Schutt
ひんやりとした手のひらを見つめてみる。どろっとした冷たい液体が体の内側から外側へとドクドクと心の臓が音を奏でるたびに鈍く傷口から出てくる。研究者にやられてしまった傷。致命傷になってしまった。あと、数分もすれば眩暈を起こし地面へと倒れ込んでしまうだろう。それでも、僕は歩き続ける。少しでもあの子たちへ近づきたかった。
「上手く逃げ切れたかな?」
致命傷にも関わらず乱れた呼吸を整えようともせず散血だらけの廊下を歩き続ける。普段は純白で埃一つない廊下が今じゃあ生臭く死に体がごろごろと真っ赤に染まり倒れ込んでいる。
「でも、これもあの子たちが受けてきた事に比べたら軽いものだ。ごふっ・・・ごふっ・・・」
吐血、吐血、吐血。彼は笑みを浮かべながら血を吐く。出血は手のひらだけでは無く背中には何かで無理矢理、抉られ窪みのようなものができている。肉は皮一枚程度で繋がっているだけであった。視界も先ほどよりもぼやけてきてしまう。
「・・・ちゃん・・・ちゃん」
幻聴だろうか?誰かが彼を呼んでいる。必死に死世界へと旅立とうとしている彼を引きとめているように聞こえる。
「・・・ちゃん!!!諦めないで!!まだ・・・・れるの!!!」
懐かしく暖かい声に彼は必死に声を張り上げているであろう人に笑みを向けた瞬間に視界が暗くなり意識も閉じてしまう。




