誘拐
意識を無くしてどれくらい経ったのだろうか。俺は目を覚ました。
「どこだここ」
見覚えのないところにいた。というか、電気がついていないため真っ暗でよく見えん。
「起きましたか?」
「その声は日向か」
日向と思われしきシルエットの奴はイスに足を組んで座っていた。
「あなたを呼んだのは意味があります」
「これを呼ぶというか。誘拐の間違いじゃないだろうか」
俺は今ロープでぐるぐる巻きにされている。
「その意味と言うのは……」
「俺の言葉は完璧無視だな、おい」
「その意味、それはケイトさんと結婚してもらうということです」
「話が飛躍しすぎだ。てか、人の話聞けっつーの」
学校の時は「お付き合い」とか言っていたが、今は結婚ときた。
「そうですね、3年後に結婚してもらいましょうか」
「してもらいましょうかって、俺の意志は完璧無視か」
「高校卒業と同時に結婚でいいんではないでしょうか?」
「……もう勝手にしてくれ」
俺は呆れていた。
「喉は渇いていませんか?」
「いや、大丈夫だが」
「そうですか」
日向は指をパチンとならした。そうすると、どこからともなくメイドさんみたいなのが来て、なにか飲み物を飲ませてもらっていた。
「お前は何様だ」
「俺様、ですかね?」
「…………」
中学生みたいな答え方だな。中二病乙。
「ところで今何時だ」
「6時ですね」
「マジかよ」
今日の晩飯は確か長女の有希が作る予定だったはずだ。兄貴と義姉はなんか残業してくるとかで遅くなるという。早く帰らないと有希に何言われるかわからないからな。あと、今日は三女の夏樹が朝俺に、「今日一緒にお風呂入ろー」とか言われたな。相手はガキンチョだから別に嫌ではなく、快くOKの返事をしたのだが急いで帰らないと、その癒しの時間が無くなる可能性もある。そして、叔父としての威厳も無くなる。
「すまんが、帰らせてくれ」
「別にいいですが」
いいのかよ!
「ここからあなたの家はけっこう遠い位置にありますよ」
「どれくらいだ?」
「ここから学校まで車で一時間と言ったところですかね」
かなり遠いな。
「よければ送って行ってあげましょうか?」
「そうだったら助かる」
「どちらまで?」
「学校までで充分だ」
学校から家まで走れば大して時間もかからないしな。
「では、目隠ししてもらいます」
「なぜに?」
「いや、ここの場所がばれると悪いので」
「そうか、あ、でもちょっと待ってくれ」
俺は有希に少し遅くなるという、メールを送り、目隠しをされた。
しばらくこの小説はこんな感じの文字数で行きたいと思います