フクロウの管理人
「知識や物語は次に持っていけない、籠に刻めるものを残して小部屋に持っていく」
本のマークのノームが小さな体で大量の本を少し離れた小部屋に運ぶというので手伝いを申し出て一緒に運ぶことなった。わたしが生きている頃に呼んだ本はすべて残っているらしくかなりの量が積み重なっている。紙が閉じてあれば何でも本判定らしく教科書どころか修学旅行の栞まで残っている。
これ刻めたらどうなるんだろう、スケジュール管理とか得意になんのかな。
籠に刻むというのは無意識や第六感、直感などに刷り込みなんとなくこうしたほうが良いと言うのを、経験がなくてもわかるようにしてくれるものらしい。振り分けはすべてノームがやっていたからパラパラ見ることしかできないけれどすでに刻まれているものを重複して刻まないようにしてくれていたようだ。刻めるものと量は限りがあるらしいので多くの本は小部屋に運ばなければならない。ここに帰ってくるたびに新たに刻めるらしいので次も是非いろんな本を読んでいきたい。本を読むことを好むようにもう刻まれているかもしれないが。
「ウラル様、持ってきました」
小部屋にたどり着くと人間サイズの大きなフクロウが大量の本に囲まれて立っていた。
「いらっしゃい。おや人の子も一緒に来たんだね。本はそこの敷物の上に置いていってくれ」
頭をぐるんと回してこちらを見たかと思うと入口付近に敷いてあるカーペットに目線を移しそう言ってから奥に行ってしまった。小部屋の中には本棚がいくつもありその奥に扉の代わりにベールのようなもので向こうが見えない門がある。ザ・洞穴のような小部屋の入口と違い門は白い石のようなもので囲われている。
カーペットは4畳程度の少し毛の長くサラサラとした手触りのものがいくつも敷かれているが指示されたカーペットだけは何も置かれていなかった。
何度か籠と小部屋を往復しているうちにウラルと呼ばれたフクロウは用を済ませたらしく真ん中にある机でお茶を入れていた。
「挨拶が遅れて申し訳ない。わたくしウラルと申しまして、ここの司書のようなものをさせていただいております。あの子達を手伝っていただきありがとうございました。少しお話をしていきませんか?」
ウラルは恭しく挨拶をしたあと机の椅子を引いて迎え入れてくれた。ちなみにノームは本を運び終わったらすぐに何処かに行ってしまった。
「あの子達はよく働くでしょう。そのためだけに生まれてきたのですから当然と言えば当然なのですがそれだけではなくここ最近は仕事そのものに対して好意的感じるようになったようで雰囲気がずいぶんと明るくなりました。ありがとうございます。」
「……?すみません、なぜ感謝されるのかよくわからないのですが……?」
「あの子達はあなたの心に強く作用されます。あなたが世界を好意的に捉えるのならあの子達も世界を好意的に捉えるのです。あの子達にとっては仕事が世界なので必然的に仕事が好意的に捉えるようになるのです。」
ウラルが言うにはここは死んだあとに”わたし”が訪れる場所で他の人の器は運ばれてこないらしい。死後虹の橋で先に逝った人たちに会える場所などはないのか。残念。
そのためここはわたしとその器ぐらいしか別の場所からの変数がないため環境の好転も悪化も起こりようがない。だからこの場所が明るいのはわたしのおかげであるということらしい。
ちなみにウラルが様呼びなのはこの場所が生まれたときにセットで配属される上司のような立場らしい。ノームは必要に応じてここで生まれるので親的なものも含まれているのかな。
「あまり詳しいことを言うと同僚に怒られるので話せませんが、ここは隔離されながらも魂に対して色んなものがあります。ぜひ見ていってください。あなたの前進を願っています。」
最後にそんなことを言われてお茶会はお開きになった。
ウラルさんって最初呼んでたんですけどウラル産になるので主人公は呼び捨てです。イメージは某モンスターのカラーリングフクロウのジュナイパー
同僚は首のない紳士と大量の目と白い羽の生えた玉です




