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 殿下とブロンクス様のご令嬢ソフィア様のお見合いも失敗に終わった。立て続けにお見合いに失敗した殿下は落ち込み気味である。次のお見合いをする前に殿下の気分転換をした方が良いのではないか。そう思い僕らは王都の街へ繰り出すことにした。


 市場をのぞいては何か面白いもはないか探してみる。だが、面白いものや掘り出し物はなかなか見つからない。だが、いろいろな露店をのぞいては商品の品定めをして歩くことで殿下の気分は大分持ち直したのであった。次に富裕層向けの高級店の通りを歩いてお見合い相手にプレゼントするようなものがないか探してみる。今度こそ相手に気にいられるようにと真剣にプレゼントとなるものを探して歩いた。すると、いい気分転換ができたようで、殿下は明るい顔を取り戻した。


 さて、そうなると次のお見合いであるが、投票券の販売とオッズ計算を行う者達の責任者のドレイク様の妹君であるルナリー様を紹介してもらえることになった。そういうわけでエルドリッチ子爵様が再びお見合いの場を提供してくださることになった。

 

 「バルディウス殿下、こちらがドレイク殿の妹君であるルナリー嬢だ。ルナリー嬢、こちらがジルバーン公爵様の三男であるバルディウス殿下である」

 エルドリッチ子爵様がお見合いする相手を互いに紹介した。

 「バルディウスです。はじめましてルナリー殿」

 「ルナリーです。よろしくお願いしますわ」

 紹介されたルナリー様はとても美人だった。整った顔立ちに意志の強さをうかがわせる鋭い目つきをしていた。15歳とのことであるが、その落ち着いた雰囲気からもう2,3歳年上に見える。外見は申し分なく、あとは殿下との相性がどうかというところが問題だ。

 「ルナリー殿は素敵なお召し物を着ていらっしゃいますね」

 「まあ、褒めてくださりありがとうございます、殿下。お気に入りの服を着てまいりましたのですよ」

 殿下は無難に相手の服装を褒めるところから会話に入った。ルナリー様も満更ではない様子で殿下の言葉に反応を返した。僕は殿下とルナリー様との会話を殿下の後ろにいて聞いていた。今度のお見合いこそうまくいってくれと願いながら殿下たちの言葉を聞いていた。

 「ご趣味は何ですか?普段どのようなことをして過ごしているのでしょうか?」

 「趣味といえるかわかりませんが、刺繍は良くしております。あとは料理を少々嗜んでおります」

 貴族の女性が刺繍をするのは定番らしい。無難な趣味といえる、一方料理の方は珍しい。基本的には使用人に任せる仕事とされているからだ。

 「料理が趣味とは珍しいですね。どんなものをお作りになるのですか?」

 「日ごろ食するスープから、ティータイムに楽しむ焼き菓子まで一通りの物は作れますわ。うちの料理人に頼んで教えてもらったのです」

 「それは素晴らしいですね。そこまでできる貴族の女性は滅多にいないでしょう。お料理がお好きなのですか?」

 「ええ、一生懸命作ったものを食べてもらって笑顔でおいしいと言ってもらった時とてもうれしい気持ちになるのよ。あまり宮廷貴族の娘らしからぬ趣味ですけど」

 「いえ、そんなことありませんよ。できることに越したことはありません。良い趣味だと思いますよ」

 「本当ですか?」

 ルナリー様は顔を赤らめながら自分の趣味のことを認めれられて嬉しそうに尋ねた。

 「ええ、本当ですよ。うちの母上もごく偶にですが料理することがあります」

 「公爵妃さまでもお料理なさるのですか?」

 「そうなんですよ。家族の誕生日の時などに一品作ってくれるんですよ」

 「まあ。公爵妃様がお料理をなさるなんて意外でしたわ」


 会話は順調に弾んでいる。今度こそお見合いがうまくいくのだろうか。僕は期待しながら殿下たちの様子を窺った。


 「殿下はドラゴンレースを考案して実行に移したと聞いております。私はドラゴンレースに興味がありますの。お話を聞かせてくださいませんか?」

 「ほう、ドラゴンレースに興味があるのですか。うれしいですね。話して聞かせましょう」


 ルナリー様はドラゴンレースに興味がおありになるという。なんて素晴らしいことだろう。ルナリー様は殿下とは絶対にうまくいってほしい。殿下がルナリー様にドラゴンレースについて語っている後ろで勝手に僕がそう思っているとエルドリッチ子爵様が現れた。


 「盛り上がっているところ申し訳ないが、そろそろ日も傾き始めてきてお開きの時間となった。あまり遅くなるとルナリー嬢の家で心配するであろう。お二人が良いようなら後日にまた改めて会うことにして、本日は解散としよう。」

 「ルナリー殿、本日はとても楽しかったです。また後日お会いしてくださいますか?」

 「ええ、殿下。私もとても楽しかったですわ。私もまた殿下にお会いしたく存じます」

 「今日の出会いを記念してプレゼントがあるのです。受け取ってもらえますか?」

 「まあ、ありがとうございます。なんて素敵なハンカチでしょう」

 「喜んでもらえるなら幸いです。では、また後日にお会いいたしましょう」


 殿下がルナリー様と後日にまた会う約束を取り付けることに成功したところで今回のお見合いは終了した。一度で結婚までは決まらなかったが、再度合う約束を取り付けることができて、ひとまずは成功といったところであろうか。


 「殿下、随分と話が弾んでいたご様子ですな」

 「ええ、エルドリッチ子爵様。子爵様のおかげで随分と楽しい時間を過ごすことができました。ご協力ありがとうございます」

 「いえいえ、殿下のお役に立ててうれしく思います。思えば私も伴侶探しには苦労したものです。苦労のかいもあり良き妻と巡りあうことができました。殿下もよき伴侶が見つかると良いですね」

 「ええ、頑張ります。ひとまずはルナリー殿ともっとお互いを良く知るようになりたいですね。では子爵様、本日はお世話になりました。また後日に会いましょう」

 そう言って殿下はエルドリッチ子爵様のお屋敷をあとにした。殿下も今日のお見合いには手ごたえを感じているようで、非常に機嫌が良かった。このまま殿下とルナリー様とがうまくいってほしいと僕は思った。

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