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猫耳少女の素敵異世界勇者録  作者: apricoap
黒の勇者と赤の勇者
27/28

勇者二人とエンゲージ3

ブックマークがちょうど100

皆さんありがとうございます

「えっらい目に会ったぜ。その人がブラックの言ってた助っ人か?」


「ブラック?」


「僕のあだ名らしいよ。ほら、僕は髪も目も黒いから」

不思議そうにレオンに聞くシーアに慌ててフォローを入れる。


「それだったら私もブラックでいいよ。これでミーアちゃんとおそろいだね」


「いやいやいや、シーアはちゃんと名前で呼んであげてね。レオン?」

食い気味にレオンににじり寄る。


「おっおう。わかった。シーア……だな」


「むう、おそろいにできなくてちょっと残念。でもさ、レオンくんだっけ?えらい目という割には顔を赤くしてたよね」


「顔が赤いから楽しいってわけじゃねえだろ」

実はあれをやろうとしたらいくらぐらいかかるんだぜとかレオンには通じないだろうしなあとレオンとシーアの会話を聞き流しながら思う。


「あーあ、こんなことならホワイトについて行けばよかったぜ」

その言葉は聞き流せない。

それにその言葉は二回目だということをお忘れかねレオン君。


「忘れたのレオン。ちゃんとレオンにも楽しめる場所があるって言ったじゃないか」


「どこだよ、そこ」


「それ、私も気になるな。どこを紹介する気なの?ミーアちゃん」

五年も行ってないしさすがにシーアも気が付かないか。


「酒場ローレライ。目的はもちろんお酒を飲むことじゃないけどね」






この世界の五つの神様。

それぞれの特性は司るメインクラスとほぼ等しいと考えてもいい。

赤の神の信者が自らの腕を磨くように、青の神の信者が知識を深めるように、黄の神の信者が何かを創り出すように、白の神の信者が理を守り続けるように、芸人《アーティスト》をメインクラスとする黒の神の信者は人を喜ばせることを目指す。


より大きな街に行けば路上で絵を描く人や演奏する楽士がたくさん見られるだろう。


この街でも行くとこに行けばそう言う人たちの集まっている場所がある。

それが酒場ローレライだ。




「どうよ、レオン楽しんでる?」

囚われの姫を助けるために大きな魔物に挑む英雄譚の歌が終わり、そこらじゅうで拍手が飛び交う中、夕飯となる固いパンを牛乳に浸してちびちびつっつきながらレオンに聞く。


「歌が悪いわけじゃねえんだが、俺様はクラシックを聞いてると眠くなんだよ」

曲調がゆっくりとしているだけだと思うんだけど、たぶんレオンはそれが気に入らないのだろう。


「じゃあ、レオンはどんな曲が好きなの?」

レオンに聞きながらついでにシーアに目だけでコンタクトをとると小さなうなずきを返される。


「そりゃ、熱く燃え上がるような曲だぜ。ハイレンジャーのオープニングみたいな」


「ふうん?じゃあ、ステージの方へ行って来たら?」

言葉を理解できずに首をかしげるレオンにステージの方をつんつんと指で指す。


そっちのほうではさっきのアイコンタクトを受けたシーアがステージで歌う許可を得られたと両手で丸を作っていた。


「うっ歌うのか」


「好きなんでしょ?漢なら潔く歌ってきなよ」

心なしかびくびくしながらステージに上がったレオンは伴奏もなしで歌い始めると段々と乗ってきたのか大きな声で吠え始めた。

そう、歌うじゃなくて吠えるというのがふさわしい歌い方だ。


「上手くはないけど心を熱くさせてくれるいい歌ね」


「勢いだけはあるよね」

本人が本当に楽しそうに歌っているからか、周りのテーブルからもハーモニーを大声で歌い上げたり歌ったり、リズムに合わせて手を叩き始めたようだ。


「そう言えば、ミーアちゃん昔は歌手になるのが夢だって言ってたよね。急に冒険者になるなんて言ってびっくりしちゃったよ」

歌も終盤になってシーアに質問される。


「昔のことだよ、昔のこと。芸で食べていくには才能がなかったからね」

昔と言うのは正確には記憶が戻る前のことだ。


この店の記憶も正確には記憶の戻る前のミーアが覚えていた店だ。


「私は好きだったし、才能もあったと思うんだけどな」

そうだったのかもしれないけど……ね。


「そういうわけで、次はミーアの番だね」

うん?変な言葉が聞こえたぞ。


「何が僕の番なのかな。シーア」


「ステージで歌うことだよ。さっきついでに許可をとっておいたからね」

人差し指を立てて頬につけながら首をかしげる。

可愛らしいけどそれはそれこれはこれだ。


「いやいや、もう5年も歌ってないから本当に才能があったとしても無理だよ」


「俺様だけに歌わせるのはないと思うぜ」

有無を言わせない語調で肩に手を置かれる。


「さっき結構楽しんでいたと思うけど?」

言いながら斜め後ろに目を向けると案の定歌い終わったレオンだった。


「楽しんだけど、」


「漢なら恨みぐらい忘れてよ」


「ハイレッドは復讐は必ずする主義だからな」

漢を表題にするのにみみっちいな、それでいいのかヒーロー。


あきらめてステージに立つ。

眼下に広がるのは人、人、それに人。


今世どころか前世でもこんなに多くの人の前で歌ったことはない。

緊張する方ではないけどしない方なわけでもない。


前世でカラオケにもいったことないし、今世で知っている歌も一つしかない。

だけどなぜかその歌なら最後まで歌える気がした。


パズルのピースは気合いで埋める。

忘れた伏線は無理矢理突っ込む

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