Phase8-7:正義を行うべし、たとえ世界が滅ぶとも
「コンスルさん! イーオンの使いを名乗る者が、衛兵を振りきって城に入ってきました!」
「構いません、すぐにここへ案内してください」
「は、はい――おわっ」
報告に来たコンスルの部下は、後ろから小突かれて会議室の中へと倒れ込んだ。
「もう来てるぜ。届けもんだ」
室内にいた面々が茫然とする中、ハンスは小脇に抱えた段ボールを円卓に置いた。
「ガイドラインの作ったインカムだ。これで多少はイーオンと連携が取れるだろう」
「助かります。君、すぐに指揮官クラスのプレイヤーたちに配ってください」
コンスルは会議室にいる人数分のインカムを取って、倒れている部下に指示を出す。部下は頷くと、段ボールを持って出ていった。
「ところで、お宅の火蜥蜴が街で暴れ回ってたぞ。ちっこいのが近付いてきてるのに、大丈夫なのか」
「あいつはああいうやつなのよ。私たちは少しでも可能性があるのなら、こっちに付く」
会議室にいたクラリスが言って、隣のトルストイが頭を下げた。
コンスルがインカムを耳に付けると、ハンスがケイを呼び出した。
『ありがとうハンス。コンスルさん、聞こえてますか』
「はい。ルシオラですね」
『理解が早くて助かります。今から作戦を説明しますね』
「わかりました」
コンスルに促され、各国の要人、クラリスやトルストイ、レナもインカムを耳に取り付ける。
『時間がないのでシンプルにいきます。まず、すぐに艦隊を編成してください。できればこの前のショウタイムのような陣形でお願いします。それから、シルフを使って防御陣を。小型アーティファクトの光弾はほとんどそれだけで無力化できるはずです。こちらのラインの乙女で確認済みです』
コンスルの視線を受けてクラリスが頷く。
『陣形が完成したら、こちらの軍と同時に緩衝地帯に乗り込みます。サラマンダーとウンディーネが先陣を切って露払いをしながら、できる限りの早さで艦砲射撃の射程距離まで近付いてください。座標は後ほど』
ジョーは作戦に参加できそうになかったが、トルストイが頷く。
『あとはタイミングですが、これはそこまで深く考えなくてもいい。例え攻撃開始のタイミングが多少ズレても、攻撃し続けて一秒間に必要なダメージを叩き出せれば問題ありません。秒読みは自分が担当します。カウントがゼロになったと同時に、攻撃開始です。役所に避難している攻撃可能なプレイヤーにも、同じタイミングで侵入してきているチビを攻撃するように伝えてください。一でも多くダメージを与えたい』
「わかりました。みなさん、急いで出撃の準備を」
指示を受け、面々は慌ただしく会議室を出ていった。
「じゃあレナ、行ってくる」
「私も、ご一緒させてください。なにもできないかもしれませんが、せめて最後はみなさんと共に」




