表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書き出しコンテスト受賞作/未書籍化】色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第2章 クラスリーダー総選挙

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/93

第72話 スリーマンセル

「俺が陽動になる。フラムは適当にアイツを爆破して盾になる部位を壊していけ。ルチア、お前はアイツの目を一点狙いだ」

「あの目が弱点ってこと?」

「それは……知らない」

「はぁ!? なんの確証もなしに目を狙えっての!?」

「だって明らかに弱点っぽいだろ。もしダメだったらなんか考えるさ」

「ジブンはイロハさんに賛成です。他にどうすればいいかわかりませんし……」

「まったく、しょうがないわね!」


 アトリエの番人ってとこかな。


 さっきの拳の1撃……まともにくらえばただじゃすまなかった。レクリエーションの一環とは考えづらい。本気の殺し合いと考えていいだろう。恐らくフラムはまだレクリエーションの一環だと考えているが、今はそれでいい。下手なこと言うとフラムの場合、動きが鈍ってしまいそうだ。


 フラムの言う通り、来るべきじゃなかったかもしれない……いや、後悔してももう遅い。倒すしかないんだ!


「いくぞ!」


 走って前に出る。


『バックステップだ』

「!?」


 俺が背後へ飛び退くと、すぐ目の前を巨大な足が踏み抜いた。


(悪い。助かったぜシロガネ)

『お前に死なれては俺も困るからな。どうせあの女達の前じゃ俺に体は譲らないんだろ?』


 当然。


『久しぶりに指南してやる』

「……偉そうに」


 俺はシロガネの言葉に従って動く。


『右へ移動。左。後ろ。突っ込め』


 敵の攻撃を躱し、直進する。気づくと俺は人形の足下にきていた。

 俺は剣を振るい、人形の右足を深々と抉る。俺はそのまま股下を抜けて人形の背後へ。人形はバランスを崩し、右膝をつく。


「アイツ……すご」

「今だフラム!」

「はい!」


 フラムはチャクラムを2個とも投げる。人形は両手で防御するも、両手をチャクラムに爆破される。

 人形の顔までのルートがガラ空きになる。


「ルチア!」

「わかってるわよ!」


 ルチアは矢を放つ。けれど、矢は目に向かうどころか、顔にすら当たらず、耳の横を抜けて人形の背後の壁へ突き刺さった。


 ルチアの顔には焦燥と怒りがあった。


「クソ、私はなんでいつも大事な時に……」

「言ってる場合か! 第二射早く!」


 人形の修復が終わる。

 足と両手が復活する。人形は俺の方を振り返り、俺に狙いを定める。


「やべぇ……」

『足手まといに託すからだ』


 人形は両足で地団駄を踏むようにして俺を攻撃する。俺はシロガネの指示に従い全て躱し、もう一回股下を通って背中側に行く。


「ルチア!」


 ルチアの方を見る。ルチアの焦点が定まっていない。さっきのミスを引っ張っている。


「……やっぱり、私はダメなんだ……誰にも勝つことなんてできない……力が、必要なんだ。あの人の、力が……」

「あのバカ……!」


 俺はストレージポーチから虹の筆を出す。


『馬鹿か。この状況で虹の筆を使って何ができる』

「お前にはわからないさ。黙って見てろ!」


 人形がこっちに体を向ける。同時に、俺は虹の筆で人形の脛にある物を描く。


「ルチア! これを見ろ!」


 ルチアの視線が、人形の右の脛に向く。

 ルチアは脛に描かれた物を見て、頬を緩めた。


「アンタ、それ」


 俺が脛に描いた物、それは、


「焼き芋だ! これ見て元気出せ!」

「い、イロハさん!? こんな時に何を!?」


 青白かったルチアの肌が、どんどん真っ赤に染まっていく。


「あ、アンタねぇ! 馬鹿にしてんの!? ガキじゃないんだから! 好物の絵を見て元気出るわけないでしょ!」

「え……ルチアさんの好物って焼き芋なんですか?」

「いや、それはその……」

「ジブンも好きなんです! 焼き芋! あのホクホクの食感が堪らなくて……」

「あ、そうなの? わた、私はね……」

「君達ぃ! ガールズトークは後にしてくれないか!? 俺の状況見て! 今にも踏みつぶされそうなんだが!?」


 俺は必死に敵のスタンプを躱しつつガールズに向かって叫ぶ。


「アンタ、早くその輪っか投げなさい。次は仕留めてみせるわ」

「はい!」


 俺が攻撃を引き付けている間にフラムがチャクラムを投げる。また人形はチャクラムを手で受け、手を爆散させる。ガードが無くなる。


『これがラストチャンスだな』


 頼むぞルチア、もう息が限界だ。これ以上はもたない。


「集中……集中集中集中……!」


 ルチアは弓を引き絞り、放つ。

 光の矢は真っすぐ飛び、人形の目玉を捉える。


『ガアアアアアアアアアアアアッ!!?』


 人形から呻き声のようなものが聞こえてきた。

人形の目玉から赤い光が飛び散り、瞳から光が無くなる。全身の力が抜ける。人形はバラバラになり、地面に落ちた。


「やったーっ!」

「ふぅ! ギリセーフだな」


 俺は2人の所へ行く。


「ナイスだルチア」

「1度外したけどね」

「最後は決めたからノーカンだ」


 と、俺は言うが、


「そうね」


 ルチアは残念そうに笑い、


「……もっと早く、アンタに会っていたら、色々違ったかもね」


 そう呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