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【書き出しコンテスト受賞作/未書籍化】色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第2章 クラスリーダー総選挙

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第89話 ゴシックな午後

 放課後。


 開店2日目の今日は昨日より店番を2人減らして、3人体制。俺とルチアとフラムだ。

 昨日より客足が減ったおかげで3人でも店は回せた。

 午後5時頃、客は0となり、すっかり暇となった俺達。フラムは店内の埃をはたきで掃除していて、ルチアはカウンターで頬杖をついている。俺は店の窓を開き、風を浴びていた。


「やっぱさぁ、必要だと思うのよね」


 唐突にルチアが話を切り出す。


「なにが?」


 俺は一応相槌を打つ。


「制服よ。華やかな制服。アンタを除けば、このファクトリーの面子って美形揃いでしょ」

「一言余計だが、言えてるな」


 アランは優男風の眼鏡イケメン。ルチアも見た目だけならザ・ご令嬢って感じの気品さがある美少女。フラムは幼い顔立ちで、愛嬌がある。ヴィヴィは言わずもがなシンプルに美人だからな。コイツらの魅力を引き出せる制服があれば、客足はもっと増えるだろう。


「錬金術師ならエプロンぐらいちょちょいと作れるんじゃないのか」

「作れるわよ。でもエプロンって……シンプル過ぎ。つまんない」

「フラムはなんか無いか? 着たい物」

「え? じ、ジブンは……そのぉ……ど、ドレスとか……着てみたいです」


 ドレスで接客は無理では無いだろうか。男面子は着れないし。


「ドレスならウチにいっぱいあるわよ。ゴシックドレスがね」


 ゴシックと言うと、黒を基調としたドレスか。


「なんでゴシック限定なんだ?」

「……別になんだっていいでしょ」


 なぜか睨まれてしまった。


「フラム、アンタは店番してなさい。私とイロハでドレスを持ってくるわ」

「え!? ジブン1人で店番ですか……」

「客いないから大丈夫でしょ。それともなに、ドレス着たくないの?」

「き、着たいです! 店番やりますっ!」


 というわけで、俺は何か貰えるわけでもないのに付き合わされることになった。


 ルチアの家まで足を運び、玄関の前でルチアを待つ。

 ちなみにルチアの家の外観の完成度は凄まじく、高いこだわりが見えた。豪邸だ。高そうな飾りがいっぱいあるし、派手だ。


「はいこれ」


 ルチアは次々と服の詰まった紙袋を持ってくる。


「ストレージポ―チに入れるんじゃダメなのか?」

「馬鹿ね。ストレージポーチには色んな物が入ってるのよ。採取した素材から落ちた土とか色々ね。こんなのの中に入れたらドレスが汚れちゃうわよ!」


 確かに、ストレージポーチの中は清潔とは言い難いな。

 とは言え、この大量の紙袋を俺が運ぶのか……。


「おっも!」


 両肩両手に紙袋を持つ。自重で倒れてしまいそうだ。


「ほら、さっさと歩きなさい!」

「お前も少しは持てよ……」

「レディーに運ばせる気? それでも男の子なの?」

「ったく、性格の悪さは変わらねぇなぁ……!」


 先を行くルチアになんとか追いつく。


「うわっと!?」


 追いついたところで、右手に持っていた紙袋が破けて中身が出てしまった。


「ちょっ! なにやってんのよ……!」

「悪い」

「しょうがないわね。私が拾うから、どいたどいた」


 ルチアは落ちた黒いドレスを拾っていく。


「……ホントにゴシックばっかりだな」


 俺が呟くと、ルチアは手を止めた。

 やばい。なにか触れてはならないものに触れた感触がある。


「……黒いドレスは目印なのよ」


 ドレスを拾い上げ、ルチアは言う。


「目印? なんの?」

「出来損ないの」


 ルチアはため息を漏らす。


「まぁいっか。アンタなら」


 俺とルチアは横並びになって街道を歩く。

 ルチアはその間、身の上話を聞かせてくれた。


「イシスフェル家……というか、錬金術師の名家ではね、マナの性質で子供を分けるの。できるやつと出来損ないでね」

「ひでぇ話だな。マナだけが全てじゃ無いだろうに」

「でもわかりやすい基準だわ。マナが全てではない。けれど、マナの良し悪しである程度スタートに差ができるのは事実。イシスフェル家では、マナが優秀な子供にはパーティーとかで青いドレスを着せて貰える。イチオシの商品は目立つ棚に目立つ装飾を成されて飾られるでしょ? それと同じよ。そして、出来損ないの子供には黒いドレスを着せられる。売れ残りの商品のように、端に追いやられる」


 そう語るルチアの瞳には悲哀の色が見えた。


「昔はイライザ姉さんが羨ましかった。美しい群青のドレスを着て、色んな業界の大物の前を堂々と横切ってさ」

「じゃあ、この黒いドレスはお前にとって良い思い出が無いんじゃないか?」

「そうね。でも、嫌いじゃないの。だって可愛いもん」

「ふーん」


 その言葉に嘘は無いんだろうけど、やっぱり、青いドレスの方が着たいんだろうな。複雑な顔をしている。


「ドレス。1着だけ貰えないか?」

「え」


 ルチアはゾッと顔を青くさせる。


「アンタ、着る気?」

「なわけないだろ。ちょうどカーテンが無くてな。加工してカーテンにする」

「はぁ!? 最低な使い方ね。ま、別にいいわよ。腐るほどあるし」

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