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変な要求、されました。

 軍からゴーレムが出現したという通信と出動命令を受けた一は、ファムが運転する車に乗ってリンドブルムが停泊している軍の基地へと向かっていた。


「まったくゴーレムもこんな時に現れなくてもいいのに……少しは空気を読めっての」


 運転席でファムは車を運転しながら愚痴をこぼす。


「せっかくのハジメさんとのデートでしたのに台無しじゃないですか」


「いえ、デートじゃなくて買い物でしょう? それよりファムさん、ゴーレムは一体何処に出現したのですか?」


 一が聞くとファムは非常に残念そうな顔をして、右手でハンドルを持ったまま左手で一に情報端末を渡す。


「ハジメさん……そこは律儀につっこまなくてもいいんですよ? それでゴーレムなんですけど、ここから北に三百キロ先の空に百体を超えるゴーレムの群れが現れたそうです。現在軍の航空部隊が迎撃に出ていますが、私達にも急いで援軍に出るようにと」


 情報端末の画面には無数の猛禽の姿をしたゴーレムが映っていた。猛禽のゴーレムは全て体が鈍色で、大空に浮かぶ雨雲のような群れの姿を見て一が眉をしかめる。


「スティールクラスのゴーレムですか。しかも前回の倍以上の数……」


 一にとってスティールクラスのゴーレムはゲームのマスターギアで何度も倒してきた敵で大した驚異ではないが、この世界の人間にとってはそうではない。ファムが言った航空部隊がどれ程の実力を持っているかは分からないが、それでもできるだけ早く援軍に向かった方がいいだろう。


「あの……ファムさん? 基地に行かなくてもリンドブルムを呼び出して現場に向かえばいいんじゃないですか? 非常事態なんですよね?」


 その気になれば一は基地にあるリンドブルムをこの場に呼ぶことができる。だがファムは苦い顔をしてそれを止める。


「あー……。ハジメさんが言うことはもっともなんですけど、それをやったら凄く目立つじゃないですか? できたらそういうのは『イベント』の後にしてほしいと上層部から言われてまして……」


「イベント? 一体何ですか」


「それはすぐに分かり……あっ、基地に着きましたよ!」


 一とファムが基地に着くと既に連絡がいっていたのか、二人はチェックを受けることなくすぐに中に通された。車から降りた一はリンドブルムが停められている場所に走ろうとするが、その手をファムが掴む。


「ストップです、ハジメさん。リンドブルムに乗る前に着替えが先です」


「着替え? この服じゃ駄目何ですか?」


「駄目なんですって。早くこっちへ」


 ファムに手を引かれて一が更衣室に連れていかれると、そこで一着の軍服を手渡される。


「さあ、ハジメさん。これに着替えてください」


「この軍服を……ですか?」


 ファムから手渡された軍服は黒を基調としていて、シンプルながらも威厳が感じられるデザインだった。


「そうです。あと『コレ』も忘れず被ってくださいね♪」


 次にファムが取り出したのは、銀色に輝く鉄仮面。左右にはとがった耳のような突起があり、額には二本の角があるデザインの鉄仮面を見て一は目を丸くする。


「な、何ですか、ソレ?」


「何って、ハジメさん専用の仮面ですが? ちなみにコレ、パイロットスーツのヘルメットにも使えるスグレモノなんですよ」


「そうじゃなくて、何で僕が軍服はともかく、そんな仮面を被らないといけないんですか?」


「これも上層部からのオーダーなんですよ。今日からハジメさんには作戦行動時はこの仮面を被ってもらい、伝説の英雄の名を受け継いだ軍人『イレブン・ブレット少将』として活躍してほしいって」


「はいっ!? 仮面を被って戦場にでるなんて、何処のレッドでコメットな軍人さんなんですか!?」


 ファムの説明に思わず叫ぶ一の声が更衣室に響き渡った。

 最後の一の台詞が分かった人は挙手をしてください。

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