③体力は私にとって普通です
カルマン家、当主ルイは自室で今日生まれた双子の事を
主治医と話をしていた。
ルイは黒髪に金色の目きっちり後ろで長い髪を結ってる
いかにも貴族という風貌で
パッと見は冷酷で近寄りがたい空気を醸しだしているが、
家族の前では笑顔で優しい父の表情をする。
今は考え込んでいて、他人が見たら近寄りがたい冷徹な顔に見えるが、
身内の者は心配で考え込んでると分かる。
「双子の状態はどうだ?」
ルイが主治医に尋ねた。
「私が診た所、答えにくいのですが、メスの方は体力が恐らく
人間並み位しかございません。
他の坊ちゃん達とは比べ物にならない位の差でございます。
それゆえ人間のように熱が出たり、疲れやすく病気になる事もございましょう。
しかしながら、体力と真逆に魔力はカルマン家のお子様達で一番と思われます。
その分魔力が体内で巡り熱が出やすくなるため
ルイ様や近親者様の魔力で循環させ、安定されると良いでしょう。
これから、ご成長される度に対処していきたいと思っております。
とりあえず、龍族に嫁いだ人間、人間のハーフの者を雇う事をお勧めいたします。
人間の弱さが分かるゆえ、気づく点が我ら龍族と違いますので...」
「人間並み!大丈夫なのか?人間はとても儚く弱いではないか!
すぐに、病気にかかり、すぐ怪我をする......
カルマン家には、何百年ぶりのメスの誕生で喜ばしいはずなのに...
双子の片割れの兄の方はどうなんだ?」
「オスの青い竜はいたって御健康でございます。
他の兄上方と引けを取らない魔力の強さを秘めております。
体力面の強さは一番かもしれません。
ご安心くださいませ。」
「そうか......セバス、早急に人事の手配を頼む。
後、ラルクとロイドを呼んでくれ
主治医はもうよい 下がれ」
「はい、かしこまりました。後ほどご報告に参ります。」
「失礼いたします。」
ルイの傍に控えていた執事セバスは静かにこの場を出て行き
主治医も続けて出て行った。
しばらくすると、カルマン家の長男ラルク、次男ロイドが訪ねてきた。
「「父上!失礼いたします。」」
長男ラルクは肩位の長さの黒髪に金色の目で、幼いながらも
魔力操作に長け、顔は正統派のイケメンだ。
兄弟の中では一番父であるルイに似ている為
笑っていなければ冷酷にも見える。
次男ロイドは短髪の黒にも見える青い髪(紺)
金色の目で、活発でヤンチャな雰囲気で魔力より
武術が大好きな兄貴肌の少年だが、
やくざにも見えるような、ちょい悪な怖い空気が出ている。
「二人に話しておかない事がある。今夜生まれた双子の件だ。
オスの方は問題ないが、メスの方は心配な点がある。
まず、名前からだ。
オスは、ノエル メスはモナと名づける。
問題点は、モナだが...魔力はお前達より有り、体力は人間並みだ。
魔力が有り過ぎる事、体力が無い事、加えてメスである事も
カルマン家にとって色々問題が生じるかもしれん
これから先、共に協力を頼む」
「分かりました。」ラルクは答えた。
「分かりました。早速、見に行ってもいいですか?」
ロイドがソワソワしながら答えた。
「生まれたばかりだ。控えた方がいい...
明日改めて会った方がいいだろう。」
「「はい、分かりました父上」」
その夜、私こと黒龍は子供用のフカフカのベット?に寝ていると
重いと目が覚めたら、私の体の上に顎をのせるように
先に生まれたから兄よね....双子の兄?が寝ていた。
私は精一杯体を動かし兄からのがれ、
この体、龍?動きずらいなーと思いながら窓から見える月を見た。
(ああこの世界も同じ月なんだね...
せめて赤い月とかだったら異世界って思えるのに..
何かやっぱり寂しいな..みんな元気にしてるかな?
ちょっと感傷的になっちゃうなあー)
私は月を見ていたら、元の世界の所へ帰りたくなるような
悲しいような寂しいような思いが溢れてきた。
ガチャ
父であるルイはいろいろと不安のある我が子が気になり、こっそり会いに来た。
すると、窓の奥にある月を見ている黒龍モナが、真っ暗な夜に溶け込み、
哀愁漂い、遠くどっか行ってしまうような儚い姿を見て不安に思い
駆け寄って目を閉じて自分の胸へ抱きしめた。
「大切な人を無くすのはもう嫌だ
サラみたいに先に私を置いていかないでくれモナ....
龍族で、人間並みの体力...私とお前の兄達,家の者で絶対守る...」
サラが卵を産んで死に際に言った事を思い出した。
「生きて、私達の子供を守って...ルイ決して私の後を追わないで...
この卵の子はきっと私達家族の希望になるわ....」
サラが最後に産んだ双子は一番サラに似ていた。
兄のノエルはサラと同じ海のような空のような色の青いドラゴン。
妹のモナは兄弟の中で唯一のサラと同じ優しい紫の目。
人型が取れるようになったら、きっと二人共サラに似てるだろう....
強く、抱きしめられてるせいか、父の顔は見えないが、話をしてるのを聞いて
(龍族で人間並みの体力ってそんなに心配なことなの?
でも私は、元々人間だったんだから!普通だけど?
モナが私の名前?)
私は大丈夫という気持ちを込めて父の手に顔を寄せ、頬ずりしてたら、
力が抜けたのを見計らって、見上げた。
「サ.....ラ」
我が亡き最愛の妻サラと同じ優しい紫の目と目があった瞬間
ルイは、とても悲しくもあり、とても懐かしいような喜びも感じた。
「今日はノエルとモナと寝る」
ボソッとルイが話したら、カチャと誰かが?ドアを閉めて出て行った。
「ノエルも起こしたな、すまない...」
兄のノエルはいつの間にか起きていて私と父を見ていたらしい...。
そう言うと私と兄を両脇に抱えるように抱き、
その日は一緒に寝た。
感傷的な父と裏腹に私は自分の父と目があった瞬間
超絶なイケメンで喜んでた事は内緒!