表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔天創記 (壱)  作者: ちゃすけ丸
第8章
39/40

~ 38 ~

 食事を終え店を出ようとすると、マスターが頼みもしないのにミルク入りの紅茶を差し出してきた。



 彼はまだまだ言い足りないといった感じで話しかけてくる。



「帰ってきた娘たちの話によると、化け物の正体は大きな蝙蝠の悪魔だったらしいね。 それがルーマに化けていたとか」



「悪魔が人間に化けていたのか、そのルーマって奴が悪魔に魂を売って化け物になったのかは解らないけどな」



「俺は絶対に前者だと思うけどね」



「どうしてそう言い切れる」



「なに、ルーマと言えば丘の屋敷に住む美しい貴婦人として、この町では知らない人が居ない有名人なんだよ。 まぁ、この小さな町ではだけどな。 容姿端麗で財産もある彼女が悪魔に魂を売るなんて、有り得ない話さ」



「そんなもんかねぇ」



 ブライトは昨夜のルーマの姿を思い浮かべて、思わず身震いをする。



 そしていまいち納得できないといった様子で、頬杖をつきながら出された紅茶をすすった。



「今日も美味しかったです!」



 食後のお茶も飲み終え、改めて席を立とうとしたレイヴァンたち一行をマスターが再び呼び止めた。



「旦那たちはこれから何処へ向かうんだい?」



「当ては無い」



「例の悪魔を追っていくのだろう? なら、良い情報がある」



 三人は無言で彼に話の続きを促した。



「ここから東に五日ほど歩くとオールトっていう大きな街があるんだが、そこでも若い女性が突然居なくなったり殺されたりする事件が起きているらしい」



「また若い子が……」



 がっくりと肩を落とすブライトを横目にマスターは得意気に話を続ける。



「情報は、それだけじゃない。 そこの街にはでっかい修道院があるんだが、そこが荒れているって話さ」



「荒れているとは?」



「なんでも修道士や修道女が街に出て遊んでいるとかで、その原因が悪魔にあるとか」



「……そうか、世話になったな」



 レイヴァンは少し立ち止まって考えた後、店の外に向かって歩き出した。



 その姿を見てブライトが慌てて声をかける。



「レイヴァン、まさか今からそのオールトっていう街に向かうつもりかよ!?」



「そうだが?」



「もう昼だし、今から出てもすぐに夜になるって!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