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新宿二丁目の男の娘   作者: 小鳩
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第55話

「こんばんわー。今日は私のふるさと、新宿二丁目にお邪魔しています。勝手知ったる場所なので、今晩はいつもよりは攻めた放送になる、と思います。恐らく、知り合いも多々登場することになるでしょうけど、引かないでねー。では今日も始まります『オネエのYamanote Midnight↑』」

 ゆっくりと歩くミランダ。その前にはテレビカメラ。今ミランダは自身の出演する番組の撮影に臨んでいる。「用事がある」とはいっていたが、まさかのテレビ撮影。そういえば連れていかれた勲はどこへいったやら。


三十分ほど遡り…


 店を出る二人。それを見送るヨーコ。

「兄貴、これから何すんの?」兄の隣を歩く妹。とりあえずまだ何も聞かされていないので、まずはそれを彼(彼女?)に問う。

「撮影よ、撮影」

「撮影?」

「そ、私のレギュラー番組の撮影。今日二丁目でやるのよ」

「ふーん…」遊びで二丁目に来ていたわけではないらしい。まずそこの疑問は晴れる。

「で、何の番組?」

「あら、知らない? 『オネエのYamanote Midnight↑』って番組。今日のロケ地がここなのよ。もうすぐスタッフと合流する予定なの」

「相変わらず攻めた番組ばっか出てるね…。テレ○?」

「そ、テ○東」流石です。

「で、そこになんで俺が必要なのさ」

「いつも素人捕まえて、その人と一緒にその街を歩くのよ」

「へー」

「で、二丁目だとどのみち私たちみたいな人間しかいないだろうから、ノーマルな人捕まえた方が面白いし、そこでアンタよ」

「ふーん…。ん??」自分の意思の介在しないところでテレビ出演が決定した瞬間。

「ギャラは出るから、手伝いなさい」

「ギャ…、じゃなくてちょっと待った! オレこの格好だぞ!?」

「何か問題ある?」

「あるある、大あり。テレビに映るんだろう、しかも全国に。こんな恥晒せないっての」

「言わなきゃバレるわけないわ。それに○レ東だからキー局少ないから平気よ」そういう問題だろうか。

「あんまり表立ったことしたくないのは知ってるわよ。だからこそその格好でならいいじゃない、ってことよ。腹括りなさい」

「えぇ~…」

 押し切られ結局スタッフの集まるところへと連れていかれる勲。これが数十分前の出来事。そして現在に至る。



「さて…、相変わらずの雰囲気で私も落ち着くけど。今日のお供はどの人にしましょう、か…」番組冒頭でアシスタントの一般人を見つけるのがこの番組の流れ。さて勲はどこにいるのだろう。

「あら珍しい。女の子が一人で歩いていますね。ちょっと声をかけてみましょうか、もしそこの彼女~」

 薄明るい繁華街の広くはない路地を歩く一人の女性を見つけるミランダ。番組の流れなのだろう、近付き声をかける。

「は、はいー」

 返事をする女性、もちろん勲。ぎこちない返事、誰が聞いてもすぐにわかる。ロボットのように振り向き、そしてその顔は非常に…、テレビに映すなんて到底ムリ。

「はい、やり直し」

「えぇ~」

 冒頭だけでテイク6までいったそうな。

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