昼休み
翌日、いつも通り嫌々起き、嫌々学校に向かった。俺の学校は電車に乗らなくてもいける比較的近い高校だ。
「あのメールはなんだったんだろうな」
昨日来たメール。なぜ携帯ではなくパソコンに送ってきたのだろうか。まあ、たしかに俺のパソコンだと俺以外見ることはできないけどな。まあ、特に気にすることでもないだろう。
その後の午前中の授業は話をなんとなく聞いて、ノートを書いたぐらいの作業しかしていなかった。やはり、授業というのは嫌なもんだな。中学より授業時間長いし。
そして今は昼休み。俺はいつもの2人と飯を食っていた。
「午後の授業もめんどくせーな」
などと谷村が愚痴っていた。そんなどうでもいい会話を聞き流しながら飯を食っていたら、肩をたたかれ
「あなたにお客さんだよ」
と、クラスの女子に言われた。女子が指差している方向を見ると、……知らん顔がいた。なんかイケメンなのがむかつく。俺がそのイケメンのところに行くと
「すみません、お食事中呼んでしまい、ちょっと話があるんですが、いいでしょうか」
「ああ、別いいが。ちょっと待ってくれ、飯しまってくる」
俺は席に戻り、残っている飯を急いで食い、弁当箱をしまい、またその、イケメンのところに行った。
「またせたな、なんの用だ」
「よければ、食堂のほうで」
俺はそのイケメンについていき、食堂に向かった。
「まずは、自己紹介をしましょうか。僕は日向黎です」
えらい、かっこいい名前だな。
「俺は」
といいかけたら
「いえ、あなたのことはすでに知っています」
と言われた。…どういうことだ?
「昨日送ったメール読んでくれましたか?」
「お前、あのメールの送り主か」
「はい、そのとおりです」
微笑を浮かべながらそう言われた。なんか調子はずれだな。
「あのメールを送ったのはわけがあります。おわかりだと思いますがあれはすべてケイトさんの仕業と言ってもいいでしょう」
「なんだ、あいつはなんでも叶えられる力でも持っているのか」
「まったく持ってそのとおりです」
「そんなバカなことがあるか。あいつは普通の人間だろ」
「ええ、人間です。しかし、あの人はこの世界を自由にできるような力があります。超能力者とかの問題ではありませんよ」
「そんなの、アニメの世界だろう。お前、頭が幸せなんじゃないのか?」
「僕はいつでも正常ですよ」
そんなようには見えないがな。そんな世界を自由にできるなんてどこぞのハルヒさんだよ。と、呟いたつもりが聞こえていたらしく
「ええ、あの某有名小説の涼宮ハルヒのような力を彼女は持っているのです」
こいつも読んでいるのか。顔に似合わずオタッキーなところがあるのかもな。俺も人のことは言えないが。
「彼女。つまり、ケイトさんは世界の命運を握っていると言っても過言じゃありませんよ」
「待て。なんだ、つまり、俺たちはあの小説みたいにあいつに振り回され、この地球を守っていくことをこれからしていくのか」
「そのとおりです。僕は古泉。あなたはキョン。ということになりますかね」
小説を読んでいない方がわかるような例えを出せ。
「彼女がジャイアン。僕とあなたはスネ夫とのび太という感じですかね」
わかりやすいような気もするが、嫌な例えだな。
「まあ、そこまではいかなくても、それに近い感じになっていくでしょう。下手にケイトさんをイラつかせることがあればあの写真の先輩方みたいになってしまいますからね。薮をつついたら蛇がでることがわかっているなら薮をつつくことはないでしょう」
まさか、それを俺にも協力させようとか思っていないよな。
「さあ、どうでしょうね。おや、もう昼休みが終わる時間ですね。放課後も時間がありますか?」
「まあ、あるが」
「では、また放課後、ここで落ち合いましょう」
日向はそう言うと、教室に戻る道を歩いていった。俺も戻らないとな。なんか、意味のわからない電波話を聞いてしまったな。