communication bloc
白衣を着た二人組は会話をする事もなく一人は凛とした雰囲気を漂わせながら堂々と歩き一人はおろおろとその男の後ろ姿を見失わないように必死について歩いている。しばらく歩きエレベーターへと乗り込むと今まで凛としていた男性の口から大きなため息が漏れる。その仕草に彼女は笑いを堪えることが出来ず笑ってしまうと恥ずかしそうな表情をこちらへ向けてくる。
「流石に幸夫さんを目の前にするといつも以上になんか緊張してしまうよ。それに、急に呼び捨てにしちゃってごめんね」
そう言うと両手を重ね頭を下げてくる。彼女も笑いながら、頭をあげてください。と、言葉を向けつつ両手を左右に振っている。彼も彼女の言葉を受け頭をあげほっとした表情を作りもう一度ため息をつく。彼女は笑いながら、先ほど配っていた資料が余っていたのかペラペラと数枚めくりながら、
「それにしても、佳景山さんはあの事件の事をよく調べているんですね」
そう言うと佳景山も数回頷き扉の方へと視線を向ける。
「まあ仕事だからね。それに、幸夫さんが調べろって言われたら断れないでしょ。断ったら殺されちゃいそうだし」
彼女も先ほど見た男の顔を思い出すと佳景山が言っている言葉はさほど大げさではないと言うことが分かり苦笑いを浮かべるしかなかった。何かを思い出したのか前を向き直していた佳景山が再度こちらへ振り向いてくる。
「檜田さん。そう言えば檜田さんがって宮茶木町の出身だったっけ?」
「は、はい。両親が幼い頃に他界してしまって養護施設に預けられていました」
「施設の名前って覚えてる?」
当然ですよ!と、言い檜田は堂々とした口調で、
「緑彩園ですよ!でも、それが?」
佳景山には第六感があり、その施設に何か手掛かりがあると言うことを直感で感じていた。目的地である15階へ着き佳景山はレディーファーストと言わんばかりに手を差し伸べ檜田を先に出したたかと思えばすぐさま地下一階のボタンを押し扉が閉まり始める。何のことかよく分からなく檜田がおろおろとしていると、
「ちょっと、今から行ってみたいところができたから行ってくる!檜田さんは資料の整理を任せた!」
そう言うとエレベーターの扉が閉まり一人研究室のフロアに取り残されてしまう。いつもの事である。彼は咄嗟に思いもしない行動に出てしまう、がそれでも全て真実にたどり着いてしまう。彼が思いつきの行動はほぼ正しいため上層部も良くは思っていないが注意も出来ずにいる。
「よし。私は資料の整理をしますかね!」




