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新宿二丁目の男の娘   作者: 小鳩
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第2章:僕、ノンケなんですけど(第9話)

 ゲーム、アニメ、雑談、アレ。結局遊びに来られると勉強なんてできやしない。深夜まで真白に付き合わされた勲。10時を回ったくらいで目を覚ます。隣にはまだ寝ている真白がいる。

「今、何時…」

 寝ぼけた状態で、テーブルの上をまさぐる。そこでやっとスマホがカバンの中に入れっぱなしであることに気付く。

「あぁ、カバンの中か」

 昨日帰ってきてそのままだったカバンからスマホを取り出し現在時刻を確認する。そこには1件の着信履歴と佑奈からのメッセージがあった。

「あぁ、そっか。佑奈さんからヨーコさんの連絡先送ってもらってたんだ」

 一晩放置していたメッセージにまず返事をする。そして次に着信履歴を見る。それは今見たばかり、佑奈から送ってもらったヨーコの電話番号だった。

「早速か。何だろう、そんなに急ぎなのかな」

 時間にして昨晩の10時頃。店も忙しい時間であろうにもかかわらず勲に電話をしてきていた。掛け直そうかとも思ったが、夜の仕事で今の時間は休んでいるであろうことをわかっているので、向こうからかかってくるのを待つことにする勲。そのままスマホをテーブルに置いて朝の身支度にかかる。


 11月末、冷えてきた。お冷ご飯を電子レンジに入れ、インスタントの味噌汁にお湯を注ぎ納豆を冷蔵庫から取り出す。テーブルをはさんで寝ている真白を見ながらの朝食。部屋は狭いがこうしていると同棲しているようにしかみえない。佑奈の家でしょっちゅう一緒に寝ているではないかとも思うが、むこうは広く少し非現実的感があり、学生の同棲という感覚にはならない。今こうして彼女が目の前で寝ているこの光景こそ、大学生なら一度は夢見る景色ではなかろうか。

「ダーリン、のど乾いた」

 目が覚めた真白からおはようより先に要望を告げられる。

「おはようございます。何がいいですか?」

「んー、なんでもいいや」

「はい、ちょっと待ってくださいね」

 立ち上がり冷蔵庫からお茶のペットボトルを持ってくる。それを渡すと、布団から起き上がってくる真白。上はノーブラTシャツ、下は下着だけ。ちょっと目のやり場に困りそうなものだが、さすがに慣れた勲。何事もなくその姿を見ている。

「……、ふー、おはようダーリン」

「おはようございます」

「へくちっ!」くしゃみを一つする真白。流石にその恰好では寒いだろう。服を着るかと思いきやまた布団に潜り込む。

「今日、バイト行くまでいてもいい?」

「いいですよ、もちろん」

「じゃあ、12時になったら起こして」

 そういって、頭まで被った布団の中でまた寝息を立て始める。おやすみ三秒を身につけている真白、見習いたいもの。

「さて、と」

 朝食を済ませ食器を片付ける。そして、暫く土日も大学に入り浸っていたため散らかっている部屋を見渡す。「少し片づけねば」寝ている真白を起こさない程度に部屋の片づけを始める勲。

 大体は本がとっ散らかっているだけだが、キッチンには出せなかったゴミが少し溜まっている。腐るようなものはないが気になる。先にアパートのごみ置き場に出しに行く。ゴミを出し終わり部屋に戻り、改めて部屋の片づけに取り掛かる。

 押入れにものをしまうため引き戸を開け引き出しを開く。するとそこには以前、男の娘の格好をするときにはいていたストッキングが出てくる。

「まだあったんだ…」指先で摘まんで顔の前にかざす。佑奈でも真白のものでもない。元はといえば佑奈が履く予定だったものか、邪な感情は湧いてこない。

「もう捨てちゃってもいいかな」

 ゴミ袋に入れようとした時、思いとどまる。

「このまま捨てると変態に思われちゃうか。ちょっと考えよう」

 結局元あった自分の着替えの入っている引き出しの最も奥にしまい込む。その判断が結果正しかったことを、この数日後思い知ることになるのだった。もう履くことはないと思っていたのに、まさか…。

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