↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第2章 クラスリーダー総選挙

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
91/176

第91話 群青

 ゴシックパーティの後日。

 俺は寝不足の頭を振りつつ、ある女子生徒の家の前に立っていた。手には紙袋を持って。


「は? アンタなにしてるの?」


 待ち人来たり。


「お前に渡したい物があってな。学校で渡すのは躊躇われるし」


 俺は金髪の女子生徒、ルチアに紙袋を見せる。


「ほら。持ってけ」

「何よコレ」


 ルチアは紙袋を受け取り、中を見る。


「!?」


 ルチアは中に入ってる物を見て驚いたのか、焦点が定まらない様子。


「アンタ、これ……」

「いや、余計なお世話だってわかってるんだけどな」


 俺がルチアに渡した物、それは、群青のドレスだ。


「昨日お前から貰ったドレスを、虹の筆で塗色した。細かい作業が必要で結構大変だったぞ。徹夜でやる羽目に……」


 ルチアは、紙袋で顔を隠した。


「……アンタ、ホントに変よ……! なんで、なんでこんなことできるの……!」


 声が震えている。怒っているのかな……。


「か、からかっているわけじゃないんだ。気に障ったなら謝る。けどさ、お前には……きっと、青いドレスも似合うと思ったから……色彩能力者の勘ってやつだ」


 ポタポタと、ルチアの足下に水滴が落ちる。俺はそれを見て見ぬふりし、目を逸らした。


「…………ありがとう」


 絞り出すような声で、ルチアはそう言った。



 --- 



 昼休みになって、俺達オーロラファクトリーはルチアの指示の下、前に俺とルチアが焼き芋を食べたあの廃校舎の裏に集まっていた。


 ルチア手製の焼き芋を食べるためである。


「できたわよ」


 ルチアは焼き芋を掘り起こし、皆に配っていく。


「驚いたね。ルチアにこんな特技があったとは」


 焼き芋を食べたアランは飾り気ない称賛を口にした。


「焼き芋づくりに関しては誰にも負けないわよ」


 ヴィヴィは焼き芋の熱さに苦戦しながらも、焼き芋を齧る。ヴィヴィは笑みを零した。


「……甘い。美味しい……」


 ヴィヴィの感想を聞いて嬉しかったのか、ルチアの頬が赤くなる。


「ふん! 当然よ」


 1番美味しそうに焼き芋を頬張ったのはフラムだ。フラムはリスのように頬袋をいっぱいにさせている。


「やっぱり、ルチアさんの焼き芋はつよつよです……!」


 最後にルチアは俺にトングで挟んだ焼き芋を差し出してきた。

 今朝のことがあって恥ずかしいのか、俺と目を合わせない。


「ん」

「サンキュ」


 俺は焼き芋を受け取る。あまりの熱さに両手でキャッチボールさせ、息で冷ました後で焼き芋を割る。

 湯気が立ち昇るホクホクの実。俺は湯気ごと芋にかじりつく。口に広がる自然な甘味に、思わず頬が緩む。


「……」


 ルチアはちらりちらりと俺の様子を伺っている。


「美味いな。コレ、店で出しても売れるんじゃないか」


 俺が言うと、ルチアは俺から顔を背けた。

 ヴィヴィは指を鳴らし、


「いいかもね。焼き芋の香りで客を釣るというのはアリだ」

「でもルチアさん以外作れませんよ。こんな美味しい焼き芋」


 べた褒めする団員。 

 こんな時、ルチアなら胸を張って威張りそうなものだが、今日のルチアは静かだった。背中を丸め、俯いて芋を食べている。


 下から顔を覗いてみると、ルチアは芋を口に含みながら、笑みが堪えられない様子だった。


 俺は少し寒い空を見上げ、芋を齧る。


「美味い」


 心の底からそう口にした。

【読者の皆様へ】

この小説を読んで、わずかでも

「面白い!」

「続きが気になる!」

「もっと頑張ってほしい!」

と思われましたらブックマークとページ下部の【★★★★★】を押して応援してくださるとうれしいです! ポイント一つ一つが執筆モチベーションに繋がります! 

よろしくお願いしますっ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。