灯籠祭 星と狐の斬り合い
ここは歓楽街のホール。そこで凄惨な戦いが始まろうとしていた。
「テメェ、時と場所考えろよ……」「最短で潰す……」
「どけ、星に還るのじゃ」
龍樹さんを襲撃し、巣流を殺さんとする天梁星が目の前に現れたのだ。
「シオン、そっちは頼める?」
「勿論」
そして俺が天梁星を、シオンがもう1人を見据えて得物を構えた瞬間、
「俺も加勢しようか……」
そう言って巣流が前に出たのだ。
「一応警護対象なんだけど、その自覚ある?」
天梁星、見ただけで分かる強敵だ。しかし、俺はそれでも奴に1人で立ち向かおうとしていた。
「アイツは強い……殺すのだから2人は必要だろ?」
巣流の目にさっきまでの穏やかな教祖はなく、敵を屠らんとする戦闘者が棲んでいた。
「はいはい、頼んだぞ!」
俺がそう声を張り上げた瞬間、全員が同時に飛び出す!
「オラァァァァア!!」「シュッ!」
「来い!! 八つ裂きにしてくれる!!」
そして互いの刃が火花を上げて激しくぶつかる!
(やっぱり強え、剣速が尋常じゃない!)
俺の刀と巣流のナイフ、その二つから狙われているはずなのに奴は無傷でそれを全て防いでいる!
(このままでは不利!)
「食らえ!」
その瞬間、巣流が無数の苦無を投げる!
「甘いわ!!」
それすらも奴は軽く防いだ。
「甘いのは……テメェだ!」
巣流がそう言いながら手を引く! するといつの間にか苦無に結びつけられた紐がピンと張る。
「哭星搦手、影縫い・縛」
なんとその紐が天梁星を縛り付けた!
「ぐっ! 相変わらず手品好きじゃな、坊ちゃん!!」
「今だヨウタ! 斬れ!!」
その声と同時に俺は一瞬で距離を詰める!
「妖狐流剣術! 基本技三、飛隼刺突!!」
そして俺が刀を突き出した瞬間、
「喝ぁぁあ!!」
奴が体を回転させ狙いを外す!
(チッ! この野郎……)
その時、俺の目に映ったのは斬れた紐。
奴はあの瞬間、調節して俺の刀が紐だけを切るように仕向けたのだ! 紐の解けた奴が強烈な蹴りを放つ!
「ぐぅぅぅう!!」
体勢の悪かった俺はそれをそのまま食らい、床を転がった。
「全く、このジジィなんでこんなに動けるんだよ……」
俺は立ち上がり、巣流と2人で奴を挟む。
「っ……!!」「ハァッ!!」
次の刹那、俺たちは同時に飛び出した! そして凄まじい斬り合いが巻き起こる!
(この野郎相手に正面はダメだ。俺たちが動くよりも早く守りに入っちまう……ならば! 正面に立たなければいい!)
その結論を導き出した俺達は自分たちの出せる最大出力で一気に勝負を決めにいく!
「くたばれやぁぁぁあ!!」
「逝かぬ!」
しかし、それでもなお奴の薄皮一枚斬るのがやっと。その時、奴が巣流のナイフを掴んだ!
「邪魔ですぞ!」
そう言うと奴は巣流のナイフを刀で叩き折った! そしてすかさず追撃の蹴りを放つ!
「無視すんなよ!」
俺は奴の隙を見逃さず、その背中を深々と切り裂いた! だが、奴は微動だにしない。
(なんだこれ……斬った感触がない!)
俺が戸惑っているとその正体が露わになる。なんと奴は服の下に鎖帷子を着込んでいたのだ。
「痛いなぁ」
奴はそう言いながらゆっくりと振り返る。そして音もなく横薙ぎを繰り出した!
「チィッ!」
俺は体を反らせて何とか避けるが胸から鮮血が吹き出した。
(クソが……どうしたら勝てる?)
俺は目の前にいるこの男が難攻不落の城に見えた。
◆◇◆◇
その頃、シオンも激戦の中にいた。
「頼むから死んでくれやぁぁぁぁあ!!」
シオンと男の間を嵐のような斬撃が交錯する! 男の体は鮮血で染まるがその勢いは一層増す。
「くっ……!」
(やりづらい!)
