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異界門  作者: タロー


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挑戦者

異界門に挑む人を挑戦者と呼ぶ。



ヒイロが挑戦者となる決意をしてから2週間、神殿の練兵場に通わせて貰っていた。


どれだけ自分が戦闘出来るのか……自分の実力が不安だったからだ。


その未知による戸惑いも不安も、無くなりつつある。


それは、神官戦士団からイッサー神殿長の要請で神官戦士がヒイロの面倒を見てくれていたからだ。


短く刈り込んだ髪に厳つい強面の顔は、私を見つけるとニッコリ微笑んだ。



「おはようございますヒイロさん。今日も訓練に励みましょうぞ」


「ハイ」


最初のこの人との出会いは、強烈なインパクトがあって固まっていた事を思い出す。


「サルゴウと申します。

普通、私の顔を見ると強張る方が多いんですが……表情1つ変えないとは素晴らしい。どうぞ宜しく」



いや、顔は引きつってた……はずだと思うけど、また表情に出てないだけか。


訓練をこなし過ごす時間が増えていく内に、サルゴウさんに慣れてきた。


課されるトレーニングは体幹を重点的に鍛えるモノで、2週間で見違えるように楽なった。




体が仕上がってきたので、今日から武器を持っての訓練にも移行していく。

少しずつ自分が強くなっている実感があるから、辛いけど楽しい。



因みにサルゴウさんは神官戦士団でもベテランの戦士で、美人の奥さんと結婚して私くらいの娘さんがいるそうだ。


昨年まで現役だったのだが、年齢50を前にして流石に体力の衰えを感じ取り、現在は新人教育を担当しているのだと教えて貰った。

外見からは考えられないくらい世話好きの方なので、合っている気がする。






訓練を通して解った事は、ずば抜けて力が強い訳でもなく、他者を圧倒するだけの技術もない。


私は割りと平均よりは少し高い程度の戦闘能力しか持たない……という事実だった。





基礎体力や反射神経は青級(ブルー)とは思えないくらいで、標準以上の実力はあるとの事だ。


可もなく不可もなく……何もかもまだまだ未熟という事でもある。


荒削りな技術をこの訓練で無駄を省き、少しでもマトモに剣が振れるようにした訳である。


お陰様で体の使い方も、最初に比べて大分増しになってきている。



一応はどの武器に適性があるのか掴めなかったので、一通り有名所の槍、斧、メイスを持ち変えて見るものの、どうも武器に振り回されてる感じが否めない。


悩んだ末、相談するとサルゴウさんから練兵場に置いてある訓練用のショートソードを渡された。

以降それ一筋、重点的に訓練を受け続けた。


一番癖のない武器だと言われたけれど、確かに実感と体感出来た。一振り、二振りと動作を交えて振る。


剣を振るう技術を磨く事で体術も加わり、的確な指導のもと日々勤しんだ。





更にそこから3週間が経過した。


午前中を徹底的な基礎トレーニング、午後からは武器を使った訓練に模擬戦闘。


今ではショートソードを振るっても重心は崩れないし、踏み込みもしっかりした。


現在、連続攻撃の型を教わっている。

様にはなっていないけど、ショートソード自体重すぎず扱いやすく、なかなか面白い。




掴む指にしっくりきて、私には丁度いいのかも知れない。


私が満足そうにしている雰囲気を感じ取ったサルゴウさんも微笑んでいた。


「この1ヶ月の間、お疲れ様でした。良く弱音を吐かずにやりきったものです。今日で卒業ですぞ!

最終日の今日は、異界門へ挑戦する為のお店へと向かいましょう」


今日の訓練も終盤を迎えようとした、そんな和やかな雰囲気をぶち壊す怒声が私に投げつけられた。













「はっ、さっきから見てりゃ腕もない癖にチヤホヤされやがって……緋髪の小娘が場違いな所にくるんじゃねぇよ!

