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色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第3章 千面道化襲来

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第125話 錬絶のナイフ③

 5月13日。色々あった次の日の食堂にて。

 昨日のパーティメンバーに対し俺は謝罪していた。俺は言わば敵前逃亡した……ってことになっているからな。


「イロハよ。貴様がそこまでの腰抜けだったとは驚いたぞ! はっはっは!」


 ベルモンドが笑い混じりにいじってきた。

 ただこれはベルモンドなりの慰めなんだろう。笑い飛ばすことで俺のダメージを軽減してくれているのだ。


「そんなビビること無かったのにな。どいつもこいつも大したこと無かったぞ。お前の実力なら余裕で突破できるレベルだ」


 と、フォックスはチャーハンをつつきながら言う。


「結局お前らどこまで上ったんだ」

「3階まで上って脱出したよ」


 アランが答える。

 俺もレイン副校長も抜けたから安全な階層で離脱することにしたらしい。


「ホント、悪いことしたな」

「もう気にしてないよ。レイン副校長にこっぴどく怒られたみたいだしね」


 レイン副校長というか、ユンセルさんにめちゃくちゃ怒られた……というか殺されかけたんだけど。


 さて、本日の学習は順調に終わり、放課後。


 今日は俺もヴィヴィも店番ではないため、俺達はヴィヴィの家で待ち合わせた。

 一応、家に入る前に周囲を確認。女子の家に入るところを見られると色々面倒なことになるからな。

 ヴィヴィの家に入り、リビングまで招かれる。


「まさかここで錬成するのか? 窯も陣も無いけど」

「私のアトリエはこっちだよ」


 ヴィヴィはリビングのカーペットを引っぺがす。カーペットの下、木の床には、手形があった。


「マナドラフトか」

「もちろん」


 ヴィヴィはマナドラフトに手を当て、カーペットの敷いてあった場所から離れる。すると、マナドラフトを中心に床が開いていった。床が開き切ると、今度は石の階段が地下から現れた。ヴィヴィは石階段に足を乗せる。


「凄いなオイ」

「錬金術師ならこれぐらいはできないとね」


 恐らくクラスの中でこんな芸当ができるのはお前ぐらいだ。


「来たまえ。私のアトリエに案内しよう」


 石階段を下っていくと、大部屋に着いた。

 石の壁、石の床。部屋の中央には錬成窯。椅子が2つ。

 大量の本棚と、大量の壺。壺には錬成用の素材が溢れている。

 窯の傍にはテーブルがあり、テーブルの上には折れた魔剣や赤い液体の詰まった瓶がある。あの瓶に入っているのは千面道化の血液だろう。つまり、あのテーブルの上にあるものは錬絶のナイフの素材と見て間違いない。


「さて、これから錬絶のナイフを錬成するわけだけど……この魔剣さ、本当にくべちゃっていいの?」

「何を今更」

「だって、滅茶苦茶強い剣なんでしょコレ」

「ああ。ユンセルって人に、危険だからって折られちまうぐらいにはな」

「修復するって手もあるけど」

「できるのか?」


 俺が聞くと、ヴィヴィは悔しそうに顔を歪める。


「でき――無い。今の私ではまだ不可能だ」

「なら、残してたってしょうがないだろ」

「そうだね。わかった」


 さて。とヴィヴィは椅子に座る。


「錬絶のナイフの製法だけど、かなり難しい。なんせ変幻自在薬を使うからね」

「ヘンテコな名前だな」

「窯の中を見てみて。すでに変幻自在薬を投入している」


 錬金窯の中を覗く。

 錬金窯に満ちるマナポーションが、なぜか1秒毎に変色していた。赤→青→黄→紫→黄……と、ランダムにどんどん変色している。


「色が変わっている。なんだこれ」

「変幻自在薬を投入されたマナポーションはそうなるのさ。それぞれの素材には錬成色というものがあって、その錬成色とマナポーションの色が合致している時に素材を投入すると錬成物の品質が向上するようになっている」

「ん~?」

「つまり、窯の中が赤の時に、錬成色が赤の素材を入れれば品質が向上するというわけだ」

「なるほど」


 ゲームみたいだな。


「錬絶のナイフには一定以上の品質が必要。全ての素材をタイミングよく投入しないと必要ラインの品質を超えられない」


 色のわからないヴィヴィとは相性が悪い薬だな。


「お前も、その色を教えてくれるゴーグルを使えばやれるんじゃ無いのか?」

「私には素材の錬成色がわからない」

「俺だって」

「君にはわかるはずだ。目をもっとうまく使え」


 と言われてもな。


「万物にはマナが宿る。そのマナの色が錬成色だ。通常は、どのマナの色も白にしか見えない。けれど、君なら白の内に混じるもう1つの色が見えるはずだ」

「なんで俺なら見えるって言えるんだ?」

「アゲハさんの手記に書いてあった。色彩能力者の錬金術師ならば、マナの色を、錬成色を見抜けるってね」


 爺さんが?


「……ヴィヴィ。前にマナを見せてくれたよな」

「ああ」

「もう一回見せてくれ」

「わかった」


 ヴィヴィは右手を出し、マナを纏う。

 マナの色は……、


「……青。白の中に青がある」

「へぇ~。私のマナは青色なんだ」

「でも、そうやって濃くしてくれないとわからないな」


 その時、頭に声が響いた。


『目の前にある物体を見るな』 


 シロガネの声だ。


『全ての物体に背後霊があると思え。見るのは物体ではなく、背後霊の方だ』

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