判定の日前夜
第1章とかの設定がわかりません。
1/7 会話を一部修正しました。
フッと降りた感覚からどれだけ時間が経ったのか。目を覚ますと父と母がいた。父はスマートな漆黒の服装に端正な顔つき、目つきもダークエルフのイメージ通り細長く、髪はブルーシルバーというのか青みがかったもので、表情はなぜか途方に暮れている顔をしている。
母はそんな父に抱きついて泣いている。顔は見えないが綺麗なエメラルドグリーンの髪が腰まで伸びている。
なかなかに美形な二人の子だから、俺も美形に育つに違いない。ダークエルフの選択に間違いはなかった、と感謝する。とりあえず、目の前の食事を食べながら質問をする。それにしても室内は石造りだし、ほんとうにゲームみたいに異世界だな。
「母さん、ここはどこなの?」
「えっ!ねぇ、グウェン!!リヒトが話したわ!」
やっとこちらを振り向いた母の顔が見えた。エルフにも童顔という組み合わせはあり得るのだと分かった。体系がホッソリしているだけに俺の違和感は隠せない。なにかが決定的に足りない。
「たしかに話したね。普通・・・とかいらないのか。いずれにせよホッとするね」
グウェンは喜んでいるのか、俺の顔をジッと見ている。流石にこれほどの美形にジッと見られると照れ臭い。それほど以前から人の目を見て話す方では無く、どちらかというと冗談でその場を誤魔化すことの方がよっぽど多かった。
「リヒト、ここはお家で、明日は判定をする日だよ」と、グウェンは続ける。
「判定ってなにを?」
「6歳前後で、その者の強みや技術を判定する日だ。結果によって、これからが左右される」
俺は判定されなくても自分の選択した個性は覚えている。
「魔法って使えるの?」俺は個性で魔法適性を選んだがこの世界が使えるのかが不明だ。
「それも明日判明する。特にリヒトは髪の色が金色なだけに他の村の人たちも気にしている」
「グウェン、それは今言う必要はないでしょ!!!」とシュエルが声をあげた。
「いや、この子にはきちんと伝えるべきだと思う。敬意を払うべき存在だ」
なぜかグウェンは自分と年相応の者を相手にするような話し方をしている。母は少しの間伏目にしたあと俺を見つめた。
「リヒト、明日の判定結果を教えてね。なんだか不思議ね、こんなに話せるなんて」
泣きながら笑っている母は、努めて明るい雰囲気をしているように見えた。それくらい人として17年も経てば理解できる。今はダークエルフ6歳か。