目障りだっての。失せろ!!」



そう暴言を吐いて突っかかってきたのは、槌を片手に皮鎧を装備した見た目30代くらいの男性だった。

特徴的なのは、モミアゲと髭がくっついている事だ。


この練兵場は神殿内部のトレーニング施設としても完備されていて広い空間が魅力の1つだ。

神殿の職員以外の利用は有料で、黄級(イエロー)から使用が解放されており、本来なら限られた人間のみが使える施設なのだった。


ヒイロは神殿長から特別に許可された数少ない例外的な人間。



ラッツはここを普段から使っている挑戦者の1人。普段は何名かの仲間と共に来ていたのに、今日は1人だけだった。

もしかしたらずっと気に食わないと思っていたのを、仲間に宥められたりしていたのかも知れない。


今日は誰も諌める相手がいないので、思いが爆発したのかも知れなかった。



「ふん、ラッツか。最近調子にのっていると聞くぞ。

このお嬢さんはイッサー神殿長様の客人だ。分を弁えろ」


私が聞いたことの無い声色で、ビビりそうな威圧が籠った声を放った。

そしてさりげなく前へと出て、ラッツから私を守るように位置付ける。


「ロートルがでしゃばるんじゃねえ。

ここは何時から幼稚園になったんだ?

クックックッ、いや、現役を引退したてめえにゃお似合いだよ」


その馬鹿にした嗤い声に私は……睨み付け、気付くとショートソードを固く握りしめていた。


「その面ぁ、やる気な無さそうな無表情して小娘が……。

実力も無いくせにやる気かよ。

いいぜ、揉んでやるよ。相手から仕掛けてくるんじゃ構わねぇよな子守り役殿~?? 」


そう言うや、手に持っていた槌を離して、手で挑発してきた。


サルゴウさんが言葉を発する前に私は飛び出していた。

思ったより、熱い性格だったようで自分でも驚いてる。


勿論、ショートソードも手放して私の両手はフリーだ。


これなら喧嘩の範疇ですむ。



その意図が伝わったのか、ラッツはゾッとする笑みで舌舐めずりした。





体格さも筋力も負けている不利な状態での素手での格闘戦は、途中サルゴウさんの停止の声もなくなり、アドバイスへと切り替わった。



結果、善戦はしたと思う。


体力、スタミナ、経験共に全て勝る相手に序盤は拮抗……いえ、言い過ぎた。


私は一撃でも当たったら負け。相手は一撃でも二撃でも数撃は耐えるだろう。


全てかわすしかない。


序盤から徐々に追い詰められ、今は……。



私はスタミナも限界で、遂に交わしきれない攻撃がきた。


両腕を十字に固めて必死にクロス・ガード!


ラッツの一撃を何とか防御したが、暫く腕が使い物にならないくらい痺れて痛い。


そこに気をとられていたら、男が蹴りのモーションに入っていた事に気付く事が遅れた。


あっと思った時は防御が間に合わず、腹を蹴られて吹っ飛んでいく。


「ハッ、最後まで無表情かよ気持ち悪りぃ。これに懲りたら嬢ちゃんのごっこ遊びはやめときな」


最後にニヤケ顔をした男の顔が見えて、絶対お返ししてやる……と睨み返したところで、激痛から意識を手放したのだった。




神殿都市の医療院にて目覚め、側に付き添ってくれていたサルゴウさんからお説教と心配のお言葉を掛けて頂いた。


「しかし、本当に肝が冷えましたぞ。

あのラッツ相手にその程度の怪我ですんで良かったと思ってください」


「すみません、以後……気をつけます」


一旦区切ったあと、尋ねる。


「でも、あのラッツって人何なんですか?

