黒の勇者と白の勇者とその出会い2
ストックの消耗速度に恐怖を感じてきたので明日の更新以降は隔日更新になります。
もしストックがたまったら毎日更新に戻ります。
可能性は低いけどストックたまるよう頑張ります。
まあ、隠してもしょうがないか。
「その通り。どこらへんで分かった‽」
「ぶりっ子タイプの動きをしているのに一人称が僕と言うところです。これだけでしたら前世でそういう子だった可能性もあるかもしれない。ですが、どちらかというと男の方が女の子のふりをしようとした結果、徹しきれずにボーイッシュな子程度で妥協したという方が可能性が高いと思ったまでですよ」
「一つだけ訂正させてもらうと記憶が戻る前から一人称は僕だった。大筋は間違っていない」
スラスラと自信ありげな言葉を述べるクルスを見ると少しイラッとする。
ただ、今の言葉でこちらももう一つの確証が持てた。
「そういうお前は前世が女だな?」
「……ふう。ええ、そうよ。参考までに理由は教えてくれるかしら」
意外に潔く認めたな。
「行動が理想的すぎる。確実に演技していると思わせるほどに。それも男から見た理想じゃなくて女から見た男の理想の姿みたいな感じだ。それにさっきの分析は男ができるようなものじゃないと思うぜ」
「確かにクルスならそんなことことしないわね。百点満点よ」
同時にため息をつく。
「五年も演じていればここにいるのが私じゃなくてクルスなのではないかと感じる瞬間もあります」
「僕も一人称は俺よりも僕の方が慣れてしまってる自分がいるよ」
お前も苦労したんだなという意味を込めて視線を送ると同じ目が返ってくる。
人間という生き物は同じ苦労を味わった人を見ると簡単に共感が湧くらしい。
この人とは意外に仲良くやれるかも知れない。
「では改めましてこんにちは。白の勇者のクルスと申します。よろしくお願いします」
「今はこんばんはじゃないかな‽黒の勇者のミーアだよ。これからよろしく」
「でもさ、違ったらどうしようかと思ったよ。一応男と二人っきりだし」
「クルスはそんなことをする男ではありません!!」
「では方針を決めるとしましょう」
気を取り直して口を開くクルスにいぶかしげに目を向ける。
スタブに向かっているということは同じことを考えているんじゃないかな。
「それを聞く意味ないと思うよ」
「念のためですよ」
うーん本当に意味はないと思うけどなあ。
「スタブのダンジョンでレベル上げしながらほか勇者の情報を収集。もしくは名を上げて探しに来てもらう」
それ以外に選択肢が提示されていないともいう。
「やっぱりそうなりますか……。何か目新しい案を期待したのですが、淡い期待ですが」
「結局、RPGとかのゲームって仲間を集めてレベルを上げてボスの居場所を探して殴り込みをかけるだけだもん。それ以外にできることなんてほとんどない。それを踏襲するとこのうちできることを一番効率よくやるだけ」
それを聞いて納得したのかクルスが一つ頷いて話す。
「ではあとの問題は魔王の居場所を探すくらいですかね」
「一切情報の出てない存在相手にはどうしようもないよ。それは神様に祈っておくことじゃないかな」
この世界には五柱もいるんだから一柱ぐらい聞き届けてくれるさ。
「これからパーティを組むことになるだろうからお互いの強さを把握した方がいいと思うんだけど。何ができるか何ができないかとかね」
気が重いがどうせ避けては通れない道だしと考えながら自分から言い出すことにする。
「そうですね。私から行きましょう」
そう言いながらクルスが先に口火を切ることに先延ばしだと分かっていても少しだけ安堵する。
「クラスは僧侶、聖戦士、癒し手を持っており、僧侶はレベルが34、聖戦士の熟練度が80程度、癒し手の熟練度は20をすこし超えたぐらいです」
僧侶はいろいろ耐性のつくメインクラス、癒し《ヒー》手は確か『術士』系の一つだったかな。
聖戦士は……なんだっけ‽
思い出すより聞く方が速いか。
「聖戦士ってどんな特性持ってたっけ?」
「信念に基づく行動に補正になります。ですのでクルスの意に反することはやらせないでください」
ああ、思い出した。クラスの制約に正義を行う限りって書いてあったやつか。
あの時はてっきり悪役プレイができなくなる制約の代わりに強めに設定されてるクラスだと思ってた。
「そして、少しですが天使混ざってますから非戦闘時なら上級までの回復魔法は使えます。戦闘中も初級の回復ができますので戦線を維持することはお任せくださいね」
それはもう一つ以外は問題が全くないね。
「それはもうパーティー組む必要ないね」
その一つが僕にとって致命的なのだけど。
「いつ合流できるかわからなかったものですから自分一人で戦えませんとね。今度はあなたの番ですよ?」
冗談と思われたのかさっと流されてしまった。
「戦士、賭け事師、祈る者の三クラス。レベルは戦士が27でサブの二つは両方マスター」
「もうサブクラスを両方マスターしたのですか!?」
驚いてる驚いてる。
自慢できるとしたらそれぐらいだからきっちりしておかないとね。
「両方ともマスターするのは簡単だよ。たいしたことないって」
気持ち胸を張って答える。
「その言い方ちょっとうざいからやめた方がいいわよ」
素が出るほどうざかったらしいクルスが眉を少しひそめながら答えた。
仲間と事を構える気はないので少し言い方に気を付けてつづけるとしよう。
「種族はケットシーとカーバンクルのハーフだからマイナスの補正がきつすぎて戦闘は期待しないでね。その代りクリスタルからのドロップ品は大いに期待するがいいさ」
「ドロップの方は期待させていただきます。では、実際に戦闘の時は何ができるのですか」
「アイテムによる補助と補正のかからない弓と剣かな」
クルス眉がぴくっと動くのが見える。
「魔法は‽」
「下級がせいぜいかな」
クルスの口元が少し引くつくのが見える。
自分で言っていて悲しくなってきた。
「……つまりほぼ戦力外ということでよろしいのですか?」
「……まったくの役立たずってわけでもないと思うよ?」
「魔王倒さなきゃいけないのに何で戦力外のキャラを作ったのよ!!」
「ゲームだと思ってたんだ仕方ないだろ!!」
「それサブクラスを変えればいいだけじゃない!!どうにでも修正もできたでしょ!!」
「無理だったんだよ!!性能の半分が生まれに依存しているから!!」
逆切れというものだと分かってはいるが補正をかけても焼け石に水っぽそうだったのだからしょうがないじゃないか。
1の二倍と2の二倍には当然だが二倍の差があるのだ。
「ふう……。しかたがありません。それではミーアさんには戦闘中には後から弓で援護お願いいたします」
「ふー……。元からそのつもりだよ。申し訳ないけどクルスには無理をさせることになると思う」
気を取り直したように言ってくるクルスに言葉を返す。
……そんな目で見ないでよ本当に申し訳ないと思ってるからさ。




