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11/11

11.蓮の場合

俺が初めて光里と会ったのは、

保育園の年長さんだったと思う。


俺は幼いころに父親を亡くし、

母親の手で育てられた。


と、聞かされていたが本当は

もともと俺の父親は別に家族があり、

俺の母親とは俺が産まれてすぐに別れたらしい。

別れたのか、捨てられたのか、

別れさせられたのか、もはや真実など

どうでもいい。


とにかく、俺は父親が誰かも知らないし、

興味もなかった。

ただ俺の母親は綺麗な人だった。

だからって不倫は推奨しないが、

誰もが「なるほどね〜」と納得する容姿をしていた。


色白で儚い雰囲気があり、

俺はそのDNAを大きく受け継ぎ、

男の子がいじめられずに生きていくために

必要な要素が欠落していた。


だから俺は保育園で体も態度も声もでかい奴から

いじめられていたんだ。

今、奴に聞けばきっとこういうかも知れない。


いじめてたんじゃない。

いじってたんだ。


いじるって何だよ?

いじられる方はどっちも同じなんだよ、って言いてえ。


だが、そんな事も言い返せない俺の前に

現れたヒーロー、いやヒロインが光里だった。


光里はいじめる、いや俺をいじる奴に

はっきりと言ってくれた。

「嫌がってるでしょ。やめなさい」


俺は光里の強さが眩しかった。

そして恋をしたんだ。


高校生になっても俺はずっと光里のそばにいた。

いつかそれが日常になっていた。

だが、ある日俺は見てしまった。

光里がアイドルの雑誌を大切そうに持っている

姿を。



俺は自分で言うのはなんだが、

母親譲りの美しい顔立ちをしている。

しかしそれがコンプレックスであり、

あえて身をかまわないようにしていた。

だが、光里が抱えていた雑誌のアイドルは

とても美しい顔立ちをしていた。


俺は恐る恐る聞いた。

「こんなのが好きなのか?」


光里は答えた。

「彼はね、たくさんの人を幸せにしている。

私も落ち込んだ時、彼の笑顔に救われた。

それってすごくない?

私は将来、彼らとたくさんの人の架け橋になりたい。

雑誌記者を目指す」



そ、そうなんだ。

俺は一人の人、それもとっても身近な人を

幸せにすることでも難しいのに。

確かにそいつはすごいやつだ。


って尊敬している場合じゃゃない。


まずは俺だってそこそこいけていることを

光里に知ってもらう必要がある。


そして俺は美容院に行き、

服を変え、光里の前に立った。

光里は言った。


「私しか知らない蓮だったのに、

みんなに知られちゃうね」


そして光里はにっこり笑った。


俺は言った。


「俺と付き合ってくれませんか?」


光里は頷いた。

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