佳景山晋吾 一等科学捜査官 23歳 鹿海幸夫 警部 32歳 三等科学捜査官 檜田遥 18歳
カタカタとキーボードを故意に強く叩きつける音が部屋中を覆う。その音は何かストレスをぶつけるような意思が込められており、普段ならばその音に不快感を覚えてしまうのだろうけれどその部屋に居る人間全てがその音を不快と思う余裕さえない。ある人はパソコンの画面を眺め続け、ある人は様々な資料へ目を通したりと自分の世界へと入っている。部屋の中には数多くのスーツを着た人間が居るのだけど、誰も会話をすることなくただ、黙々と作業に徹している。しばらくするとドアが勢いよく開かれ、皆の視線がそちらへと向けられる。ドアを開けた男はキーボードを強く叩きつけていたであろ男の前まで早足で近づく。
「おう。佳景山一等科学捜査官。ここへ来たってことは何か分かったのか?その手に持っている資料はなんだ?」
威圧がこもったいい方であるが彼は意識をして威圧を込めて言葉を発しているわけではない。彼なりに普通に会話をしているだけ。初見の人間ならばまず、謝罪をしてしまうほどの威圧、重圧を感じる。いや、いつもよりもきっと威圧感は二割増しぐらい上乗せさせられているのかもしれない。それでも佳景山は怯むことなく口を開く。
「稲生咲子の死因が分かりました。死因は薬物中毒による自殺だと思われていたのですが・・・やはり鹿海さんが睨んでいた通り、他殺でした。それと、僕の事は昔みたいに佳景山って呼び捨てでいいですって」
ざわつく室内の人々の表情に人間らしさが戻ってくる。先ほどまで口を開いていなかった人々が佳景山の言葉を聞いた瞬間に次々と周りで座っている人々と会話を始める。鹿海も佳景山の言葉に笑みをこぼしつつも渡された資料へと視線を向ける。
「檜田。みなさんにも資料を渡して」
「は、はい!こ、これが新しい情報が記載された、あ、あ、新しいじょ、じょ、情報です」
そう言いながら檜田は資料を配り始める。みな、食い入るように資料に目を通していると、
「佳景山。この資料によるとマル被を殺した人間は6~10歳ぐらいの少年、少女だと書いてあるが一体どう言うことだ?」
「文字通り、彼女を死に追いやったのは幼い子供です」
背もたれに体重を乗せ資料を机へと投げつける。
「そんな馬鹿な話しがあるか。麻薬中毒だったとしても大の大人が子どもなんかに殺せるはずがない」
「荒矧研究所の子供だとしたら?」
ぼそりと佳景山は鹿海だけに聞こえるような声で告げると鹿海は驚愕した表情を作り佳景山を見つめる。ずれた眼鏡をあげ佳景山は言葉を続ける。
「DSTP計画は未だ水面下で進められています。これはまだ不確かな情報で現場に降りてきてはいませんが荒矧支部が半壊したそうです」
「・・・荒矧が半壊だと」
「それも一人の少女が半壊させてしまったらしいです。と、言ってもまだ不確定な情報なのでどこまでが真実か分かりませんが」
鹿海は佳景山の言葉を聞き終わると両手を組み黙りこんでしまう。佳景山は、以上が分かった情報です。また分かり次第ご報告させていただきます。と、伝えると部屋へ入ってきた時とはうって変わり静かに颯爽と部屋を出ていく。送れつつ檜田も頭を下げ部屋を後にする。




