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アリア・ベネットスの書

 この世界には、妖怪と呼ばれる者たちがいた。

 動物なのか人なのか、そもそも生物なのか彼らのことを知る人物は少なかったがそれは確かに存在していた。

 そして今日も妖怪たちの悪戯による被害者が増え続けているのであろう。

 妖怪といえば地球の中だけでの話と思うかもしれないが、この世界、この

場所は地球と言う小さな星のとても遠いところにある限りなく似た世界で魔法は存在しなかったが妖怪たちはとても身近にあった。

 一つに妖怪と言っても色々な種類があり、空を飛んでいたり人と話したり

悪い妖怪もいれば良い妖怪もいる。

 その中で一人、人間と妖怪のハーフがいた。

 母親は九尾と蜘蛛の娘、父親は貧弱な人間、たとえ似た姿をしていても

違う物は違うのだ子供はどちらにもつけず孤独であった。

 だがその子供が大きくなった頃、世界は狂い始めた。

 今までの世界は妖怪たちと人間の境界線がはっきりしていた、それはもう

認めたくないほどにはっきりと。

 それなのにある日を境に妖怪と人間の違いが余り大きな物ではなくなって

きてしまったのだ。

 妖怪と人間のハーフは瞬く間に増え、純血の人間は少なくなってしま

った。

 妖怪には魅力があり、力があり、人間にはない知恵もあった。

 そして妖怪の中にも人間のふりをして子供をつくる奴なんかがいてもう

わやになってしまった。

 それでも、共存出来ればまだ未来は明るかったのであろう。

 生き残った純血の人間達は自らを貴族と名乗りハーフの子供達を虐げた。

 純粋な力で比べても圧倒的に弱い人間であったがそれでも権力でねじ伏

せなかったことにした。

 そうして世界は黒く染まってしまった。

 ハーフの子供達はろくに学校にも通えず、貴族の、純血の人間の子供は

裕福な暮らしをしてそれが当たり前になってしまった。

 成長した九尾の青年は人間の女と結婚し子供をつくった。

 生まれた子供はまたどこからどうみても人間だった。

 二人は心の底から喜び、人間として子供を育てた。

 子供の名前はエリア、女の子である。

 エリアは純血として育ち、あっという間に10歳になった。

 エリアには人と違う点が3つほどあった。

 一つは、普通の子供達よりも力が強く運動神経も抜群だったこと。

 一つは、不自然に頭が良く落ち着いた子だったこと。

 一つは、妙に美しかったこと。

 美しいだけなら普通だと思うだろうがその容姿はまるで神をも凌ぐよう

な神々しさと愛らしさがあった。

 純血の人間としてちやほやされているのにもかかわらず質素な生活をし

暇が出来たらハーフの子供達に勉強を教えに行く、手のかからない良い子

だった。

 彼女には親友が出来たがそれは勿論妖怪であった。

 人間の子供は純血なのに妖怪に優しくする意味がわからず、といっても

彼女の母親がなまじ金持ちで偉い家の長女だったことで手は出せず自分達にも危害を加えるようには見えないので触らぬ神にたたりなしと言うように自分から話しかけることは滅多に無いからだ。

 彼女の親友は3人(人と数えるかどうかはわからないが)、蝦蟇がまさとり人魚にんぎょのハーフで純血と名乗ってはいるが元

が妖怪なエリアには馴染みやすいものであったのであろう。

 蝦蟇と覚は男であり、顔立ちは整っていたが妖怪なのでどうにもならなかったし人魚のほうも彫りの深い人形のようであったが同じく人間と言うようにも扱われなかった。

 物と同じように数えられ、奴隷のように働かせられたが妖怪達は文句をいえなかった。

 先程から何故妖怪たちが抗わないのか不思議に思っていることであろうがそれは人間の中でも一番力の強い巫女が妖術を使い強制的に細胞レベルで従わなくてはいけないと思わせているからで、妖怪たちの中でも巫女のような立ち位置にいるような者なら簡単に解けそうであるがもうすでに時は遅く全ての妖怪にそれはかかってしまっているのだ。 

 …この世界は緑の多い豊かな国が多く貿易なども盛んなところが沢山あった。

 ある場所では数千年前の城の跡がありある場所では巨大な図書館の中にぎっしりと詰まった本があり。

 一つ一つの国がとてつもなく広く、一週間やそこらではとてもとても回りきれないような土地があった。

 そのなかでも一際大きいこの国の名前はベルガステン。

 王がいて王宮があり学校があり純血の人間がいて奴隷が居て妖怪がいて、そしてエリアがいた。

 この国だけが特別だった、この国以外が特別ではなかった。

 エリアのように美しい娘は沢山いたが心も体も清く汚れないと思われているエリアには求婚が途絶えなかった。

 もちろんエリアは全てを断っていたしほとんどが父と母により知らされてもいなかった。

 だがエリアは、自分が好きになった相手であったとしても求婚を断ったであろう。

 なぜならこの世界はある一人の女の子のためだけに創られた乙女ゲームと言う名の遊びの世界で、エリアは中盤で死ぬヒロインのサポート役1だったからだ。

 そして、記憶を持っていた。

 ここまでくればわかったかも知れないが、エリアは記憶持ちの転生者でこの乙女ゲームをプレイしたことがあるのである。

 だが、エリアが求婚を断る理由に今あげた2つの理由はあまり関係が無い。

 それは、エリアの中身が、男で、大の女好きだったからだ。

 …ここまで読み進めたのだ、私のことも気になってくるだろう。

 私の名前は、アリア・ベネットス。

 この本の著者であり、エリアの妹である。

 エリアの妹でありながら、工藤志都嗚くどうしずおの妹でありまたの名を工藤百乃くどうもものという。

 そう、私はエリアと同じ記憶持ち転生者でエリアの実の妹。

 地球でもこの世界でも妹なのだがエリアはそのことを知らない。

 話すには長くなるので一から教えていこう。

 私の書いたこの本を読んでくれた君は私の話を信じてくれるだろうか。

 だがこれは本当のことなのだ。

 どうか信じてくれることを心から願う。

   

                   

 

 

 




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