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色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第3章 千面道化襲来

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第121話 シロガネvsユンセル

 イロハの意識が眠った後、シロガネは首を鳴らした。


「利口な判断だ」


 シロガネと肉体の同調率がマックスになる。

 シロガネはレプリカにマナを込め、レプリカの能力を発動する。


「――無色剣(カラーレス)


 シロガネの左手に、新しい剣が握られる。

 それはレプリカが生み出した、レプリカそっくりの剣。薄い赤色のマナで編まれた剣だ。


「武器の複製。それが、その剣の能力ですか」


 ユンセルは地面を蹴り砕き、シロガネに迫る。

 振り回される大太刀。シロガネは双剣で斬撃を流す。

 大太刀が振るわれる度、大気が弾け唸り狂う。1撃でもまともに受ければ肩か腕が破壊されるため、ひたすら受け流す。


「い~い感じに溜まってきましたよぉ~♡」


 ユンセルの口角が釣り上がる。

 ユンセルは聖職者とは思えない、品の無い恍惚とした表情で大太刀を振り上げた。


(やばいな)


 ユンセルの大太刀には稲妻が纏わっている。

 シロガネはバックステップを踏み、距離を取る。ユンセルは構わず大太刀を振り下ろす。


「天・罰!!!」


 誰もいない地面に大太刀は振り下ろされる。同時に、振り下ろされた地点から雷の柱が天高く撃ち上がり、雷の柱によってユンセルの正面の地面は焼き払われた。

 雷の一撃を放った大太刀は纏っていた稲妻を失った。


(剣をぶつけ合う度に刀にマナが溜まっていた。刀身が触れたマナを吸収して刀身に留める。それがあの太刀の能力か。あの眼帯教師の能力に似ているな)


 無論、今の1撃を受ければ跡形も残らない。


「カラーレス」


 シロガネはカラーレスを8本作り出し、自身の周囲に展開する。


「飛べ」


 薄紅の剣がユンセルに向けて発射される。ユンセルは8本全てを大太刀で弾き落とすが、


「!?」


 ユンセルは肩に衝撃を感じ、足を止めた。

 ユンセルの服の右肩部分には穴が空き、血が僅かに飛び散った。ユンセルの右肩に、掠り傷ができている。


「これは……」


 ユンセルの足下に、見えない何かが突き刺さった。それは段々と赤味を帯びていき、剣の形を成す。


「なるほど。この模造品は透明化させることもできるんですね」


 厳密には違う。カラーレスの能力は自由に色を変更できること。

 常人が使っても風景に溶け込ますことはできない。色を厳密に見切ることができ、自在に操ることができるシロガネだからこそ『透明化』させることができたのだ。


「……鋼かなにかでできているのかアイツは」


 敵のあまりの頑丈さにシロガネは焦っていた。ユンセルは千面道化よりも更に強力な相手だとシロガネは断定する。


(いや、それ以上か。カラーレスの切れ味は鋼なんぞ容易く切り裂く)


 攻撃を当てるのは容易だが、1度の直撃で与えられるダメージが小さすぎる。


(『あの場所』でアゲハの記憶を取り込んでおいて良かった。おかげでなんとか繋いでいる)


 シロガネは『見える剣』と『見えない剣』を自在に操り、ユンセルに食い下がる。

 ユンセルは体を裂かれながらも見えない剣は無視し、見える剣だけを叩き落して直進する。大太刀に稲妻が溜まる。


(くるか)


 ユンセルの奥義『天罰』がくる。

 シロガネも自身の奥義をもって迎え撃つつもりだ。


「アンチスロット」


 レプリカには特性を反転させることができる反魂石という鉱石が使われている。

 レプリカの持つ『複製』の特性を、反魂石の力で一時的に反転させる。

 複製の逆、即ち『削除』のオーラを剣は纏う。


「天・罰!!!」


白死(はくし)


 振り下ろされる大太刀を、振り上げの一刀で迎え撃つ。

 とてつもない量の雷を、シロガネは剣から湧き出る『削除』のマナで消していく。青白い稲光を白い光が無に帰していく。


 拮抗する両者。

 お互い衝突の余波で全身に傷を作っていく。

 時間にしては一瞬。しかし2人にとっては永遠に感じる程の時間をえて、終わりはきた。

 大太刀とレプリカがまったくの同時に、中心から折れたのだ。


「「!?」」


 衝突の結果はドロー。だがこの戦いの勝者は決まった。

 互いに武器を失った後、ユンセルは間髪入れず右拳でシロガネの腹筋を殴り上げた。


「ごはっ!」 


 1撃でシロガネは失神。ユンセルはとどめをさそうと左拳を振り上げる。


「そこまでだ」


 ユンセルの首に剣が添えられる。

 ユンセルを背後より制するのはレインだ。


「事情はわかりませんが、そいつは殺さないでください」

「嫌だ。と言ったらどうします?」

「試してみろ。さすがのあなたでも、丸腰で私に勝てるとは思わないことだ」


 レインの圧を受け、ユンセルはため息交じりに両手を挙げた。

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