神殿都市の神官戦士でもあるサルゴウさんにまであの態度……信じられません」


苦笑いしながら教えてくれる。


「アヤツは……ラッツ・ヒューストンと言い、まだ20代前半なのに黄級(イエロー)の実力者。

同世代の人間では頭1つ実力は飛び抜けている、新進気鋭の一人でもあるんですよ。生意気なのは昔からですぞ」


「20代!?30代かと思ってました」


実力よりもその年齢の老け顔に驚きが勝った。


最近は異界門の主を倒したパーティーに入れて貰った事など情報を貰う。


「いずれ絶対泣かしてやるって決めたので……情報ありがとうございました」


「ヒイロさんは無表情で冷静沈着と思いきや……あんなに熱くなる事もあるのですな。

イメージが変わりそうですぞ。負けず嫌いな所は戦士に向いています。

しかし戦闘では頭に血を上らせるより先に、状況判断と確認を忘れないで下さいね」


良い勉強になったでしょう?


はい!


そんなやり取りを繰り返し、体の具合も確認していく。


腹部にはもう違和感も痛みもない。



念のために痛み止め効果のある植物エキスが配合された貼り薬を持たされ、丁重に先生と看護師さんにお礼を述べて退院した。





遅くなったけれども、次に向かう先は第一城壁のある町まで。

サルゴウさんの知る武器屋や防具屋、他には異界門の攻略に役立つアイテム売り場だ。








さて、第一城壁にある店へと向かう前に神殿で行える事を教えてもらった。


各神殿の1階は異界門の使用受付をする場所が大半を占めている。

因みに異界門を使用するときは一律規定の金額が必要(低価格)なのだが、ヒイロはギフト・ホルダーのため無料だ。


2階には帰還用の異界門の間が固定してあり、そこから挑戦者は帰ってくる。

その為、2階には素材の買い取り場所が設置されている。


更に買い取り時に特別なモノ(稀少な素材を含む)があれば<物品鑑定>のマジックアイテムの使用を許された職員が常時待機している個室に連絡がいく。

何か異能が付いていると解った品々の場合は、詳しい鑑定眼を持ち、尚且つ珍しい<鑑定>のマジックアイテムを許された職員がその部屋にて対応してくれる。


また同階では魔力測定の水晶もあり、有料にてマナの蓄積具合の色やスキルの発生の有無を調べてくれる。








普通の異能のない金属武具類等は、実は神殿で買い取るよりも第一城壁にある鍛治士の店や、武器屋に直接売った方が買い取り額が高くなる事もあると教えて貰った。




売れるモノによってそれぞれに対応してくれる店を探す手間もあるが、流通しているモノによっては高い値がつく事もあるらしい。



神殿は何でも買い取ってくれるが、基本的に一律安い。

第一城壁にある店は探す手間はあるが、買い取り額は神殿よりも高い。


魔物相手に武具類の消耗は激しく、いくらでも必要になる。

店側は挑戦者に万全な体勢で素材や商品となるモノをとってきて貰わねばならないため、投資の意味合いも兼ねて安く提供している。


そしてその装備が物足りなくなるくらいに実力がついた挑戦者用に、上の装備品を扱う専門のお店を開いている者も多い。

自らの命をかけるため、武具類にお金をかける事は当たり前の事だ。













高価なアイテム、スキルカード、魔力が宿り、胃能を付与された武具等を販売は、神殿が直接取引している商会の中でも特別な一店舗のみが委託されて販売を行える。




ニーズボック商会。





挑戦者が異能付きの品を売ってくれる場合、一旦神殿側が全てを買い取る。


そのあと大神殿へ報告がいき、ニーズボック商会へ卸すかどうするか、神殿でそのまま買い取るのか協議される。

売却許可の出たモノは鑑定書と保証を付けたリストを作り、そこでニーズボックへと改めて紹介するのだ。


勿論、神殿側が卸すリストで神殿が売却したくないものはリストには表示されない。


直接手に入れたモノをニーズボックへ売りにいっても良いが、先ずは鑑定書と神殿の保証がなければ基本的に相手にされないのである。



挑戦者が命をかけてもたらした成果でもある貴金属や魔力の付与された異能が宿る様々な装備品、スキルカード、アイテム等を1手に買い取れるだけの資金力は、長年神殿と信頼関係を築ける取引を続けて成長した大商会ならではだ。


