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40.魚は飛ぶの

デイジーの属性がダブル。

つまり、属性を二つ持っているという。

一つは水で決定。では二つ目は?

それを俺が引っ張り上げる?


俺が今までやってきた方法は、気になったことを言葉にしただけ。その人に伝えてるだけだ。それしかできない。


何がトリガーになるんだろう。

今の所、トリガーになったのは、その人の前世に関わりが深い言葉。

何かの名称とか職業名とか。


ヒントは、デイジーの前世は、相当勉強していたらしいこと。


ヒント、少なっ!!

地球では相当勉強している人って何気に沢山いるのだ。全体の人数がこことは違うけど、周囲にだって沢山いたと思う。

学歴社会?だった。あんまり覚えてないけど。


他人との関わりはあるには有ったが、俺は俺。人は人なので、気にしないようになってた。人の持ってるものを羨ましいと思ったことも特になかったし。

気にしたところで本当の意味で相手を助けることは出来ないし。

助けてもらった事もなかった。寂しいけれど。



沢山話して引き出せと言われたってことは、誰か他の人の言葉じゃダメってことなのだろう。


こっちにいる間に、みんなといっぱいお話ししよう!

精霊様にやれと言われたなら、きっと必要になるのだろう。


大人たちが馬を馬車に繋いで、ブナの木陰に敷いたシートや使ったお皿を片付けてくれているので、ルークは湖の水面ギリギリまで行って帰りの挨拶を。


「カエルの皆さん!今日はありがとうー!またくるね!」


と、大きめの声で言うと、湖の水面に波紋が生まれた。さよならの挨拶かな?

と思ったら、次々に波紋が生まれて波立ち、湖からルークに向かって何か大きなものが飛び出てきた!?


パチーン!ベチーン!ベシッ!ペシペシ!!


それはルーク頭上を超え後ろ、ルークの横などに落ちてきた。


えええーーー!!!

なになになにーーー!?

ドキドキドキドキッ!!


ぶつかりはしなかったが、なかなかにギリギリの場所に着地したそれらは、三十センチ程度のヒメマス五匹だった。


イキが良すぎるっ!!そしてデカい!!


ビチビチと跳ねる魚の登場にびっくりして身を縮めるルーク。ルークを微笑ましげにみていた大人たちもびっくりしている。

たまたまブナの木に向かって歩いていたモモンガもびっくりしてその場でジャンプし、飛び退いて走り去った。さっきのモモンガの親子のお父さんだったのかも。


「「「「「お土産のお返しだよー!」」」」」


と、湖から声がする。


そ、そうなんだ。カエルさんからのお土産が、カエルさんたちの体の何十倍も大きい魚なんだ。。


「大丈夫だったか?ルーク」

「これは一体…」

「お土産のお返しかしら?」

「ありえるな。」


「うん。大丈夫。ちょっとびっくりしちゃったけど。お土産だって。どうやって投げてくれたんだろうね?」

「追い込み漁かもしれんぞ?」


カエルたちに追い込まれて魚自ら飛び出てきたとジェイクが笑いながら言うので、その姿を想像して、あの数ならできそうだなと、納得してしまった。

実際はどうだかわからないけれど。


馬車から樽を取り出して、有り難い有り難いとヒメマスを拾って馬車に乗り、出発進行!


時間は想像していた通り、カエル様に時間をかけすぎたらしい。家に帰ってから温泉に行くより、寄った方が時間短縮になるからと、このまま温泉に馬車で行くとこになった。

着替えはないが、こんなこともあろうかと、キースがタオルの準備をしておいてくれたようだ。キースはやはり気が利く。


湖には昨日の温泉が流れ込んでいるので、それを辿ればジェイクの作った温泉施設に辿り着ける。このサイズの馬車なら一台がギリギリ通ることができるそうだ。


整備されていないので行きとは違ってガタガタと揺れて、尻に馬車が刺さる。いや椅子が刺さるので、乗り物酔いを起こすアイリスに御者席を薦めたのだが、


「ここまで揺れると逆に酔わないし、距離も短いし、炭酸水もある(揺れすぎて飲めないけど)何よりやりたいことがあるから大丈夫!」


と固辞された。


乗り物酔い回避よりやりたいこととは?


ヒメマスをじっと見ていたアイリスは、深呼吸を一つして、鑑定のスキルを使う


「『鑑定』」


「「「どう?」」」


「雫 淡水:塩分を含まない水。滋養水と精霊力が含まれる」


「また雫!!魚の情報が、欲しかったのにー!!!やっぱり水-鑑定なのねぇ…」


液体以外の鑑定を諦めていなかったようだ。

馬車に積まれたヒメマスは、アイリスにとって初めて見た魚だったらしく、可食部、美味しい食べ方を知りたかったらしい。


それって鑑定でわかったりするの?

便利じゃん!鑑定!


でもそれなら、キースじいちゃんがいるから大丈夫じゃない??料理長だし。。


「ヒメマスだな。これは淡水魚の中でかなり美味しい魚だよ。三枚に下ろして塩焼きもいいけど、ムニエルが食べたくなるな。」


「「「「「ムニエル?」」」」」


「ムニエル!いいねぇ!バターの風味がきいて美味しかった気がする!作って作って〜!」


「バターの残りがあったかな?あったら下処理してムニエルにしようか!」


「ずるーい!ルークばっかり知ってて!ねぇ父さん!ムニエルって何?料理名?」


アイリスは実は魚好きのようだ。

この星では、動物の命をいただくのは最低限に収めることが多い。特に決まりはないが、この体は植物中心で身体に何の問題も起きない。健やかに過ごせるのだ。

そのため魚も積極的に獲る事がない。

魚も肉も趣向品なのだ。


今日は“湖の主“により命をいただけたので、ありがたく、余す事なくいただくことにする。



温泉を堪能して、着ていた服を着用。

なんか嫌だな。せめて下着は替えたい。


今日の様に準備せずに来ても、着替えを置いておいたら便利だよね。明日のお風呂の時に置いておく着替えも持ってこよう!


