妖狐佐々木戦争 アサシンvsアサシン
ここは妖狐衆アジト。そこで全員で作戦会議が行われていた。
「さて、昨日の作戦を決行するのに当たって一つ問題がある」
「はい。人数差ですよね」
お頭の言葉に百合さんが答える。
「そうだ。俺たちは6人だが向こうは8人。しかも同時にやらないといけない……だから向こうの幹部を最低一人は減らさないといけない」
「ですが誰を狙いますか? カメラを仕掛けた場所も限定的過ぎて向こうの動きはつかめませんよ……」
その時青山が口を開いた。
「あの……あくまで私個人の意見ですが。赤坂を狙うのはどうでしょうか?」
その口から飛び出したのは予想だにしなかった名前。
「赤坂? 何でだ?」
お頭がそんな問いを投げかける。
「実は武闘派幹部の中で赤坂が唯一シマの集金に赴くんです」
「……それは本当なんでしょうね?」
衝撃のことに百合さんが疑いの目を向ける。
「はい。これは確かな情報です。私たちは過去に佐々木組の幹部を狙おうと調べていた時期があったのですが、その時に赤坂だけが集金の現場に現れていたんです」
「なるほど。その情報が正しいならかなり有益だな。赤坂はいつその集金に現れるんだ?」
「おそらく時期的には……本日。時間は昼前ぐらいが多いかと」
「今から二、三時間後だな……誰かやれるか?」
「私に行かせてください。相手がアサシン上がりならおそらく適任かと」
「分かった、シオンは準備してこい。青山はシオンと一緒に出る支度しとけ」
「「分かりました」」
そう言って2人は部屋を出た。その後他のメンバーも各々の持ち場に戻った。そうして、仁義も何もない奇襲作戦が実行に移ることとなった。
その後とある一室でリンさんが銃を磨きながら物思いに耽っていた。
(私……ほんとに戦えるのかな……)
そんな思いがリンさんの胸中を支配していた。この戦争、百合さんは(僕も)佐々木組のシマ内にヤサを作り基盤を整えた。龍樹さんは伍人組のコブラと武闘派幹部の蛇川を打ち倒した。お頭とシオンも襲撃をかけてきた米倉と柳を戦線離脱させている。
だがそんな中で佐々木組の打った「ヤサの急襲」という一手。それによって戦況は膠着状態になったといってもいい。その結果シオンの立案によって総力による奇襲作戦が採択されたのだ。
だがリンさんにはそれとは全く違う標的がいた。
(あのクソをこの手で葬らないと気が済まない……)
その標的とはあの日、リンさんを襲撃した男だ。あの日以来リンさんの内側ではあいつに対する怒りが静かに燃えていたのだ。
「先輩。大丈夫ですか?」
そう言って入ってきたのは龍樹さん。
「う、うん。どうした、の?」
「いやちょっと気になって……って、なんで銃なんか磨いてるんですか⁈」
龍樹さんが驚きの声を上げる。実はこの「銃を磨く」という行為はリンさんにとって「戦闘準備」と同じ意味なのだ。リンさんをよく知る龍樹さんにとって命令もされていないのに銃を磨いているのは不思議極まりないのだ。
「え、えっと……その……」
龍樹さんの問いにリンさんはどう返すべきか長考する。
「もしかして……1人で動くつもりじゃないでしょうね……?」
その時龍樹さんの眼光が鋭くなる。
「……」
その一瞬、部屋の中は静寂に包み込まれた。
「……なんでも、良いでしょ」
その静寂を切り裂いたリンさんの言葉は龍樹さんを突き放すものだった。
だが、
「良くない」
龍樹さんはそれを許さなかった。
「どーせ、マムシって奴に復讐するつもりなんでしょう?」
「え……なんで……」
「どんだけ一緒にいると思ってるんだよ。そんくらい分かる」
龍樹さんは呆れたようにそう言った。
「分かってるなら……いいでしょ。邪魔しないで」
「いや、ダメだ」
「なんでなの⁈」
「アンタを守るって誓ったからだよ!」
龍樹さんの声が空気を震わせる。
「別に邪魔する気はねぇよ。でも、せめて黙って行くのだけはやめてくれ。俺が……リンを守れない」
龍樹さんは片膝をつき、リンさんの目をまっすぐ見てそう頼んだ。
「……分かった」
そうしてその場で2人による秘密の作戦会議が行われた。
それから時間が流れ……シオンと青山が出撃の準備をほとんど終えていた。
「お頭。時間ですよ」
百合さんが時計を見てそう言う。
「分かった。ヨウタ、頼む」
「これ、本当にやんなきゃいけないんですか?」
