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奴隷剣闘士からの解放  作者: 午後のミズ
第1章 解放と旅立ち
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第3話 旅立ち その2

 国を出たのは昼過ぎぐらいだった。しばらく歩き振り返るともう国の城壁は見えなくなっていた。

 しかし、ずっと広がる草原は変わらない。

 夕方になり夏の暑さも少しは和らいできた頃だ。


「あの木のあたりで今日は泊まろう。野宿だ」


 師匠は夕暮れの草原の先に立つ大木を指差して言った。


「あぁ、めちゃくちゃ疲れたわ」


 半日歩き通したため足が棒のようになり、全身が悲鳴を上げている。今にも足が動かなくなってしまいそうだ。


「お疲れさん、着いたら飯にしよう。街で食材は買ってある。次の国までは持つだろう」


 馬には鞍と旅荷物が括り付けてある。荷物と師匠が乗っていてもずっと歩いている。

 大木の下へ着き、馬を木に繋ぎテントと寝袋、大きめの鞄を1つ下ろす。鞄からは調理道具を出した。


「薪を拾ってきてくれ、焚き火をするのに必要だ。その辺に落ちているはずだ」


「なさそうだぞ……」


 辺りを見回しても道以外は草が生い茂っており木など落ちている様子ではなかった。


「探す前から諦めるな!きっとどっかに落ちてるから!そうしないと飯が作れないんだ!」


 語気を荒げて師匠は言ったが飯を食べたいという願望がダダ漏れであった。


 苦労して茂みの中からなんとか枝や枯れ木を集めてきた。辺りは暗くなりかけていた。


「おい! おっさん! 集めてきたぞ!」


 俺は叫んだ。

 歩き通した体に鞭を打ち集めた。

 バラバラと師匠が野宿の準備をしている木の下に集めてきた枝を落とした。


「おう! 遅かったなー。じゃあ、火を起こして飯にするか」


 鞄から携帯用干し肉や野菜を取り出す。

 ちゃんとした飯なんて何日ぶりだろう。奴隷の身で食べられることなんてほとんどない。残飯の中に入った肉とかだけだ。と思ったが昼にも食べたことを思い出した。昼の飯屋で食った飯はうまかったなー。

 師匠は俺の持ってきた枝をいくつかまとめて焚き火を起こす準備をしている。俺はその横で座ってボーッとその姿を眺めていた。

 師匠は組んだ枝の前で何事か呟くと右手をかざした。すると枝から火がついた。

 最初は小さな種火だったが、木の中の枯れ草や枝に火が移っていった。

 正直俺は状況が理解できなかった。右手をかざしただけで目の前の枝が燃えだしたのだ。

 ポカーンっとしていると師匠はこっちを見ながら笑った。


「どうした? 魔法は見たことがないか? あの国じゃあ魔法なんてものはまだないからな」


「魔法? そんなのおとぎ話の中だけの話じゃないのか? そんなものは存在しない」


 魔法なんて存在しないはずだ。物語や童話の中でしか出てこない。そんなのは幻想だ。


「それが存在するんだなー、この世界は広い。あの国にはないものが世界にはたくさんあるぞ!」


 そう言うと、鍋を火にかけて水と食材を入れてスープを作りだした。


「俺にもその魔法教えてくれよ!他にはどんなことができるんだ?」


 興奮する気持ちを抑えめに口に出したがやや出てしまった。


「わかった。またそのうちな、まずは剣の技術と体を鍛えることが必要だ。魔法を教えるのはそれからだ。体の基礎ができてないと魔法を覚えても意味がない。戦いの中でちょっとしたミスが死に直結する。俺も昔無茶をして死にかけたもんだ」


 師匠は遠くを見つめ何かを思い出すような目をした。そして表情は真剣そのものだった。

 過去に何があったのか気になったが、詮索するのも悪い気がした。


「まぁ、飯食って体力つけろ! そんなんじゃ生き抜けないからな」


 そう言うと、木製の茶碗を出して具材がたくさん入ったスープをよそうと俺に差し出してきた。


「あ、あぁ、わかった。歩き通しでフラフラだからな。いただきます」


「おう、俺も疲れた」


「師匠は馬に乗ってただけだろ!」


「それだって疲れるんだよ!」


「はぁ? 俺なんて半日歩いたんだぞ!馬に乗ってるだけで疲れるわけがないだろ!」


 師匠は笑いながら、スープを食べ出した。


 スープを食べて腹も膨れたので眠くなってきた。師匠はテントを用意して寝袋を敷いた。


「明日の朝も日が昇るのと同時に出発する。早く寝ろよ」


 俺もそれに従いテントへ向かった。すると、どこからか動物の遠吠えのようなものが聞こえた。


 アオーーーン!!


 木の周りに気配が突然現れる。なにかが近づいくる。


「ちっ、火を焚いていれば寄ってこないと思ったが来ちまったか」


 師匠は苦虫を噛み潰したような顔をして腰の長刀に手を近づける。コロシアムで散々モンスターと戦ってきたが、全く見たこともない、コロシアムのモンスターと比べたら大きな狼のようなモンスターが辺りを取り囲んでいた。




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