神殿都市側が成長させた……と影で言われる程影響力が強く、第一城壁よりも第二防壁近くの離れた場所に唯一店を出すことが許された事を見れば解るだろう。

それだけ、両者の信頼の証なのだと伺える。













今日はそのニーズボック商会の店舗を特別に見せて貰えることになった。

入り口から中央まで、ぐるっと丸いフロア造りになっていて、大きく3つに別れている。

各フロア毎に壁とドアで仕切られていた。




「ここでは武具類をメインにそろえてあります。

殆どは引退する挑戦者の方の異能の付いた特別な武具類を買い取り、簡単な補修整備したモノをお値打ち価格でおいてあります」


ずらっと並ぶ剣、長剣、大剣、槍、長槍、手斧から両手斧、フレイルやメイス、弓、爪の着いたセスタスなど、全て整頓されていて壮観な眺めに魅入ってしまう。


これ等が全て異能の付いた特別な武具類だというから驚きだ。



防具ならばレザーアーマーからハーフプレート、全身鎧に盾、小手、ブーツなど多岐に渡っている。


他にもアクセサリーや身に付ける装備品がずらっと並べられていた。


一通り眺め終わると、サルゴウさんが付け加えた。



「他にもここで買った武具の調整、修理やメンテナンスを請け負ってくれる専用フロアもありますぞ。

頼めば武具を一旦お預かりして対応してくれます」



<同設 アイテム売り物>


この区画にはポーションの瓶がずらりと並べられていた。

青から赤、緑等とカラフルなポーションが用途ごとに別けられている。

青は初期の毒を治療出来る解毒ポーション、赤は麻痺毒回復ポーションで、緑は簡単な体力や怪我を回復させるライフポーションだ。


効能もランクに分けられていて、ここに無造作に置いてあるポーションは異界門から発生した素材を、お抱えの錬金術士や薬師が配合して販売しているポーション。


ここで生産されるために、初級~中級のポーションは他国と比べて比較的お求め易い値段で販売されているが、ショーケースに入った特別な意匠が施された瓶ポーションは異界門で見付かった特別なポーションだ。


例えば稀に宝箱に入っている青水晶色の液体のマジックポーションは、殆どの毒と病を治しえる可能性が秘められている。

しかし、その分値段は張る。


貴重さも合間って他国の王公貴族が万が一の為にストックとして購入しておいたり、上位の挑戦者が攻略の際にどんな異常に対しても備える為に……でもない限り買えないお値段だ。




