着替えてみました。
地の文の主人公の名前が読み辛いという意見があったので、主人公の名前を「一」から「ハジメ」と書くことにしました。
「おおっ。中々似合うじゃないですか」
着替えを終えて更衣室から出てきたハジメを見てファムが感想を口にする。
ファムから手渡された黒の軍服を見にまとい、銀色の鉄仮面を頭に被るハジメ。その姿はまるでSFロボットアニメの主人公と敵対する敵軍の軍人(それもかなり重要な立場の)のようである。
……どう見ても主人公の格好ではない。
「はぁ……。そう、ですか……?」
ハジメは鉄仮面を被った頭を傾げて戸惑った声を出す。これだけで今彼が仮面の奥でどんな表情をしているか容易に想像できるだろう。
「それでファムさん? 何で僕がこんな格好をしないといけないんですか?」
「その理由でしたらリンドブルムに向かいながら説明します。こっちへ」
こうしている間にも北の空では軍とゴーレムとの戦いが始まろうとしているのだ。ハジメとファムはリンドブルムへと向かって走りだし、その途中でファムが事情を説明する。
「まず最初に軍の上層部はハジメさん……じゃなかった、イレブン・ブレット少将を復隊させるのと同時に、その名前を大々的に世間に広めることに決めたんですよ。ほら、伝説の英雄となれば軍全体の士気も上がりますし、他の惑星国家の牽制にも使えますから」
「それがどうしてこんな格好をすることに? あと『伝説の英雄の名を受け継いだ』ってどういう意味ですか?」
ファムは自分の後ろを走るハジメの質問に頷くと説明を続けた。
「私達、軍の人間は貴方が本物のイレブン・ブレット少将だと理解していますが、一般の人達にはそれが分からないんですよ。だから『二百年前のイレブン・ブレット少将』と同じ名前と階級の別人ってことにした方が手っとり早いということに。そしてその格好はハジメさんの安全を守るための予防策です」
「僕の、安全?」
ファムはそう言うが、このコスプレみたいな格好がどうしたら自分の安全に繋がるのか、ハジメには理解できなかった。
「そうです。イレブン少将の大々的に世間に広めるということはその姿をメディアにさらすということ。もし素顔を世間に公表したらイレブン少将、どうなると思います?」
「さ、さあ……」
「マスターギアを操れるサイコヘルムのパイロット……。それの素顔を分かったら各惑星国家はどうあってもイレブン少将を手に入れようとするでしょうね。拉致同然のスカウトは可愛いくらいで、最悪暗殺されて死体を研究用のサンプルのされたりするでしょうね」
「ええっ!? そんな馬鹿な」
「そんな馬鹿な、じゃありません。貴方、イレブン少将にはそれだけの価値があるんです。ですからイレブン少将、作戦中はいつもその格好でいてくださいね?」
「は、はい……」
そこまで話したところでハジメとファムはリンドブルムが停泊しているドックに辿り着き、二人はドックの入口の前で止まる。
「あと、作戦中の貴方は『ニノマエ・ハジメ』ではなく『イレブン・ブレット少将』ですから、できるだけ将官らしく振る舞ってください。私もできるだけフォローしますから」
そういえば先程からファムが自分のことを「イレブン少将」と呼んでいたことに気づいたハジメは「分かりました」といって頷く。
「よろしい。それじゃあ早く行きましょう。皆も集まっているでしょうから」
「皆? 皆って誰ですか?」
「イレブン少将が知っている人達ですよ。ほら、入って」
ファムがドックの入り口を開くと、そこには確かに彼女の言う通りハジメが知る四人の軍人の姿があった。
「……え? ソルダさんにフィーユさん、コロネル大佐に……シヤン大尉まで? ど、どういうことですか?」




