43.ぼったくれ!メイドカフェ
セシアとキャッタンは、魔界を歩いていた。
「あ、あれは何ですか!?」
セシアは、目の前にあるピンク色の外装の建物を見ながらそう言った。
「メイドユメミールぅ……メイドカフェですよぉ」
「メイドカフェ……何なんですかそれは?」
「知らないんですかぁ!?何でこういうのだけは無知なんですかねぇ」
「うるさいですよ!……どうせなら、入ってみませんか?気になりますし!」
セシアは興味津々といった様子で言った。
「えぇ、良いですけどぉ……王女様はぁ、こういうのに興味ないようなぁ」
キャッタンがセシアを見ると、彼女はもうすでに扉を開けていた。
「早いですよぉ!」
◇ ◇ ◇
「「おかえりなさいませ、ご主人様!」」
店内には、たくさんのメイド服を着た女性がいた。
「メイドさんがたくさんいます!面白いカフェですね!」
「へぁ〜……そうですねぇ」
「お二人とも、初めてのご帰宅でございますか?」
一人の女性がセシア達に近づいて、そう尋ねた。
「帰宅……?よく分かりませんが、初めて来ました!」
「わあ、とっても嬉しいです!本日はこの夢の世界、メイドユメミールへようこそお越しくださいました。私はゲルダと言います」
ゲルダは慣れた手つきで、二人を店内のソファー席へと案内した。店内はパステルカラーで統一され、どこを見渡しても可愛いもので埋め尽くされていた。周りを見渡すと、常連らしき男性客が多いようだった。
「とっても可愛いカフェですね!」
セシアはそう言うと、机の上に置かれたメニューに目をやった。キャッタンもそれを覗き込む。そこには、オムライス一つがD銀貨15枚と書かれていた。
「ぼ、ぼったくりですううぅぅ!」
「キャッタン……ゴチになります!」
セシアは両手を合わせてそう言った。
「ダメですよぉ!?」
「私、お金持ってきてないんですよ。だから、奢ってください!」
「図々しいですよぉ!百歩譲ってぇ、普通のお店ならいいですけどぉ、ここはダメですぅ!」
キャッタンがそう言って店を出ようとすると、その前にゲルダが立ち塞がった。
「ご主人様ぁ、帰ることは許されませんよ?ここは夢の世界ですからぁ、何だって許されんだよ。それが犯罪まがいなことでもなぁ?」
「ひぇ……」
「しばかれたくねぇなら、席着きな」
キャッタンはそれを聞くと、ふわふわとセシアのいる席へと戻った。そして、セシアの耳元で口を開いた。
「王女様ぁ、この店はやばいですぅ。早く出ましょぉ」
「何でですか?この店のご飯、食べてみたいです!」
「アホの子ですかぁ!?王女様は!まともに食べたら、お金なくなりますってぇ!」
「じゃあ、このうさちゃんオムライスと夢見ジュース、それぞれ二つずつください!」
セシアはゲルダに向かってそう言った。
「かしこまりました!」
「ちょっと待ってええぇぇ!」
しばらくすると、注文したオムライスとジュースが運ばれてきた。そして、ケチャップを持ったゲルダが二人に近づいた。
「ご主人様、オムライスには何をお描きしましょうか?」
「どうしましょう……そうだ!何でもいいので、とにかく可愛いものを描いてください!」
「何でそんなノリノリなんですかぁ!?」
「お二人とも、可愛いものですね!かしこまりました!」
ゲルダはそう言うと、オムライスに通貨の絵を次々とケチャップで描いていった。
「か、可愛いものぉ……?」
「お金はとても可愛いですよ。生きてる奴らなんかよりも」
ゲルダは含みのある笑顔でそう言った。
「なんか怖いですぅ……」
「守銭奴第二号ですねー!」
「それでは、このオムライスが世界で一番美味しくなる魔法を、みんなで一緒にかけましょう!」
ゲルダはそう言うと、お金を数えるようなジェスチャーをした。
「へっ……」
「せーのっ!お金払えやぁ、金金、チャリーン!」
「何なんですかぁ!それはぁ!」
「なるほど!これがメイドカフェの定番なんですね!」
「そんなわけあるかぁ!」
◇ ◇ ◇
二人の机の前には、空になった皿とコップがあった。
「とても美味しかったです!」
「結局、全部食べちゃったよぉ!」
キャッタンがそう言うと、ゲルダは机の上に伝票を置いた。そこには、合計D金貨5枚と書かれていた。
「いやぁ、払えませんよおぉぉ!こんな金額ぅ!」
キャッタンがそう言うと、店内にいたメイド達が次々と二人を囲んだ。
「へっ……」
「払えねぇなら、体で払ってもらうしかねぇーな!」
ゲルダがそう言った直後、店の扉が勢いよく開かれた。そこには、たくさんの魔衛隊がいた。
「「突入ーー!」」
「クソっ!マッポだ!トンズラすっぞ!」
ゲルダがそう言うと、メイド達は次々と逃げていった。
「王女様ぁ、もしかして通報してくれてたんですかぁ?」
「はい!実はソルブの天秤から、ぼったくりメイドカフェを調査してほしいと依頼がありまして。少し潜入してみようかと思ったんです!」
「そうなんですかぁ!……でも、それぇ、自分必要でしたかぁ?」
「さて、早く帰りましょうか!」
セシアは微笑んでそう言った。
「ふ、ふざけんなあぁぁ!」
キャッタンがそう叫ぶと、セシアは笑みを浮かべたまま走り出した。キャッタンは怒ったまま、セシアを追いかけるのであった。