総合的な能力で言えばシオンの方が上だ。しかし男は天性の才で命に届くような一撃は全て避ける。
「上手いなぁ! これでも涼しい顔出来んのかよ!」
その瞬間、奴の手元のナイフが2本に増える!
「ヒャッハァァァァア!!」
そして男の猛攻が始まる! 男はナイフを持ち替えたりなどでシオンの集中力を削ぐ。
(こいつの目的は私を殺すことじゃない、私を足止めすること)
シオンは猛攻を防ぐ傍らで優先順位を組み立てる。
(正直もっと遊んでたいけど……下手に突っ込むと死にそうだからなぁ)
その瞬間、男がバックステップで距離を取った。
(このまま適当な距離感保って時間潰そ)
そのまま、男とシオンの睨み合いが始まると思った瞬間、シオンが超速で突っ込んだ!
「何ぃ⁈」
それはあまりに予想外。シオンの猛攻に奴は後手に回る。
「クッソがぁぁぁぁあ!!」
余裕の無くなった奴をシオンは容赦なく切り刻む! 次の瞬間、シオンの小太刀が奴の腹を捉える!
(このまま振り抜く!)
そしてシオンが力を込める……が、小太刀が動かない。
「なっ⁈」
シオンが見せた隙、その一瞬で奴の目の色が変わる。
「ラッキー、その仮面ぶち壊してやるよ!」
そして渾身の頭突きをシオンに打ち込んだ!
「ぐぅぅぅう!!」
その一撃はシオンの仮面に亀裂を入れ、その奥にあるシオンの額を割った。
「ハッハァ、これでイーブンだぜ」
そうして再び両者が向かい合った。
◆◇◆◇
(畜生……シオンも膠着状態か……)
俺は何とか状況を打開しようと手を考える。
「お前ら、なんで巣流を狙うんだ? 何の恨みがある?」
俺は苦し紛れに奴へそんな問いを投げかける。
「何の恨み……か。坊ちゃんは我々哭星会の次期教祖。その方が出奔されたのだから、指南役である私が探すは至極当然じゃろう?」
奴はそう言い終わると、立ちあがろうとした巣流に折ったナイフの刃を投げた!
「ぐぁぁぁぁあ!!」
その刃は正確に巣流の手のひらに突き刺さる!
「坊ちゃん。動かぬが身のためですぞ」
そして奴が刀を構える。
「全く……巣流、動かないでくれ」
俺は一気に集中状態に入る。
「久々に、本気でやろうか」
そうして俺たちの間を沈黙が過ぎ去った……次の瞬間!
「おっしゃぁぁぁぁあ!!」
「散れぇぇぇぇぇえい!!」
俺達は同時に爆発的な踏み込みで前に出る! そして全身全霊で斬り合う!!
だが実力は僅かながらに奴の方が上だ。俺の体から鮮血が舞う。
「まだまだぁぁぁあ!!」
俺は渾身の横薙ぎで奴の刀を弾く! そしてそのまま真上に飛び上がった!
「妖狐流剣術、基本技一! 鴗!!」
そして全力で刀を叩きつける!
「むぅぅぅぅぅう!!」
その一撃は奴の胸を裂くが命には届かない!
「がぁぁぁぁぁぁあ!!」
しかし俺は強引に距離を詰め、奴との鍔迫り合いに持ち込む!
◆◇◆◇
同時に男とシオンの戦いも大きな進展を迎えていた。
「このクソ野郎!」
「ぶち殺してやる!!」
男は鮮血に塗れながらもシオンに食らいついていた。
(ここで決めてやる!)
その瞬間、シオンが奴のナイフに小太刀を合わせる!
「重心取り!!」
次の瞬間、男の体が正体不明の衝圧に固定される!
「何だぁ⁈」
だが男も実力者。咄嗟に片方のナイフを手放し、シオンの服を掴んだ!
「くっ!」
「終わりだぜ!」
そして男が重心取りから抜け出し、横薙ぎを繰り出す!
そうしてこの戦闘は予想外の結末を迎える。
さて、いかがでしたでしょうか?
今回は天梁星との戦闘を描いてみました! 決着と甘いシーンは次回にご期待ください。
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