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(36)判断ミス

 判断ミスは、人である以上、誰だってあるだろう。猪口(いのぐち)もご多分に漏れなかった。

『妙だなぁ~、地元の人はアア言ってたが全然、バスが来ないぞ…』

 猪口は田園が広がる中、誰もいないバス停で雑念を浮かべながらバスを待っていた。地元の人とは、バス停近くの田を耕す老人だったが、少しボケが来ていて、わずか一日に2本しか通らないバスが通ってしまった後だということを忘れていた。猪口はその日はもう来ないバスを待っていたのである。待てど暮らせど来ないバスに、猪口はついにブチ切れた。

「全然、来んじゃないかっ!!」

 猪口はバス停の古びた木製の長椅子から立つと、(たず)ねた老人にもう一度、訊ねた。

「あの…大分、経ちますが、バスが来ないんですが…」

「えっ! ああ、そうかね…。今、何時だがや?」

「三時過ぎです…」

「あっ!! もう、そんなになるけぇ~。だったら、今日はもう来ねぇ~だ。どうなさるかね?」

「ええっ!!」

 猪口は瞬間、愕然としたが、もう遅い。その日、五時までに会社へ帰らないとド(えら)いことになると分かっていたからだ。さて、どうするっ! 猪口は判断を迫られた。ともかく、駅に出ねば…と思った猪口の足は勝手に動き出していた。バス停から駅まで徒歩で一時間以上あるというのに…。猪口はこの段階で判断ミスを犯していたのである。ボケているとはいえね訊ねた老人は軽トラックを運転してバス停の裏へ止めていたのだ。猪口は老人が見渡す限り田畑が広がるところにどうして来れたのか? という疑問を抱かなかった。それが猪口に、とんだ判断ミスを犯させたのである。『おじいさんは、ここへどうして来られたんですか?』と、もう少し雑念を湧かせて問えば、『ワシかね? ワシはその裏に置いてある車で耕しに来たんじゃが…』と、なったはずだったのだ。バス停裏の死角が判断ミスを呼んだのだった。

 判断ミスを起こさないためには、雑念を研ぎ澄ます必要があるようです。それが出来る人は、判断ミスが許されない参謀や軍師、アドバイザーetc.に向いているのでは? …と思えます。^^


                  完

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