「あぁ、さっさとやれ」
「うーん……分かりました。
スゥゥゥゥゥ……なんて事してくれたんですかーーーーーーーーーーー!!」
その直後、僕は全身の力を振り絞って大声を出す! その声はまるで音波かのような衝撃でアジトの壁を貫通し、外に響き渡る。
その時シオンが青山を担ぎながら外へ出る! そして能力を惜しげなく使い一瞬で豆粒程の大きさになる。
その時僕はアジトで真っ白になって倒れていた。
「お疲れ。ヨウタ」「良い声でしたよ」
「はい……」
今の声にはもちろん意味がある。その意味を知るには僕と百合さんが佐々木組のシマに侵入した時まで戻らないといけない。
あの時、アジトの周囲は佐々木組の構成員によって巨大な監視網が敷かれていたのだ。
当時、相手に侵入を悟られない為に行ったのが敵の注意を逸らす事だ。あの時はその手段として龍樹さんが思いっきり床を叩いて音を出すと言う方法を行なっていた。
今回ももちろん相手にばれてはいけない。でも龍樹さんが床を叩くと……
(修理しないといけないからぁ……)
なんてことになる為、今回は僕の大声になったと言うわけだ。
(喉痛い……)
そんなこんなで赤坂襲撃作戦の第一歩が踏み出された。
その後みんなが各々の持ち場に着いた。お頭は指揮、僕は修行、魔素苦のメンバーは周囲の警戒、百合さんは監視、リンさんと龍樹さんはシマの見回りに出た。
その時、シオンと青山は佐々木組のシマに侵入成功していた。
「青山。アイツ、どこ?」
「え、えっと……ここからもう少し西にある「金時」という質屋を訪れるはずです」
「分かった。行くよ」
そうして西に向かって走り出した。それから程なくして件の「金時」の前へたどり着いた。
「ここで待ちましょう」
そうして金時の屋根上でひっそりと潜伏を開始した。それから30分ほど経った頃、とある男が店に現れた。青色に染めた髪、ゆったりとして普段着と見分けがつかないような服に身を包んだ異質な男。
(来た!)
シオンが一気に集中する。
「どうもでぇっす。集金に来ました〜」
「おぉ、赤坂さん。ご無沙汰してます」
「どうも吉川さん。お元気そうで……と言いたいんですが……ちょっと下がっててください。ネズミがいるようなんで……」
((気づかれた!))
2人の緊張が一気にマックスまで跳ね上がる!
次の瞬間!
「シュッ!」
赤坂が凄まじい早撃ちを見せる!
「下がって!」「ぎぃいいい!!」
だがシオンが反応し、青山をギリギリで引っ張る!
「おーい! 汚いネズミ野郎、さっさと出てこいよ!」
赤坂がシオン達を挑発する。
「ここで待ってて」
シオンがそう青山に耳打ちをして屋根から降りる。
「お望み通り出てきたわよ。赤坂」
「テメェ、思ったとおりだな。狐野郎」
そうして互いが向かい合う。次の刹那! 赤坂が一瞬の内に3発の弾丸を放つ!
「っちぃ!!」
シオンはそれを超反応で躱しつつ奴との距離を詰める!
「うぉお! やっベぇ!」
だが赤坂はナイフに持ち替え、それを余裕の表情で待ち構える! そして、両者の間で凄まじい数の火花が巻き起こる!
「死ね、赤坂!」
「死んでやるかよぉぉおお!!」
隙間などまるでない斬撃が互いの身体を削りに行く! だがその中で赤坂のみが血飛沫を上げる!
「いってぇなぁぁああ!!」
だがその剣圧は全く衰えない。その時、
「ちょいと離れろやぁあ!!」
赤坂が反対側の手でチャカを弾く!
「めんどくさい……」
シオンは飛び上がり、距離を取る。そしてその時互いの脳内には同じ考えがあった。
((コイツ、強い))
そうしてこの戦いは衝撃的な展開を迎える。
それとほぼ同時刻、リンさんはとある路地を1人で歩いていた。
(相変わらず嫌な空気)
そう思ったと同時、辺りの空気が色濃い殺気に染められていく。
「ようやくお出ましなのね」
「貴様の、腕をもらおうか」
そうしてリンさんが振り返るとフードを深く被った男が立っていた。
「やらせないわよ」
その言葉を聞き、男も武器を構える。
そうしてこの2か所ともが血に塗れた壮絶な未来を迎える。
さて、いかがでしたでしょうか?
今回はついにリンの戦闘シーン! ……と意気込んでいたのですがそれは次回に持ち越しと言う形に……また、評価やPVが順調に伸びてきて嬉しい限りです。
ではコメントや感想、評価などありましたらしていただけると嬉しいです。




