表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖狐のハンコウキ  作者: 烏丸 和臣
妖狐衆
6/29

成長と闘い③

大丸さんと百合さんが戻ってから5分ほどで龍樹さんとリンさんが来た。

「おお! ヨウタ! よろしくな!」「よろしくお願いします」

二人が挨拶をしてくれたので僕も返す。

「よろしくお願いします!」

そして二人の訓練が始まった、何をするのかと思っているとリンさんが何かを取り出す。

「ま、まず採寸させてください」

思考が停止する。

(え? 採寸? 訓練は?)

何が何だか分からなかったが黙って従った。

(ここで10分くらいかかってしまった。理由は単純でリンさんが少し小柄なためしょうがないのだ)

採寸が終わると龍樹さんが武器を準備していた。

「え、何されてるんですか?」

「ん? これから対人戦闘の訓練だからな。俺が相手してやるよ」

そう言って龍樹さんが木刀を構える。

(なるほど……)

もうやっただろなんて意見は心の奥底に沈めといてくれ。そうして対人訓練が始まった。

「さあ、どっからでも来い」

僕は正眼に構えているが龍掛さんは体の右側を若干引いて木刀も切先が横向きになっている。

変な構えとは思いつつも訓練だ。僕は雄叫びを上げながら突進する!そして左から横難ぎを繰り出す!

「うおおおおお!」

「良いなぁ!」

龍樹さんはバックステップで攻撃を外す。

だが僕もさらに踏み込んで追撃の体制に入る!だが瞬時に龍樹さんがカウンタ一の切り上げを放つ!

「うわっ!」

急いで身体をのけぞらせて紙一枚で外す!だがそこから追撃が飛んでくる!切り上げの回転を殺さずに僕の首を刈りに来る!僕はバックステップで距離を取るが次の瞬間、龍樹さんが目の前に現れる!

「受けれるかな!」

そう言いながら右の横薙ぎを繰り出してくる!

(まずい!)

瞬時にガードに入るがここで予想外が来る!僕のガードの体制はそこまで悪くなかったはずだ。だが木刀が衝突した瞬間、僕は部屋の中央部分から壁まで一気に吹き飛ばされたのだ。コンクリートにありえない勢いで叩きつけられる!

「グハッ!」

間一髪で頭は守ったが身体中が痛みに襲われる。立つのでさえいっぱいいっぱいだ。

「おい、大丈夫か?」

「は、はい……」

なんとか返事する。

「ごめんな、力加減間違えた……」

龍樹さんが申し訳なさそうにする。

リンさんは一人であたふたしてる。なんとか骨折とかはないが全身あざだらけだ。

また動けるようになるまで時間がかかってしまった。

そして次の訓練に入る。

次は拳銃の訓練だ。どうやら銃器はリンさんの得意分野だそうで一通り扱い方や仕組み、手入れの仕方を学んだ後一つの課題が与えられた。

それは部屋の中を一周しながら的を撃ち抜き、制限時間内にゴールすると言うものだ。筋肉痛で倒れそうだが今までに比べたら簡単だと思いやってみる。

だがその認識が誤りだと気づくのに時間かからなかった。まず的の数が多いのだ。体感60mの中に25個はある、また配置も足元だったり重なったりしているから全部打つのも大変なのにその道のりを20秒以内に走り切れと言うのだ。

何度やっても、どれだけやっても、失敗ばかり。

結果14時から始まった訓練は苛烈を極め時間は20時を回ろうとしていた。手には豆ができ、全身バッキバキだ。泣きたくもなった...…が

(これで、決める!)

そう念じて1282回目の挑戦を始める!

スタートにあるのは二つ、左右にある的をノンストップで撃ち抜く。次に出てくるのは上、中、下段にある三つの的。これは早い段階から中段の的を撃ち抜いてその次、下、上と撃つ。

ここまで走る足を止めないのが大事だ。

そして次に出てくるのは上から吊るされた的三つ。これは手前で飛び、正面から早撃ちでやる!

(ここまでで5秒……)

そして曲がり角を曲がると大量の的が待ち構えている!ここは止まらずに乱射する!場所は大概覚えているからほとんどの的を1,2発以内で完了。

そしてこの訓練の鬼畜ポイントに来る。低い位置に僕を囲むようにして配置されている……ここのためにほとんどノンストップで来たのだ。

そして瞬時にスライディングして体勢を低くし、左手を使って身体を回転させ、拳銃の早撃ちで的を撃ち抜

く!

(ここで40m地点!タイムは12秒)

そこから素早く立ちまた加速する!ここからは的をどれだけ正確に撃ち抜けるかの勝負だ。

残っている的は10個。

正面にあれば天井に貼り付けてあったりもする。そしてまず正面の二つを撃って次は足元の二つをなんとかクリア、そしてまた加速してスライディング、天井の三つを逃さずにやる。

(これで、残り10m、的は残り三つ、タイムは16秒)

今までで一番レベルの速さで来れた!

(行ける。いや、やってやる!)

そうもう一度決心して加速する!

残りは正面にある三つのみ。

素早く、されど慎重に照準を合わせて引き金を引く。放たれた三発の弾はすべて命中した!

あとはゴールするのみ!全力で走りゴールラインを通過した!

だが妙な違和感があり後ろを振り向くと的があと一つコーンの陰に隠れていた!

(あ、終わった。もう、だめだ)

諦めそうになって倒れかける。

だが、

「あきらめるな!!」

そんな声が聞こえる……その声の主は龍樹さんだ。

(そうだ、まだ!)

時間は関係ない、やらなきゃいけないんだ!

決死の覚悟で銃を向けて倒れこみながら弾を放つ。

それは真っ直ぐ進み、的をとらえた!同時に僕は床に倒れる。

「タイムは⁈」

リンさんに確認する!

「タイムは……」

時がゆっくりに感じられる。

「11秒98で、合格です!」

「うおおおおおおおおお!!」

瞬間に龍樹さんが駆け寄って祝福してくれる

「やったなヨウタ! おめでとう!!」

本当に人生で一番しい瞬間だ!

そして三人で飛び跳ねているとシオンが上から声をかける。

「みんなー、ご飯冷めちゃうよ」

それと同時にお腹が鳴る。

「……食べましょうか」

「そうだな」

「う、うん」

それからみんなで上に戻る。今日の夕飯は焼きそばだ!目を輝かせて待っていると

「じゃあ、食べようか!」

その声と同時に勢いよく食べ始める。

『いただきまーす!!』

そしてお腹いっぱいに食べた後にシャワーを浴びて自室に戻る。

それと同時に体が動かなくなる。

そう、僕はもう限界なのだ。だが瞼が重くなる中でこうつぶやいた。

「最高の一日だったなあ」

そして眠りについた。



僕が寝静まった後大丸さんたちが集まって話している。

「さて、分かんないのはあいつの能力だ……」

「今日見ていても能力を使うそぶりはありませんでした」

「でもあいつらが単に少しできる程度の人間なんか造るか?」

「まぁこれから要観察だな……」

『はい……』

そうして夜の小さな会合は終了した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