<スキルカード 異界門産の新品>




足早に最後の3つ目のフロアへ向かうと、このフロアには綺麗なショーケースに仕舞われている武具が並べられている。

中にはスキルカード等も置いてある区画もあり、先程の武具売り場とは雰囲気が全然違っていた。



「ここは異界門で稀に出現する宝箱の中身の品々を多数取り扱っています。かなり貴重な品々となりますので、手に触れる際は私共に一声おかけ下さい。

あちらには稀少な確率で存在しているスキルカードも揃えてあります。


掘り出し物になると非常に稀に異界門の主から出現した品も含まれる事もありますが、大概売り場に並ぶ前に買い手が速攻で決まって出回る事はまずありませんね。

大概何かしらの異能が付いた品々があるため、警備も厳重です」



各ショーケースには納められている武具に鑑定書付の徹底ぶり。


例えば、この赤茶色の全身マント。


これは<火蜥蜴の住む洞窟>で発見された宝箱の中身で、鑑定には<完全火耐性>……火系統の攻撃を完全に防ぐ効果の異能が付いたスグレモノの装備らしい。


その発見された<火蜥蜴~>系統の異界門は、レッサー・サラマンダーが出現する。体長は1m程の赤いトカゲ型の魔物だ。


少しポッチャリさんな体型で動きは鈍そうに見えるが、一瞬で喰らいつく事が出来るので接近戦闘は要注意らしい。

しかも爪や噛みつきの攻撃には、火の魔力が付与されていて熱を発しているから殺傷能力も高めだ。


生身で受ければ火傷も発生するし、特に革製の防具では相性が悪く、辺り所が悪ければ熱の影響もあって1度で装備破損して使い物にならなくなるという。


初心者では狩れない。

青級(ブルー)で挑むには相応の装備と知識が必要になる。


高い攻撃力と見掛けよりは素早い動きで侮った場合、初見殺しでも有名な魔物の1つである。




レッサー・サラマンダーを倒せればドロップの1つに皮がある。

その皮を繋ぎ合わせてオーダーメイドすれば僅かだけど火耐性の付いたレザー製品が作成されるので、初心者から1人前までの腕前を持つ挑戦者には人気である。


少し傷んだ中古の売り出しモノを見付けて、自ら討伐してきたドロップ品で鍛治士に修理して貰えれば、調整費はかかるものの1からオーダーメイドするより安く上がる。

市場売り場に出れば即効で買い取られる人気の品である。



火を使う魔物は総じて殺傷能力が高く、格下であったとしても侮れない。

異界門は魔物の住み処だし、数の暴力も気を付けなくてはいけない。


このマントを高額で売った黄色(イエロー)の挑戦者パーティーは、その金で火対策を施した装備品を全員分整えて、宝箱を狙って同じ異界門に挑んだが……そのまま帰ってこなかったそうだ。












さて武具も気になるけど、今回はスキルカードが1番気になる。


手の平大の大きさで、四方は金の額縁のような紋様で美麗な文字が中央に描かれるように美しいカードだった。


置いてあるカードよく見れば、中央の文字の色はそれぞれの異能で違っていた。


ショーケースを少し覗くと<薬効上昇>のスキルカードがあった。

他にも<回復上昇>のスキルもある。


<薬効上昇>は、全ての薬の効果を少量上げてくれるスキル。

似た名前の<回復上昇>は体力を回復させるポーションの効果を少量上昇や、回復に纏わるスキルの上乗せしてくれるスキルなのだと説明書きがあった。


スキルも組み合わせが大事なんだと気付く。




しかしスキルカードで覚えると、習得したスキルは今後成長しないと聞いている。


それなら余り人気がないんですよね?と、聞き返すと、サルゴウさんは首を横に振って答えた。


「強力なスキルカードは異界門の主からしか出ないと言われています。

しかし、ごく稀に宝箱から発見される効果の薄いスキルカードでも異能には間違いありません。

何もスキルを有さない人にとって、それが有ると無いのでは雲泥の差があるのですよ」


サルゴウさんも最初の青級(ブルー)だった時には何のスキルも有していなかった。

苦労を重ね、赤級(レッド)へと上がった時も鑑定して貰ったがスキルは発生しておらず、悔しい思いをしたと語ってくれた。


魔力測定水晶で自分の器がどの段階まで達したのか解るが、スキルは必ずしもついてくる訳ではないという事だ。


現実に黄級(イエロー)でも、1つしかスキルを持っていない者もいると言う。


サルゴウさんは赤級(レッド)の時に無理をしても借金し、このお店で<薬効上昇>スキルを買って覚えたのだと、教えてくれた。


そのお陰で引退するまで、何度かの危機や死にそうになったピンチもポーションを飲んで死なずに乗り越えた事もあったんですよ……と笑いながら語ってくれた。



そのあとニーズボック商会本店を出て、第一城壁にある初心者用の物品が多く置いてあるお店に戻って、買い物を済ませた。


銅製のショートソードを一振りと動きやすい初心者オススメの動物の皮で加工されたレザーメイル、レザーブーツ、レザーグローブの着心地を確認していると、緋色のスカーフが畳んであるのが見えた。


何故かとても気になってしまう。


「ねえねえサルゴウさん?頭の装備のレザーヘルムの変わりにこのスカーフでも良いですか?」


「イッサー神殿長から、見込みある者への援助費だと頂いたお金から出てるので構いませんよ」


「ありがとうございます」


首にフワッと巻き付けると、気合いが湧き出てくる。


よし、装備は揃った!


機嫌良くニコッと笑ったつもりでも、鏡には口角が1㎜くらいしか上がって無かったのは言うまでもない。



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