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色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第3章 千面道化襲来

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第131話 無人島試験②

 というわけで、またロアとサバイバルをすることになった。


「いきなり眠らせて無人島に放置とか、めちゃくちゃだよね~」

「まったくもって同感だ」

「暑いよ~。もう汗で服びちゃびちゃ。あ! そういえば服の替え無くない!? どうするの!?」

「リュックの中に布があったぞ。ほら」


 俺は白地の大きな布を見せる。


「え~、それっぽっちじゃ服にはならないでしょ」

「言えてるな。布団も枕も服もタオルも、何もかも錬金術で作れってことか。これは骨が折れるな」

「ぼっきぼきだよ。ん? イロハ、アレ見て!」


 ロアが遠くの空を指さす。視線を移すと、一筋の煙が上がっていた。


「まさか発煙筒か?」


 だとしたら俺達の特別課題はここで終わってしまう。


「いや違うよ。煙の感じからして焚火じゃない?」


 確かに、あの煤が混じった感じは焚火の煙っぽい。

 なんにせよ、


「行くか」

「うん!」


 煙の立つ場所へ向かって歩く。


「……ねぇイロハ」

「ん?」


 ロアにしては珍しく小さな声だ。


「ちゃんと……帰れるかな」


 意外だ。意外にもロアはこの状況を不安がっていた。

 いきなり無人島で3日……普通に考えて大変なことだ。俺だってプレッシャーを感じる。ましてやロアは女子だ。女子は男子よりも気を遣う部分が多いだろう。ロア達女子組の抱えるプレッシャーは男子のそれと比にならない。


「いざとなれば発煙筒を焚けば助けに来てくれるだろ」

「でも1人がリタイアしたら、全員がリタイアになっちゃうんだよ?」

「命が危険だと思ったら迷うな。文句言う奴は俺が黙らせる」

「……ふふーん」


 ロアは俺の脇を肘で小突いてくる。


「かっこつけちゃってさ! イロハって恥ずかしいセリフ平気で吐くよね!」

「よく言われる」


 パチパチ、と火を焚く音が耳に入った。

 俺とロアは煙の出所へ辿り着く。


「あ、どうも」


 焚火の前に居たのは、まったく知らない女生徒だった。


「えっとぉ、ごめん。ジャッククラスじゃないよね……?」

「うん。アニスはエースクラスだよ」


 凄いな。

 髪色がヴィヴィとまったく同じだ。赤と青の2色。でも、ヴィヴィと髪型は違ってツインテールだ。瞳の色もヴィヴィとは違う。黒色だ。


 髪色が同じなだけで、他の部分は全然違うな。


「てっきり同じクラスだけで構成されると思ってたけど、そうでもないみたいだな」

「そうみたいだね」


 アニスが同調した。


「早く残りの2人も見つけよ。ね、えーっと」

「イロハだ」

「私はロアね!」

「イロハとロアちゃん。一緒に頑張ろうねっ!」


 コイツはこの状況でも全然動揺していないな。

 普通、無人島で人に会えたらもっとリアクションあるだろ。


「ねぇイロハ」


 ロアも俺と同じように違和感を感じ取ったのか、耳打ちしてくる。


「……あんなかわいい子と3日も一緒だなんて、私の理性もつかな?」

「知るか」


 コイツに何か期待した俺が馬鹿だった。


「おー! 居た居た!」

「げっ」


 草木をかき分け、新たに2人が現れる。

 知っている2人だった。


「あ! フォックスじゃん!」

「ついでにルチアな」

「誰がついでよ!」

「ははは! ロアとイロハとはね~。こりゃ楽しくなりそうだ」


 我がオーロラファクトリーの新人ルチアとロアの幼馴染であるフォックス。

 これは楽な面子だな。

 気になるのは……、


「ん? そっちの女の子は誰だ?」

「アニスだよ。エースクラス出身」


 1人だけエースクラスなんてバランス悪く無いか? それとも学校側からの『揺さぶり』か? 1人だけ別クラスの人間を混ぜて、チームバランスが崩れるかどうかを見ているのかもしれない。


「エースクラス……ふんっ! エリートクラスね。ムカつくわ」


 そういやエースクラスは何でも満遍なくできる奴が集まるんだっけか。


「エリートだなんてとんでもない! アニス、なんにもできないよ~。錬成も並、勉強も並。運動能力には多少自信があるけどね」

「おお。俺とおんなじだ」

「アンタは錬成も勉強も並も無いでしょうが!」


 ロアがフォックスに突っ込む。


「それで、リーダーは誰なんだ?」

「はいはーい! 私でーす!」


 ロアが元気よく手を上げると、フォックスとルチアは顔を青くさせた。


「お前かよ。心配だな」

「まったくよ。なんで私じゃないのよ!」

「2人とも失礼だね!」


 いやいや、この中じゃ1番ロアが適任だと思うぞ。アニスの実力は未知数だからアニスは考慮しないけど、少なくともお前らにリーダー適正は無い。


「さ! みんな動くよ~。サバイバルは初動が大事なんだからね!」

「ほーい」

「早速仕切ってるわね……」

「まぁ学校側はロアをリーダーに選んだんだ。ひとまずは、ロアにリーダーを任せるべきだよ」


 と一応ロアを擁護する。


「私はロアちゃんがリーダーでぜんぜんいいよ。楽しくなりそうだし」

「アニスちゃん……!」


 ロアはアニスを抱きしめる。アニスはロアより頭1つ分小さいので、ロアの胸の谷間にアニスの顔がすっぽり嵌まる。


「アニスちゃぁん! 一生大事にするよ!」

「……!」


 アニスはロアをドン! と押しのけた。


「おっとと」


 アニスの少し強めの押し返しに、場が静まる。

 アニスは頬を赤くし、動揺している感じだ。


「ご、ごめんねアニスちゃん! いきなり抱き着いて……距離感近すぎたね!」

「う、ううん! いいんだよ。全然……うん。ご、ごめん。人に抱きしめられたの、久しぶりだったから……驚いて」


 ロアは少し距離感を考えるべきかも。言わずとも、ロアなら自分で調整するだろうけど。


「お前はいきなり過ぎるんだよ」


 フォックスが諫める。


「えへへ……ごめんなさい」

「反省したならとっとと指示を出せ」

「うす! まずは水だよ! 川を探そう。川が無ければ海水を真水にするよ」

「川ならもう見つけたわよ。この私がね!」


 ルチアが威張る。


「川というか湖だな。さっき俺とルチアはその湖で合流したのさ。案内するぜ」

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