第4話 初戦闘
「俺も戦う!」
そう言うと腰にぶら下がっている昼間に買ってもらった片手剣に手を近づけ、抜こうとする。
「やめろ、お前じゃまだ太刀打ちできる相手じゃない! 下がってろ!」
俺の方を見ずに狼に目を向けている。師匠は叫んだ。
一匹の狼が走ってきた。すると他の狼も同時にくる。連携を取っているようだ。
一番最初に走り出した狼が師匠に飛びかかったが腰の刀を素早く引き抜き切った。目にも留まらぬ速さで次々に飛びかかってくる狼を切っていった。
十匹ほどを切ると喚きながらに、怪我を負った狼達は逃げていった。
俺はただ立ち尽くしていただけだった。
「ふぅ、多かったな……。あん時もこんなだったかな……。怪我はなかったか?」
「ない……けど師匠は本当に強かったんだな」
正直驚いた。手の内が見えない奴だと思っていたが、さっきの魔法といい、剣技も見たことがないぐらい早く強かった。
「もちろんだとも。倒した狼の毛皮を集めるのを手伝ってくれ。次の国で売れるからな。毛皮の剥ぎ取り方を教えるからこっちに来い」
そう言うと、近くの狼の近くまで歩いていき狼の前でしゃがんだ。僕も師匠の横に並んだ。
そして、剥ぎ方を教えてもらった。初めは恐る恐るやるが、二、三匹目からはコツを掴んできた。
「筋がなかなかいいな、皮に穴を開けるなよ。値段が下がるからな」
師匠はそう言っていたが、師匠の切った時の跡が所々に残っていて一枚として使えるものはなかった。剣技はすごかったが、正直呆れた…
近くの川まで行き皮を洗い、木と木の間に張ったロープに干しておく。そして、遅くに眠りについた。
翌朝、師匠の大声で叩き起こされた。
昨日は半日歩き、夜中に狼の襲撃に遭い、皮を剥ぎ取った。それで泥のように眠った。
日は昇ったばかりのようだ。
「うるさいよー、まだ暗いじゃないか」
「起きろ!夜明けと同時に出ると言っただろ!」
そう言うと、俺をテントから引っ張り出して、テントを畳みだした。
師匠の大声でキンキンする頭を抑えながら、川に行き顔を洗う。
戻ると携行食のレーションを渡された。
「ほい、飯だ。それ食ったら行くからな」
荷物をまとめ、昨日倒した狼の皮をまとめて袋に入れた。レーションを水で流し込む。
初めて食べたが口の中の水分が全部取られる。
「食ったな!よし出発だ」
師匠は馬に跨り意気揚々と言ったが、また俺は歩き。
昨日の今日で足は筋肉痛だ。
師匠は馬で進みだした。行くしかないのか…
「そろそろ昼飯にするか」
太陽は真上まできた頃、師匠は言った。ちょうど森に入るところだ。時々休憩しながら、来たが夏の暑さとで疲れが溜まる。
木の陰に入り、休憩と昼飯のレーションを水で流し込む。
「師匠もう疲れた。馬に乗せてくれ」
「確かに暑いな、しょうがないから俺が歩くよ」
馬にまたがる。初めて乗るが鞍が付いているためとても乗りやすい。
「腹の横を軽く蹴ってやると進み出すぞ」
腹の横を軽く蹴ってやると前に進みだした。
森の中に入り影の中を進む。涼しい。
森の中を駆ける風が火照った身体を冷やす。
鳥たちのさえずりが聞こえる。
しばらくすると、道の近くで小川が流れていることに気づいた。水の音が涼しさを感じさせる。
「だあーー、疲れたー!!」
師匠はそう叫んだ。
「もう、今日はここまで。ここで野宿する」
「おい!そんなこと言ってたらいつまで経っても次の国に着かないぞ」
まだ昼の休憩からそこまで時間は経っていない。師匠は俺よりも根性がないのか…
「ダメだ、ここにする。俺はもう動けない。それに野宿するなら川の近くのがいい。あとお前を鍛えなければならない。今日の分は歩いたから大丈夫だ」
よくもまぁ、そんなにスラスラと言い訳が出てくるものだ。と思ったのを溜息で流す。
「しょうがねぇなぁ、俺も疲れたからいいけどさぁ、本当に大丈夫なのか? 明後日には次の国に付くんだろうな?」
「大丈夫、大丈夫。今のペースなら余裕だ」
師匠は森の中で少しひらけた場所へ行き荷物を解き始める。まだ飯には早いが太陽は傾いていた。




