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荒野に降り立つ

チュートリアル回

 各地へと送られた十二名は、自らの置かれた状況を確認する。今後の事を考える前に、まずは己の拠点を築かなくてはならない。あの説明役は拠点の奪い合いが発生する事を示唆していた。


 最後に席に着いた男は荒野に立っていた。<何もない荒野>、男が選んだ初期配置地点だ。水源も無ければ、植物を育てられる土壌とも程遠い。生き物が生きていける環境ではない。故に<何もない荒野>。


 しかし男の選択した種族にとっては何の問題もない。骨人種<生物の骨に魂が宿り誕生した種族。生理的欲求が存在せず、食事、睡眠が必要ない。魔力で体を動かし、魔力が切れると体を維持できなくなる。骨故に打撃系統の攻撃に弱いが、高位の存在になると高い魔力を保持している者が多いため弱点とは言えなくなる。不老だが、不死ではない。刺激さえ与えなければ基本的に無害な種族である>。


 骨人種故に食物は不要。男が求めたのは他者からの干渉を困難にする環境の方であった。男は一緒に送られ、今も目の前に浮かんでいる核に触れる。説明役のアドバイスでもあったが、それ以上にそれ以外の選択肢が存在していなかった。


『魔力の登録が完了致しました。これより拠点の構築を開始致します。領域の範囲を指定してください。後ほど変更可能です』


 触れるや否や機械的な音声が再生される。魔力の登録が終わると即座に拠点の構築が開始される。領域とは核の有効範囲であり、領域内でのみ核の機能が働く。範囲は一㎡から二十㎡を任意で選択でき、それ以上の範囲を指定する場合は相応の魔力を消費して拡大できる。最大範囲には限界があり、核が成長すれば限界値も増える。しかし核にも成長限界があり、その地の適性に応じて限界値は変わる。


 男はとりあえず二十㎡を指定する。意味は特に無く、最大値を確認してそのまま選択しただけである。


『次に部屋を選択し、場所を指定してください。後ほど変更可能です』


 領域の設定が終わると部屋を作れと指示が出た。部屋の広さも一㎡から二十㎡まで指定でき、場所は地中も指定できた。とりあえず広さは一㎡で地上に設定し、外見の選択肢が出たのでテントを指定した。外見の選択肢の中には竪穴式住居やゲル、納屋など色々あった。


『最後に配下を選択してください』


 最後に配下を選択しろとの指示が出たが、選択肢はスケルトン・ヒューマン一択だった。スケルトン<最下級の骨人種。素となった生物に準じた動きをする。意思は無く、辺りをさ迷い動き続ける。軽く、脆い。力は人並み以下。上位者の指揮下に入ると脅威度が跳ね上がる。>


『以上をもって案内は終了です。今回は特別に最初に選択した配下を百体お贈りします。随時お受け取りください。』


 スケルトンを召喚すると音声案内は終了した。後は好きにしろと言うことだろう。スケルトンは直立不動でそこにいる。男は取り敢えず核の保有魔力の許す範囲で色々と実験をし始める。先程の案内では不十分過ぎる為である。


 色々と試行錯誤の末に男は、小さな砦を築き上げる。砦の周りには空堀が掘られ、木製の塀には狭間が設けられていた。本当は水堀にしたかったがコストが高過ぎた。櫓も建ててあり、弓、矢、槍などの武具や鎧などの防具も召喚可能だった。


 そこには完全武装のスケルトン・ヒューマンがいた。十人に分けて、それを一組とした。


 この時点でまだ核の保有魔力は多少残っていたが、核の成長のために領域を最大まで拡げて使い切った。核を成長させるためには魔力が必要で、方法は二つあった。一つは魔力の噴出地に核を設置して吸収させる方法と、もう一つは領域内に侵入した者から吸収する方法。


 核は魔力がある一定値に達すると成長する。なので自然吸収分はいいとして、いつか来るであろう侵略者から奪うために領域を最大にした。領域は砦を大きく上回る範囲にまで拡がっているので、侵略者が砦を包囲した際に吸収出来る様になっている。


 これらの設定にはおよそ二日の時間を要した。骨人種なので不眠不休で作業しても問題なかったが、色々と説明が不足していた影響で恐ろしい程の時間を要した。


 取り敢えず砦の警備と稽古、見回りを交代で行うようにスケルトン達に命じて、男は自分の能力を把握することにした。

一部内容を変更しました。

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