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猫耳少女の素敵異世界勇者録  作者: apricoap
黒の勇者と白の勇者
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黒の勇者と白の勇者

結局クルスがけがして助けを呼びに行ったわけさ。

でも道中は本当に危なかったよ。


ん‽最終的に二人とも助かったかって‽


んーここでこの話を何でもないことのように話す僕がいるってことはそういうことだよ。


助からなかったらもう少し暗い顔をしていたと思うよさすがにね。


先に言っておくけど道中で具体的にどんなことがあったのは恥ずかしいから聞かないでね。


僕にも恥じらいというものはあるんだ。


あの時は半狂乱になっていたからね。


それを僕の口から語らせるなんて鬼畜なまねはしないと信じてるよ。


いや、違うからね?ふりじゃないからね?


……ともかく僕はスタブ第四層のギルドの医務室で目を覚ました。


話はそこからだ。






「知らない天井だ」

目を開けると知らない天井があった。

寝ぼけたまま条件反射のようにつぶやく。


「それはそうでしょう。むしろ知っていたらびっくりです」

ぼけっとする間もなくハスキーな丁寧語が左から聞こえて来た。


まさかと首を左に少しひねって確認すると思っていた通りの白い髪白い眼を持ったイケメンがベットの横に立っている姿が瞳に映る。


「クルス無事だったんだね!!」

思わず上半身を起こしかけるとそっとクルスに肩を抑え込まれた。


「ミーアはそのまま寝ていてください。疲労を回復する魔法はないですから、ここで休んでおくのも大事なことです」

そう言われてから自分の体調に気が付く。


全身がだるく少しだけだが節々が痛い。


「起き上がれに程じゃないよ。というかクルスだって立ちっぱなしじゃないか」

「さっきまで寝ていたから大丈夫ですよ。元気いっぱいです」

力こぶを作るようなポーズで元気アピールをされた。


その元気そうな様子を確認して心の中で少しだけ安堵する。


まあ、それはそれとして……ね。


「さすがに人が立っている横で寝ているのは心が痛いからね。起き上がっておくよ」

今度はゆっくりと上半身を起こし、靴の履いていない素足をベットから降ろす。


床に足が付かないのに少しだけイラッとする。


こんなにベッドを高くする必要ないじゃないかと。


「で、ここってどこ‽」


「ギルドの医務室です。今日までの費用は払いましたからゆっくりしてても大丈夫ですよ」


ほぼ予想通りの答えに加えて予想外の答えが付いてきた。


「よくそんなお金があったね」

てっきり借金をしたと思っていたから予想外の部分を問いただす。


その質問にクルスは右手で頬を掻くと少しだけためらった後話した。


「鎧一式を売りました。あと、事後承諾ですがそれだけじゃ手持ちが足りなくてあなたの弓も救助費用に消えました。バルドルさんも気の毒に思ったのか結構高めに買い取ってくれましたよ」


少しだけ恥ずかしそうに申し訳なさそうに語るクルスにむしろその手があったかと驚いた。

その手にもう少し早く気が付いていたらあんな言葉をこの層のギルドで叫ばなくて済んだのにと。

じゃああの恥は無駄はじだったのかとそこまで考えた時に失神の直前に見た赤髪と赤目を思い出した。


「そうだ助けてもらった人はちゃんと見た‽」


「それがほとんど見てないのです。実は途中で使い切って精神力が足りなくて昏倒してしまいました」


「よく間に合ったね……」

あんなにあった魔法薬《ポーション》を使い切ったのかと少し震える。


「ここに運び込まれたときはギリギリだったみたいです。でも、口が麻痺するほど『ヒール』を唱えたおかげでサブクラスの治癒士《ヒーラー》なんてマスターしてしまいましたよ」

そして、あんなにあったのにギリギリだったのかと改めて震えた。


「それで、助けてもらった人がどうかしたのですか?謝礼の方はギルドを通して送っておきましたが」


「それもあるんだけどね。助けてもらったのって赤の勇者なんじゃないかなと。一目でクルスと最初に会った時と同じようにビビッと来たから思わず安心しちゃったよ」


「その後は仲間が敵地に取り残されているのに薄情にもぐっすり寝ていたということですか。失望しました」

一瞬驚いた顔をしたかと思うといつものクルスに有るまじきいたずらっぽい顔をしてそうのたまった。


言い訳できない弱点を突かれたかのようにうっという声が漏れる。

いや、実際につかれたんだけどね。


「ふふ、嘘です」

あたふたといいわけをしようとする僕の姿を見て満足したのかすぐに先の発言を撤回するクルス。


「まさか正義の聖騎士《パラディン》様が嘘をつくと思わなかったよ」

「私《・》だって人間ですよ。嘘ぐらいはつきます」

苦し紛れの反撃すら通じなかった。

今のクルスは手ごわい。


「ミーアの目利きを信じるならギルドを通してその方に言葉を伝えてもらうかもしくは名前を教えていただくかですか……」


「そんなとこだろうね。まっそういうのは後で考えよう。災い転じて福となす。大事がなくてよかったよかった」


「最初にミーアが言い出したことじゃないですか。でも、後ろの言葉には大賛成です」


そこで会話が一度途切れどちらからともなく背筋を伸ばす。


僕がベットに腰を掛けてクルスがそののそばに立つといういつかと同じようなシチュエーション。


だが、今まで積み重なった分だけかわされる言葉は変わっていた。


「助けてくれてありがとうございました。そして、今後ともよろしくお願いします。黒の勇者ミーア」


「セリフをとられたなあ。こっちこそありがとう。そして、改めてよろしく。白の勇者クルス」


次回新キャラ登場

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