己を知る
前話ほんの少し変えています。
拠点を現在の核の制限内で築いた男は自分自身について検索することにした。
不死王<骨人種の最高峰。非常に高い知能を有し、膨大な魔力量を誇る。骨人種の特性上膨大な魔力を自在に扱うことができる。骨人種の例に漏れず、基本的には刺激さえ与えなければ無害な存在>
相変わらずの大雑把な説明に満足のいく答えを得ることは出来なかったが、自分の能力を計る指針程度にはなった。それから男、不死の王は魔力について検証を始める。まずは感じるところから始め、動かし、何が出来て何が出来ないのかをひたすら検証を繰り返した。
結果的に魔力は物質に干渉する形で使用する方法と、変化させて使用する方法があることがわかった。魔力を内包しない物質は存在しておらず、その魔力に干渉することで自在に操ることができる。例えばそこら辺にある地面に干渉すると、隆起させたり土像を作ったりとできた。
もう一方、魔力は別の物質に変化させる事が可能だった。発火させたり水を精製したりが可能だ。火は熱と酸素と何か燃えるものがあれば着く、魔力を燃焼可能な物に変化させると簡単に発現した。魔力を代償に何かを発現させる。核はこの原理を拡大発展させた魔道具なのかもしれない。
双方ともに規模が大きくなればなるほど魔力の消費量は多くなり、精密なほど多くなる。不死の王は意味もなく地面に大穴を空けたり、火の海を作り出したり、水を周りにぶちまけたりして遊んでいたが、そんなに魔力を消費した感覚はなかった。
魔力で遊ぶことに飽きた不死王は、スケルトンに領域内の探索に行かせたり、訓練風景を眺めていたり、模擬戦をやったりしていた。中でも一番時間を掛けていたのは、拠点の縄張りである。不死王はこの荒野に城を築くつもりでいた。難攻不落の巨城。周りには支城群を築き上げ、絶対防衛圏を構築することを構想していた。
完全なる趣味で城塞群を築き上げるつもりの不死王は、探索に出した部隊から得た地形情報を元に計画を練っていく。核が成長して制限が解除されると限界まで改築し、「ぼくのかんがえたさいきょうのおしろ」計画を推し進めていた。
順調に城塞群が拡張されていくと、配下の数も増やしていった。先行して召喚していたスケルトンの数が体進化していて、ハイ・スケルトンになっていた。
ハイスケルトン<スケルトンの上位種。基本的にスケルトンの上位互換。少し複雑な指示にも対応できるようになる>。こいつらもスケルトンと同じような進化をするだろうと思われる。
発展拡大を続ける不死王にこの地に飛ばされてから初めての来客が訪れる。招かれざる客なのかどうかはまだわからない。