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第8話 カイルの魔法適性


 大聖堂はこの国に四か所存在する。

 そのうちの一つはファフニール家の私有地にある、神聖なる大聖堂の地下に設置された適性の間だった。

 

 年に一度。

 魔法適性の時のみ、その大聖堂の地下は開かれる。


 大聖堂はそれぞれ有名な大貴族が保有し、その管理を任されていた。


「カイル! やっと来た!」


 無邪気にはしゃぐエルフィは、何かしたいことがあるように見えた。


「カイルは魔法が使えたら最初に何がしたい?」

「特には考えてないな。エルフィは?」

「私は魔物退治!」


 良い目標だな。


 中央へ視線を向けると、大部屋の中央に大きな球体がある。あそこに魔力を流し込むことで、その人間の魔法適性が分かるシステムだ。


 ここで魔法適性が判明することで、そのキャラクターはその属性の魔法が使えるようになる。

 俺が前へ歩みを進めると、周囲からざわめきが起こった。


「カイルが……歩いている!?」

「ど、どういうことだ!?」

「えっ!?」


 ざわつく貴族の子供たちを無視し、父親へ挨拶に向かう。


「父上」

「カイル……最低限、仕事をしろよ。この私に恥をかかせるな」

「……はい」


 大きな期待はしていないようだ。

 だが、光属性だけは出せという命令らしい。


 傍に居たエルフィが悲しそうな顔で呟く。


「……カイル。私はカイルがどんな属性でも気にしないからね」

「うん、ありがとう」


 他の貴族の子供たちもいる。


「あの落ちこぼれ歩けたのか?」

「やっと二足歩行できるようになったか」

「どちらにしろ、ファフニール家の面汚しだろ。面白えもんが見れるぞ」


 中央には司祭が立っていた。


「それでは、魔法適性の儀を開始する」


 先ほどまで騒いでいた子供たちは静まり返り、緊張が走った。


「カイル・ファフニール。前に出よ」


 一番最初は俺か……。

 一斉に注がれる蔑みと好奇の視線。


 すれ違いざまに、父親が俺の肩を強く掴んだ。


「必ず光属性を出せ、カイル。それ以外、貴様には求めておらん」

「はい、父上」


 俺が司祭に近づいて、判定する球体に力を流し込む。


────────

…性:…属性

……ます

───────


 一瞬、心臓が飛び跳ねた気がした。

 急にシステム音が聞こえると、警告なのかと驚いてしまう。


 ……まさか、闇属性を出せってことじゃないよな。


─────────

潜在属性:万能属性

(魔法適性の儀にて、すべての属性を選ぶことができます)


任意の適性を選ぶことが可能です。


以下の選択が可能です。

炎、水、風、土、雷、光、闇、万能


─────────


 ドキッとしたが、ここは俺の自由にさせてくれるようだな。


 目の前に提示された道は、大きく分けて三つ。


 一つ目は、父親の望む『光属性』。

 強力な属性であり、これを選べば父上は初めて俺を褒め、受け入れてくれるだろう。


 カイルが心の底から欲していた親の愛が受けられるだろう。


 誰かに愛されたかった────そんなカイルのそんな切ない願望を、叶えてやる道だ。


 二つ目は、原作通りの『闇属性』。

 本来の歴史に従う道。だが、その先に待っているのは希望のない破滅だ。


 エルフィは主人公へ心を寄せカイルの元を去り、俺は親からも見放され、最期はかませ犬として無惨に死ぬ未来。

 俺もカイルも……そんな未来は避けたい。


 そして三つ目は────未知にして最強格の万能属性。 


 世界で数少ない規格外の適性者だ。

 これを選べば俺は強くなれるのだろうか。


 原作知識を持つ俺ですら、リスクや今後の影響、本当に扱いきれるのかすら分からない未知のものだ。


 最強とは言っても、これは最も分からないことが多い選択肢だ。

 原作で扱えていれば違ったのだろうけれど。

 全て扱える属性とはいえ……扱いきれないリスクがあるかもしれない。

 

 だから、俺が選んだ道は────。



 


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