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色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第2章 クラスリーダー総選挙

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第73話 魔王のアトリエ

 門番は倒した。

 もう邪魔者は現れそうにない。念のため井戸を確認したが、そこにはメタルポーションしか無かった。


「さっ、アトリエへ行くわよ」


 一足早くルチアがアトリエへ行く。


「フラム。俺達も行くぞ」

「は、はい!」


 俺とフラムもルチアに続き、小屋に入った。


「こいつは……」


 見慣れない実験器具の数々。鼻につく鉄の匂い。


「おいおい……」


 血の跡が壁にある。


「い、イロハさん……変です。ここ!」


 フラムがガタガタ震えるのもわかる。

 いるだけで精神が冷たくなる。ここは……このアトリエは、やばい。本能が『逃げろ』と訴えかけてくる。


『逃げろ』


 いや、本能じゃない。これはシロガネの声だ。


『イロハ……ここはやばい。早く逃げろ!』

「って、言われてもな……」


 ルチアは、奥でフラスコを持って呆然としていた。


「ルチア……?」

「見なさいイロハ。これを」


 ルチアは液体の詰まったフラスコを見せてくる。フラスコの中の液体は、青かった。けど、ただの青じゃない。見たことの無い、色の底が見えない青だ。


 ぞわっと、全身に鳥肌が立った。アレは、触れちゃいけない色だ。


「ダメだ……それは……ルチア、なにかやばい。触らない方がいい! 置け!」

「馬鹿言わないでよ……アンタには聞こえないの? 私を呼ぶ声が。『私を飲め、そうすればお前は天才になれる』と……聞こえる。そうよ、この声は、私をここまで呼んだ声だ」


 ルチアは、フラスコを口につけ、中の液体を飲み干す。


「よせ!!!」

「……ねぇ、イロハ」


 ルチアは力なく笑う。


「……私はただ、認められたかった」


 ルチアの体が青く光る。俺は咄嗟にフラムを抱き寄せ、背中をルチアに向けた。

 ルチアを中心に強烈な突風が巻き起こった。俺は突風に耐え切れず吹っ飛び、小屋の外まで飛ばされた。


 俺とフラムは団子になって転がる。フラムにダメージがいかないよう、俺だけが地面に接地するようにする。


 アトリエから10m離れた場所で、ようやく止まった。


「いっつ!」

「イロハさん!」


 倒れ込む俺を、フラムがさする。


「戦闘態勢に入れ、フラム!」


 すぐさま立ち上がる。

 俺はストレージポーチからクリスタルエッジを出す。フラムもストレージポーチから爆発する投擲輪(チャクラム)を出した。


「イロハさん、一体なにが……!」

「さぁな。俺が聞きたいよ。とにかく、今から出てくる奴は……敵だ!」


 アトリエから、髪を白く染めたルチアが出てくる。瞳の色は紅く塗られていた。


「久しいな、この場所も。まさか、気まぐれで残していたマナポーションが功を奏すとは思わなかったぞ」


 ルチアの声に重なって、別の女性の声が聞こえる。


「お前……誰だ」


 ルチアの口角が上がる。


「ニコラス=フラメル。この錬金術世界の……神だ」

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