貸し出しの館内着のあったスーパー銭湯とかは便利だったな。と浮かんできた。


「あれ?スーパー銭湯、どんなだったっけ?」


「「「スーパーせんとう?」」」


脱衣所でまた口に出ていたらしい。

トリガーになってる人はいないが、男性たちは気になるようなので、記憶にアクセスしてみる。


「公衆浴場…家族以外とも入れる大きめのお風呂で、ここみたいに露天風呂の他に、室内の浴槽、浴槽が岩で出来てるお風呂、あと蒸気を楽しむ部屋とか、仮眠部屋とか、マッサージ、レストラン、なんかが一緒になった商業施設。かな。」


「なんだそれ、面白そうだな。王都に公園を作ろうって話と同じ感じだな。」


確かに温泉か足湯かの違いだけで、面白商業施設だ。


「そうだね。温泉の他に色々一緒に詰め込まれてたら観光地みたいになって楽しいかも。」


「それの計画も立ててみるか!実際作るかどうかは別として、考えるのは楽しいだろう?」


「良いの?やったー!やるやる!どんなのが良いかなぁ。」


キースは聞き役に徹していたが、楽しそうな顔をして何やら指折り数えている。一緒にやってくれそうだ。


「それ何?俺知らないんだけどっ!」


アーサーだけが王都に公園を計画に参加していなかったので、話について来られない。


「今日の夜はちゃんと寝てよ?そしたら教えてあげるよ。」


「ええー!教えてくれよ、ルークゥ!」


よく見るとアーサーの目の下にクマができている。ホント、夜はちゃんと寝てほしい!


祖父たちの方を見て身振り手振りで説明する。


「脱衣所に、今ある棚のサイズに合わせて、カゴを置かない?」


とりあえずアーサーは置いておいて、これくらいのサイズでさ。と伝える。突発的な温泉入浴のために着替えを置いておきたい。


「何のためのカゴだい?」


「脱いだ服と、着替え、タオルを入れておくカゴ。同じカゴを並べたら見た目が綺麗だけどわかりにくいから、リボンの色でマークをつけるとか。温泉楽しんだあと、自分の荷物どれだっけ?って探さなくて済むよ。」


「そこは思いやりだな。」


ジェイクに頭を撫でて貰う。嬉しい。


「沢山の人が使うなら、高さはこれくらいの棚にして、縦長の扉付きのタンスを沢山並べて、その上にカゴを置いたらどうだ?そのカゴとタンスを使う。人の目に触れさせたくないものはタンスに、温泉から上がってすぐに使いたいタオルはカゴの中に入れておいたらどうだろう?」


「女性のところは特に扉付きが良さそうだな。」


「俺は風呂上がりに冷えたお茶が飲みたいな。のぼせた時とかにもあると良いんじゃないかな?」


「そしたらさ、ここでしか飲めない飲み物、ハンナばあちゃんのハーブティとかを有料で、家の裏の炭酸水なんかは無料で提供したらどう?温泉施設の使用料はもらってさ」


「面白そうだねぇ。脱いだ服を入れるカゴは、すぐに作るとするかな。この脱衣所も風呂場も、また作り始めたばかりだから、色々考え直したいと思ってるんだよ。」


「今度は俺も手伝うよ。主に土木の方で。」


え?ジェイクじいちゃん一人で作ったの?


「暇だったからね。」


暇にも程があるでしょ。


「じゃあ、俺も手伝うよ!主にアイデア出しの方で。」


なんだ?体は動かさないのか?と笑われるが、俺が手を出したら足手纏いでしょ。なんのスキルも使えないし、手も小さいし力もまだ弱い。


「出来ることはもちろんやるよ!」


アイデア出しと言っても、前世の記憶から引き出してるだけの、パクリなので、申し訳ない気もするが、この星に合わせてカスタマイズするから許してもらおう!


女性たちを待つ間、ジェイクが馬車の方向転換を終わらせる。温泉から家までは歩いた方が早いが、馬車を通せる場所はない。来た道を戻るのだ。


「ルークの言ってたスーパー銭湯?を作ったら、人が押し寄せてきちゃうな。」


アーサーも聞いてわかる範囲で話に参加する。


「家の周りに人が来ないように仕切れたら、実現できるんじゃないか?湖も観光場所にしたら楽しそうじゃないか?」


「その辺りはカエル様に相談だな。精霊の湖とか、精霊に会える湖とか名付けて。販売しているおやつのみをカエル様に差し上げる事ができる。と言う楽しみを提供するのはどうだ?今日楽しかっただろう?大人の俺たちでも。」


「「カップケーキを食べるカエルなんて初めてみたし。」」


ジェイクとキースは本格的に考え始めたのか、楽しそうに話している。訳あって隠居生活をしているが、祖父たちは人が好きなのだ。人が楽しむのを見るのが好きなのだ。

誰かの良い刺激になる分には良いはずなので、上手に人を巻き込んで楽しめたら良いよね。


女性たちが脱衣所を出てやってきたので、家まで馬車で揺られる。


アーサーはやはり寝てしまった。湖近くまではかなり揺れたのに、乗った瞬間に寝た。


こんなに揺れてる馬車で寝れるなんて、徹夜だったんだろうか。何をしていたのか。

何か楽しみ作っちゃったっけ?


家についてもしばらく寝ていたので、夕食の時間になるまで寝させることになった。

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