武器育成イベント!? 地下格納庫攻略編その四
自動ドアのような――正しく自動ドアだけど――音を立てて開くドアの先には、当然のことと言いたげに猫面がずらりと整列をして待ち構えていた。
構えられるのは無数の銃口。狙われているのは私達。一瞬の猶予もなく放たれたそれは、それよりも勝るスピードで駆け抜ける閃光によって、瞬く間に消し飛んだ。
どうも、おかしいなぁ。
廊下を抜け、エレベーターブロックへと入りながらも、私はそう考える。
食堂で私が猫面を倒したときは、私に向かってタライが落ちてきた。時間差はあったけど、レンチの所にも。なのにどうだろう。食堂でも、廊下でも、タツノが倒した際にはタライが落ちてくる様子が一切ない。
プレイヤーだけを判別しているのなら、レンチには落ちてこないだろうし、もしかしたら物理的な攻撃だった所為なのか。
今後の攻略のヒントになるかもしれないと、エレベーターブロックで待ち構えていた大量の猫面達を相手に、少し試してみることにした。
先ず、タツノはこの場で、今まで通りの攻撃を有効に使うことは出来ない。何故なら食堂以外の部屋から、イヤラシイほどに猫面が入り込み、撃たれた者を盾に進んでくるからだ。
一度に多くの者を倒してしまっては、それだけ楯が増えて私達が不利になってしまう。なすべき事は進むこと。少ない攻撃で可能な限り目的の場所へ移動するほかないのだろう。
だからお面に蹴りを入れる。私に向かってタライが落ちる。
だからレンチは一人づつ拳銃でお面を撃ち抜いていく。そんな彼女にタライは落ちる。
どうやら、攻撃する際の距離は関係ないらしい。同様に一人づつ狙っていたタツノにもタライは落ちるし、噛み付いて投げ飛ばしているウォーセにも、風で吹き飛ばして攻撃しているしーちゃんにもタライは落ちている。
「戦闘行動を制した人に、タライが落ちるのかもしれないのです。蹂躙ではなく、制圧でもなく。個々の戦闘なのです」
私の背中にしがみついて戦況を観察していたレッサーパンダ、ぬーちゃんがそう分析をした。
一緒に居ても役割が被るだけだと、戦力の温存のために待機して貰っていたぬーちゃんは、しっかりと戦況を見ていてくれたらしい。なる程、個々の戦闘がトリガーなのか。この施設の構造から、私はこの場の意図を察した気がした。
要は、敵に見つからないように進んでいくことを前提にしているのだ。だから戦闘した際には隠れるにはデメリットとなる、音が鳴るタライが落下してしまう。その場に敵がいなくなるのなら、その必要もない。そんなルールがあるのだろう。
その通りであるならば、空間に一人だけだった場合もタライは落ちない可能性がある。まぁ、それはもう今更な条件だと思うけれど。
だとすると、このタライも施設内の操作により解除出来る可能性はあるのだろうか。その疑問に辿り着いてしまう。
結局のところ、制御室へ向かわなければ何も始まらないと言うことなのだろうと、西に向かうウォーセとしーちゃんを横目に映しながら、私達は戦闘をそこそこに南側の廊下へと向かうことにした。
しかし――。
「待て。レンチ、エレベーターから出てくる猫面の数、多い気がするのじゃが?」
ブロック中央にある二つのエレベーターからは、到着を知らせるベルの音と共に、次々と猫面が溢れ出て来ていた。
レンチの調べでは、猫面達の侵入口はウォーセ達が向かった西のブロックにある。ならば其処から出てくる数の方が多くなるのが普通ではないのか。
「ちっ。内部に何らかの、ポータルの様な物を作った可能性があるな。……主、ぬーちゃん、頼めますか」
結局、エレベーターブロックも攻略要素に組み込まなくてはならないわけだ。
「エレベーターが、二本。猫面はどちらからもいっぱい。三階層まで開放済み。……結局、結局ぬーちゃんは一人で行かなくてはならないのです?」
まぁ、それぞれ別の階を受け持った方が、効率は良いからねぇ。いつか合流できるからと、励ますしかない私だった。




