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新宿二丁目の男の娘   作者: 小鳩
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第8話

「はい、代わりました」カバンの中にしまいっぱなしのスマホに一度かけていたらしく、出ないので真白に掛けた。真白からスマホを受け取り電話を代わる勲。

「ああ、町村さんですか」

「はい。どうしました?」

「えっとですね。はっくしょん! ごめんなさい。ええと、ヨーコさんから電話がありました」真白の言った通り風邪気味のようである。

「ヨーコさん?」

「この前連絡先交換しておいたので私にかかってきたんですけど、町村さんに話があるそうです」

 電話口で若干ビクッてなる勲。まさか手を出されるのではあるまいか、スカウトされるのではないだろうかと、あの場特有の予想と恐怖を抱いている。

「な、なんでしょうね」

「さぁ、わかりません。出来れば近いうちに来てほしいって言ってました」

「お店にですか?」

「たぶん」

「兄貴関係かな、なんだろ」

「ヨーコさんに連絡先教えてもいいですか?」

「ええ、構いません。あぁ、佑奈さん。僕にも後でヨーコさんの連絡先教えてもらえますか」

「はい。じゃあ後で送っておきますね。すいません、風邪っぽいので寝ますね」

「ありがとうございます。じゃあお大事に」

 電話を切る勲。スマホを真白に返す。

「そうか、ダーリン売るのか」

「売りませんってば!! やめてください、ゾッとする…」

 身持ちは固い勲。という問題ではないが、さすがにそういうことではないだろうと自分に信じさせたいため否定しておく。昨日会ったばかりの兄の知り合い、何の用事があるのだろう。全く見当がつかない。食べ終えたチャーハンの皿を片付けながら考え続けるが、やはりダメ。取り敢えず会って話すまでこのことは忘れておこう、そう決める。

「さて…」

「はい」

 片付けを終え腰掛ける勲。それを待っていた真白。

「モンハンやろう」

「僕勉強したいんですけど…」

「いいじゃーん! 一か月ぶりなんだから少しは付き合えよー!」

 敵わない。諦めて真白と佑奈に強要されて購入した3DSを取り出し、しばしゲームタイムが始まる。


「相変わらず下手だね」

「センス無いのは知ってるでしょう…」

「ダーリンが上手くならないと○○○狩りにいけないんだってばよ」

「せめて一人で三乙するのだけはやめてくれ。しかもイノシシで」

「ぐ…」どんだけ下手なのかはお察しの通り。

「さて、遅くなっちゃった」

「もうこんな時間か。どうします? 帰るなら駅まで送りますよ」

「どうしよっかな」

 腕時計を見ながら考える真白。勲としては今日に関してはどっちでもいいと考えている。泊まるもよし、帰るもよし。どちらかといえば泊まってほしい気持ちのほうが強いかもしれない。何度も行っている通り一ヶ月ご無沙汰だった。当然あっちもご無沙汰。少しだけ期待している。

「泊まっていい?」よっしゃキタコレ。

「ええ、構いませんけど。着替えありますか?」昨日と同じ格好の真白。それに気づいて確認する。

「あぁ、そうか。一泊はすると思ってたから持ってたけどもうないや」

「家戻ります? 買いに行きます?」

「近くにお店あったよね、ディスカウント系の」

「ええ、歩いて15分くらいで」

「買いに行こう。ついてきてもらえる?」

「もちろん」

 腰を上げ出かける準備をする二人。うすら寒くなってきた、上に一枚羽織る。真白に腕を組まれ振りほどくわけにもいかずそのまま靴を履き外に出る。すぐそばだから敢えてなのか、それともまだ忘れたままなのか。勲のスマホはカバンの中。そのスマホがまた鳴っていることに当然彼は気づいていない。

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