


 

 刃が、通っているのに。


 何も、失われていない。


 

 今まで、感じたことのない感覚。


 


 ステラが、間を置かず術式を放つ。


 

 閃光。


 直撃。


 

 ――同じ。


 通っている。


 だが、減っていない。


 


 魔王は、視線を動かさない。



 そして。


 

 剣を、横に振った。


 

 ただ、それだけ。



 ヒナタの動き出しが、遅れる。


 防御姿勢。

 後方へ跳ぶ。

 ――遅い。


 衝撃。


 剣越しに、叩きつけられる。


 体が、浮く。



 同時に。


 斬撃と共に、閃光が走る。



 ステラの防御壁が、間に合わない。


 直撃。


 ステラ。


 セレネ。



 二人の体が、弾かれる。


 床を、転がる。


 息が詰まる。


 

 立ち上がる。



 だが。


 

 すでに、削られている。


 半分近く。


 



 魔王は、変わらない。



 気配がない。


 殺気がない。


 


 ヒナタも。


 ステラも。


 戦闘を重ねる中で。


 その感覚を、研ぎ澄ましすぎていた。


 だから。


 “何もない”動きに、反応できない。


 

 一瞬。


 いや。


 それ以上、遅れてしまう。


 

 セレネが、治癒を放つ。


 淡い光。


 

 次の瞬間。

 魔王が、踏み込んだ。


 一閃。

 衝撃。

 光。


 ヒナタの体が、吹き飛ぶ。

 防ぎきれない。


 床に叩きつけられる。


 

 ステラ。


 セレネ。


 閃光が、直撃する。


 立っている。


 だが。

 それが、やっとだ。


 


 ヒナタは。


 立てない。


 床に伏したまま、動かない。




 魔王は、止まる。


 追わない。


 構えない。


 そこに、立っているだけ。




 ――残っているのは。


 ミドだけだった。



 倒れている。


 ヒナタが。


 立ってはいるが、動けない。


 ステラと、セレネも。




 誰も、声を出さない。


 時間が、止まったようだった。




 ミドは、前に出ない。


 走りもしない。



 ただ。


 足を止めたまま。



 逃げる理由は、もうなかった。


 そして、初めて。



 剣を、抜いた。



 音が、静かに響く。


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