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8、毒という名を持つ者


「ねえどこまで行くの?」


「まだ歩くよ冒険してたんでしょう。」


スコープがさも運動不足だと馬鹿にした様子で答える。あれからスコープの魔法石で転移し果てしない砂漠を歩き続けていた。


体力的に辛くはないが喉が痛い。乾燥した土地で砂が呼吸器官に入るのか、そもそも空気が乾燥しているからなのか喉がかれてきている。日中は気温が高くなり汗をかきながらスコープの後をついて行く。夜はとても冷え寒暖差にストレスが溜まる。けれど、ここの星空は今まで見た景色の中で一番美しい。辺りには月明かりより明るい光はなくて静かで空が近い。


「綺麗。」


毎晩うっとりしてしまう。勇者との冒険の時は空を見上げる暇さえなかった。


「ああそうだね。」


ほぼ独り言だったにも関わらずスコープは同意してくれた。スコープはどんなときも無視しない、女だからと料理をさせる事もしないし、得意だからと率先して料理の準備をしてくれる。彼と過ごし始めて数日様々な面が見えてきた。



「ねえ私達何してるの?」


ただ歩き続けているようでスコープは時折立ち止まり何かを探すように辺りを見渡しては進むを繰り返している。


「ああ、オアシスを探してるんだよ。国から依頼されてね。」


「オアシス?国がこの広い砂漠でオアシスを探しているの?」


「ああ、そこには人を魅了する魔物が住んでいてね。そこに連れ込まれた人を探しているんだ。」


「国が依頼するような連れ込まれた人ってまさか。」


「そう、王族だよ。砂漠の王の一人娘のリアン。それに……。」


「それに?」


「いや何でもない。とにかくオアシスを探そう。」


「分かった。じゃあトレースの魔法使うよ。いつもお宝とか伝説の剣とか探すのに使ってたし。」


「うーん魔法を使うとなー。でも急いでるしな...じゃあよろしく。」


「ええ。トレース。」


スコープから渡されたリアンの手袋を握り、トレースの魔法を唱える。方向や現在の様子を確認する。割とすぐ近くにいるらしい。スコープに伝えると。


「おお、じゃあ行こうか。」


「私、転移できるから連れて行くわ。手を握って。」


スコープは迷わずに手を差し出す。転移の魔法を唱えるとそこは湖に浮かぶ真っ白な宮殿だった。


「ここは?」


私の魔法で転移したのに私自身が理解できなかった。砂漠はどこかへ消え目の間に緑豊かなオアシスが現れた。


「さあ入ろう。」


スコープは驚いた様子もなく宮殿の入り口に進む。慌てて追いかけて二人揃って入り口に立った時だった。扉が開き中から長身の男性が出てきた。


「こんにちはお嬢さん。私を愛しているかい?」


目の前の男性が口を開き私を見つめた瞬間、足のつま先から頭までゾワゾワと総毛立ち倒れそうになるのをぐっと堪える。スコープは何事も無く私を支えた。こうなるだろうと予想していたかのように。


「効かなかったか。君は魔力が強いんだね。一般女性ならもう私に縋っているよ。」


「おいドクいい加減にしろ。眼鏡をかけろ。さもないと。」


「はいはいスコープは本当に。」


そういって首にかけていた眼鏡をかける。この人にはあまり近付かない方がいい気がする。


「それでご用件は?」


「リアン様がここに居るだろう。」


スコープは睨みながら話す。話すというよりは脅すといった雰囲気だけど。


「リアン様ってあの王族のか?居るわけがないだろう。君は馬鹿か?」


ドクは本当に馬鹿にした様子で答える。スコープは表情を変えずにまた問いかける。


「じゃあここを探し回っても構わないな?」


「ああ、どうぞ。」


ドクは迷いもなく了承し笑みを浮かべている。


「さあ離れないでください。早く見つけてここから出ましょう。」


スコープは私をしっかり立たせると耳元で囁いた。なんとなく嫌な予感がして私は気を引きしめた。


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